夢惑う世界 草紙<蜃気楼>
夢惑う世界 蜃気楼 その98 発行日 2009年3月22日
編集・著作者   森 みつぐ
  季節風
 インフルエンザで喉を痛めてから、1週間振りにジョギングをした。1週間前は、まだ至る所、ぐちゃぐちゃの雪が残っていて、走りにくい路面が続いていた。ところが、今は、私の走っているジョギング・コースは、ほんの僅かだけ雪が残っているだけだった。
 国道の歩道から雪が消えたので、自転車にも乗り始めた。豊平川沿いの降り積もった雪の中で、寒そうにして立っていたヤナギの蕾もふっくらと膨らみ始めている。あと1週間、歩道からも雪は融け、今度は、至る所からフキノトウが顔を出してくることだろう。
  言いたい放題
 ETC搭載の車が、土日祝日に高速道路を利用すると、高速料金の大幅な割引が適用され、ETCの装備にも税金から助成金が支払われる。私にとっては、どうしても納得がいかない経済対策が始まる。
 一昔前の大量生産、大量消費、そして大量廃棄の再現みたいな政策を、よくも恥じずに行うものである。各国では、地球温暖化の抑制に向けて、温室効果ガスの削減努力を行っていると言うのに、日本では、全く逆の動きをしているのである。個人が発生させる温室効果ガスのうちで、大きな比率を占めているのは、マイカーによるところが大きい。そのマイカーの利用を促進して、各地にお金をばら撒いてもらおうとしているのである。
 乗り物のうち、一人当たりの温室効果ガスの発生量の大きなものは、やはりマイカーである。日本人は、そのことを知りながらも、便利さを手放したくないがために眼を瞑る。マイカーがないと不便と言うのは、車社会を前提に作り上げてきた社会だからであり、公共の乗り物を前提に作り上げた社会では、交通弱者にとっても優しい社会になるのである。そして地球にも優しい社会になる。助成は、マイカーにではなく、公共の乗り物にすべきであろう。
  つくしんぼの詩
 昨年末からの経済不況で、私には、どうも理解できない地方自治体の経済対策がある。自動車の生産工場である自治体では、その自動車メーカーの車を購入したら助成金が出るのである。その自治体から工場が撤退すると、大きな影響を受けると言うことで、税金を投入するのである。最近、薄型テレビを購入すると助成金を出すと言う自治体も出てきた。
 優遇される人たちは、どちらかというと高額所得者たちであろう。庶民の税金が、そちらに投入されるのである。なんか、私には、すっきりしない政策である。
  虫尽し
 ジャワ島東部での採集初日、いくら歩き回っても緑の葉が生い茂っているような森林が見つからなかった。"今日は、歩き回って終わりかな?"と思いながら、村の中を通り過ぎて歩いていた。
 大きな河原に広がる畑へと下りてゆく小径があったので下りてゆくが、やっぱり採集には向かない。でも、この辺りでは見つかりそうもないので、網を開いてジャバヘリグロシロチョウを採ったりしていたら、洗面器を持った恰幅のいい男性が、小径から小川に降り裸になって体を洗い始めた。・・・"チョウ、何処かにいませんかね!?"
  情報の小窓
『五木 そう、欝というのはダウンサイジングですね。よき欝の方向を求めていくという。もちろん、躁状態にもいいところがあって、世の中には大胆不敵であるとか、冒険心がないとできないこともいっぱいあります、ベンチャー企業なんていうのは、まさに躁の経済学です。だけど僕は、鬱には欝で、同じように利点がたくさんあると思うんです。そういう鬱の利点や美点を一生懸命探していく時代になるんでしょう。』
 幻冬舎新書「鬱の力」五木寛之・香山リカ著

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