和歌と俳句

石田波郷

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

ふりそそぐ日の戯れて朱欒もぐ

篁の鉾ゐならべり冬構

枇杷の花暁けそむるより憩らはず

葉牡丹やわが想ふ顔みな笑まふ

寒卵薔薇色させる朝ありぬ

檻の鷲さびしくなれば羽搏つかも

スチームにともに凭るひと母に似し

バス来らず嶺の冬雲累なり来

枯澄みし天城を縫ひてバスの揺れ

坂をゆき風邪かすかなり昼ふかし

風邪ごころ坂は電車もしづかなる

枯芝に学生ぞ黄なる寝顔せり

の樹々一樹歪みて崖に向く

霜の樹々影のながれの崖に向く

霜の崖一刷毛の日がさしてゐる

霜の崖徹夜の仕事抱きて攀づ

聖誕祭蹌踉の犬を蹴りて路地

スケート場芝区の街路海に出づ

スケート場海光の青の窓を篏め

スケートの渦を一人の服を見る

スケートの渦のゆるめり楽やすめり

スケートの父と子ワルツ疑はず