和歌と俳句

高浜虚子

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一々の芥子に嚢や雲の峰

背低くかつぎをる孀かな

對の屋はあやめの水をへだてつつ

灯取蟲盃洗の水にこぼれをる

蚊遣焚く家やむつまじさうに見ゆ

蝙蝠や原蒲原は間の宿

蝙蝠に打水の杓高く上げ

母子住む假の宿りや月見草

妹が手をふるれば開く月見草

玉蟲の光残して飛びにけり

玉蟲に紺紙金泥の経を思ふ

大寺の柱の下の涼しさ

黒揚羽花魁草にかけり来る