和歌と俳句

篠原鳳作

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冬木あり自動車ひねもす馳せちがふ

氷上へひびくばかりのピアノ弾く

ふるぼけしセロ一丁の僕の冬

雪晴のひかりあまねし製図室

青麦の穂のするどさよ日は白く

麦秋の丘は炎帝たたらふむ

トマトの紅昏れて海暮れず

トマト売る裸ともしは鈴懸に

太陽を孕みしトマトかくも熟れ

灼け土にしづくたりつつトマト食ふ

月青く新聞紙をしとねのあぶれもの

南風の岩にカンバス据ゑて描く

海描くや髪に南風ふきまろび

向日葵の照るにもおぢてみごもりぬ

枕辺に苺咲かせてみごもりぬ

夕立のみ馳せて向日葵停れる

向日葵は実となり実となり陽は老いぬ

向日葵の照り澄むもとに山羊生るる

向日葵と蝉のしらべに山羊生れぬ

向日葵の向きかはりゆく青嶺かな

向日葵の日を奪はんと雲走る