夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その95 発行日 2008年12月21日
編集・著作者     森 みつぐ
  季節風
 この冬は、積雪が少ないので、まだジョギングを行っている。昨年は、12月11日が最後のジョギングだったのだが、今年は、今週もまだジョギングができそうである。
 真っ白な雪の上、すぐにも滑りそうな氷の上、べちゃべちゃに融けた雪の上を滑らないように足元に気を取られながらも走っていると、なかなか景色を眺めていられない。もうすぐ冬至、日が沈んだ群青色の澄み切った空には、金星、火星がきらきらと瞬いている。
  言いたい放題
 最近、派遣労働者の首切りのニュースを見ていて、強く労働組合の必要性を強く感じた。不当に解雇されたとしても、一人では、経営者と対等に交渉する手段はなく、ただ泣き寝入りするしかない。解雇されて初めて、経営者と対等に交渉するための手段となる労働組合の必要性を感じるのである。
 労働組合員は、年々減少の一途を辿っている。日本の大企業の労働組合は、経営側に偏った御用組合と化しているのが、殆んどであろう。組合員になっても、そのメリットをなんら感じることもないので、組合離れが起きるのである。非常時においては、労働者を守ることよりも、企業も守ることに専念して、恰も、企業の一組織みたいな行動を取る。そんな組合を信用する労働者が減るのは、当然なのである。
 労働組合は、経営側と対峙してこそ、その存在価値が上がる。徒に、暴力に訴えてはならないことは、当然のことである。労働者の視点に立って、安心・安定した生活が送れるように、団体交渉することが必要なのである。労働組合は、平常時から労働者側に立ち、もっとしっかりした運動を展開しなくてはならない。
  つくしんぼの詩
 札幌も冬を迎えて、雪が降ったり融けたりを繰り返している。秋から冬へのこの時季が、一番危険な道歩きとなる。雪のままでは、然程、滑ることはないのだが、踏み固められた雪が、昼間に融け、そして日が暮れて冷えて氷となる。そうなると、スケート場と同じく、つるつるの状態となるのである。
 子どもは、喜んで滑っているが、お年寄りは、そうはいかない。滑って転んで骨折でもすると、寝たきりとなる可能性が高いのである。お年寄りにとって雪のある冬は、命がけの外出となるのである。坂の多いところでは、さらに最悪である。滑らないように滑り止めの砂を撒くと言う方法もあるが、もっといい方法がないものだろうか?
  虫尽し
 スンバワ島の小さな町アラスの宿を取った。ホテルは、思っていた以上に綺麗だった。採ってきた虫は、タッパーウェアに入れるのだが、乾燥させないと腐る恐れがあるので、蓋を開けて置いておく。
 夕方、紅茶、砂糖とお湯の入った魔法瓶の差し入れがあった。夕食の後、のんびりと紅茶を入れて飲んでいた。そして寝る前に、片付けようと思いスプーンを見ると、真っ黒になっていた。ヒメアリの仲間である。タッパーウェアを見ると、アリが歩き回っていた。"あっ!やられた!!"
  情報の小窓
『資本主義が、自己愛的な精神構造を生み出す上で果たした役割は、極めて大きい。本来、資本主義は、その非共感的で、搾取的な構造と、膨張に対する肥大した欲望によって、自己愛的な性格を持つ。しかも、資本主義は、自らの欲望を肥大させるだけではない。消費者の欲望を掻き立てることによって、市場を拡大させ、自らの欲望を満たすという構造を持っている。そのため、資本主義は、絶えず魅力的な商品、広告によって、市民を誘惑し、刺激し、購買行動へと駆り立てる。いつも欲望に目を輝かせ、競争的で、自己愛的な市民は、資本主義にとっては、理想的な顧客といえる。見方を換えれば、人々のそうした精神構造は、多分に、欲望を生み出す資本主義の戦略の産物だともいえるのである。』
 平凡社新書「人格障害の時代」岡田尊司

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