和歌と俳句

高浜虚子

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坂なりにだんだん出来し

杉落葉して境内の広さかな

梅雨傘をさげて丸ビル通り抜け

休んだり休まなんだり梅雨工事

国中の田植はじまる頃なりし

蕊の朱が花弁にしみて孔雀草

己が羽の抜けしを啣へ羽抜鳥

バスの棚の夏帽のよく落ること

夏暖簾垂れて静に紋所

虻と蝶向き合ひすがる九階草

滴りの岩屋の仏花奉る

校服の少女くさく活発に

晩涼や謡の会も番すすみ

端居して垣の外の世を見居る

聞えざる涼み芝居を唯見をり

箱庭の月日あり世の月日なし

拝領のもの一竿や土用干

鵜の森のあはれにも亦騒がしく