和歌と俳句

石田波郷

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わが友の足袋を洗ひしが町くもる

楽屋寒貧農を演りしひとの若さ

除夜更けて女の衣袂ひた急ぐ

の午後長き戦の世の紅茶

常盤木にの議事堂を日々見る世

春遠し兄の拙き戦場便

三田にして常盤木艶ふの坂

冬日宙少女鼓隊に母となる日

悉く芝区の英霊木枯れたり

の三田三丁目遺児駆け遊ぶ英霊なり

隙間風兄妹に母の文異ふ

凍る駅傷兵と共に降りし縁

の街夜となりつつ独りなり