夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その88 発行日 2008年3月23日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 "住めば都"と言うが札幌の冬の寒さに慣れたお蔭か、最近は、すっかり暖かくなったように感じる。札幌の3月の気温は、去年まで住んでいた沼津の一番寒いときにも及ばない気温であるのだが、氷点下を脱し雪融けが進んでくると、もう春のように感じてくるのである。
 先週からジョギングを再開した。まだ、体が重く、やっとの思いで8kmを走っている。道路沿いの丸裸の木々をじっくり見ながら走っていると、ウスタビガの空の繭を3つ見つけた。この辺りにもウスタビガが生息しているようなので、今夏は、幼虫を見つけたいものだ。
  言いたい放題
 今や世界中で、混沌と澱んだ空気が漂っているみたいだ。明るいニュースは、余り見つからない。日本人宇宙飛行士が乗り込んだ国際宇宙ステーションについても私には、膨大な費用に見合った成果が見えて来ない。地上では、高齢者や障害者に対する福祉の切捨てが進んでいると言うのに。
 日本の政治は、今や、衆参の与野党ねじれより、にっちもさっちも行かない状態が続いている。日銀新総裁が決まらず空席の状態が続き、そして道路特定財源問題も年度内に解決するかどうかも危ぶまれている。ただ、このまま国会が空転したとしても、私たち庶民にとって、余り影響はなさそうだ。次の選挙が待ち遠しい。
 中国では、チベット自冶区ラサで少数民族による暴動があった。外国人を締め出して、自分らの都合のいい報道を流している。これを観ていると、中国が北朝鮮とだぶってくるのは私だけだろうか。ギョーザ中毒事件は、中国4千年の闇の中に葬られようとしている。開かれた中国は、一党独裁政治が続く限りまだまだみたいである。
 サブプライムローンに端を発した株暴落やドル安の動きは、まだまだ続きそうである。ただ、この問題とて私には、余り関係なさそうだ。混沌とした社会情勢が続いても、大金とは無縁な私たちに迷惑をかけないでいて欲しいだけだ。
  つくしんぼの詩
 4月から高齢者の医療保険制度が変わる。高齢者を対象に医療保険費を、それ相当に負担させようとしているのである。高齢者への税負担が、ますます増える社会状況は変わらないようである。
 私の住む札幌市では、障害者への交通費助成制度が見直しされようとしている。高齢者や障害者などの社会的弱者を切り捨てようとする国の姿勢は、貪欲に金儲けに走り非正規雇用者を増やし続けてきた企業にも似ている。国民の命を守る、中でもこの日本を支えてきた高齢者が安心暮らせるようにするのが国の役目だと思うのだが、小泉政権のときから進む方向がおかしくなっている。
  虫尽し
 ベトナム北部の町カオバンに宿泊していた。今朝は、4日振りに青空が広がっていた。朝、ホテルを出て、街中を流れてゆく川に架かっている橋を渡る。その橋を渡っていると欄干にシロオビヒカゲが止まっていた。人通りが多いのだが、気にせず素手で掴まえた。まだ寒いので、簡単に掴むことができた。
 昆虫採集を終えての帰り、また、その橋を渡っていると、今度は、大きなスズメガが止まっているのを見つけた。大きなシモフリスズメである。今日は、人通りの多いこの橋がいい採集地になった。
  情報の小窓
『わたしの経験に基づく限り、自律的に働いたり職業人として自立したりすることと、労働時間との間に、明瞭な因果関係や必然性が見出せないのです。ただ成果主義というシステムが敷かれているなかで、成果を求める手段として能力のある人にだけ自律的な労働を推奨するのであれば、そこにかなりの危険を感じます。なぜなら病院という健康に関する専門家がいるなかで心の病が増えているという事実を知ってしまった以上、健康を専門としていない人たちが自らの身体に生じた危険をどれほど察知でき、防ぐ手立てを持っているか、いささか疑問に思うからです。』
 ちくま新書「職場はなぜ壊れるか」荒井千暁

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