和歌と俳句

臼田亞浪

二三日晴れ松茸の膳に上る

一粒一粒柘榴の赤い実をたべる

もみづれる木によ苔布く寂光土

十王の笑むとし見れば木の実落つ

朝顔の朝永きにも亡妻を憶ふ

朝顔の籬外へ垂れて人ゆき次ぐ

北天の稲妻に月など明かき

の味一片も歯に固きのみ

苦笑ひして日が落つる野分なか

鶏頭の倒れて燃ゆるうらがなし

子らの朝顔咲けば楽しく時経ちぬ

朝顔をつかみ蟷螂雨うかがふ

天神様の祭銀杏が実を撒ける

新涼の朝顔竹をのぼり咲く

秋深くなりて不気味な朝焼けす

秋冷えの目覚め誘うて啼く雀

喰ふや鵯の啼く音は寒しとふ

旅にして棉笑む風の北よりす

波来れば立つ巌鳥や秋の風

あげ泥をにじりゐる蜷や野菊咲く

かなかな遠くなりぬ虎杖の路

夜半の秋魚籠の石首魚鳴くくくと

稲田蔽ふ雲冷やかに暮れてゆく

草にひく我が影親し秋夕べ

底つ火に我が魂通ふ霧の中