和歌と俳句

河東碧梧桐

1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

鳴くや庵の樹と見ゆ寺の杉

四方に高し渋とる家の空

山入口朴の葉風や渡り鳥

啄木鳥や行者の道の岩伝ひ

寺の床人の踏むよに添水

温泉の里の捨湯も落て添水かな

山中に句境開けて高し

馬市に祭控へて残暑かな

寺のある川隈銀杏黄ばみ見ゆ

藁家なるジヨンバの砧また聞かん

啄木鳥や山下り勝の庵の主

見えぬ高根そなたぞと思ふ秋の雲

隔て住む心言ひやりぬ秋の雲

裸湯の人猿が見る秋晴れ

ことし掻けば枯るる漆や初嵐

牧原の隅通ひ路や拾ひ

海を隔てゝ見し方に来ぬ花芒

尾花沢沢潟沢の後の名か

俳諧の功徳も一分寺の秋

遽か雨も冬の近さや西風も

三日泊りせしを上るや秋の空

檜山と峙して満山紅葉かな

鍬形の流れに星座紅葉かな

鳥海を肩ぬぎし雲や渡り鳥

境木の築地になりぬ末枯れて