和歌と俳句

西山泊雲

秋雨や真砂の中の潦

秋耕や流るゝ如き鍬使ひ

いちじくの葉かげとなりぬ宿の月

銀漢をうす雲ほのとよこぎれり

せゝらぎをゐざりおほせし一葉かな

底深く流るゝ見ゆる一葉かな

飛び石とならび据はれる一葉かな

鐘楼より稚児我を嬲る花野かな

両岸の漆紅葉や崩れ簗

そゝりたつ稲木の端の北斗星

山越に濤音聞ゆ十三夜

水落つる上に立ち居り虫柱

月のぼり稲木の影はなくなんぬ

傘さして萩に人立つ無月かな

せゝらぎの現はに光り十三夜

せゝらぎの音草がくれ十三夜

竹の根でかためし崖や秋の水

道の上澄み拡がれる落し水

蟷螂に隠元採る手控へけり

常夜燈の灯影夜すがら掛稲に

華やかに二百十日の綿の花

月代は今高稲架のいたゞきに

せゝらぎは殊にさゞめく良夜かな

鯊釣や片手に柿をたべながら

稲の上を低くわたれる烏かな