和歌と俳句

高浜虚子

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眉目よしといふにあらねど紺浴衣

涼し左右に迎ふる対馬壱岐

晩涼や大海椰子の蔭に立つ

晩涼や火焔樹竝木斯くは行く

蠍座が出て寝るとせん星涼み

庭石に蚊遣置かしめ端居かな

扇風機まはり熱風吹き起る

扇風機吹き瓶の花撩乱す

待合の簾の裾の路地西日

夕焼の雲の中にも佛陀あり

月青くかかる極暑の夜の町

江水の濁りはじまる夏の海

戻り来て瀬戸の夏海絵の如し

夏潮を蹴つて戻りて陸に立つ

葉高低雨後の蓮池にぎやかに

の中雨すいすいと見ゆるかな

スコールの波窪まして進み來る