和歌と俳句

高浜虚子

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へだたりし話聞こえて野路の

避暑宿に日々に親しや天の川

墓参り尚あきたらず水そそぐ

何となく人に親しや初嵐

大いなるものが過ぎ行く野分かな

鳩我に身をすりよする野分かな

葛の棚落ちたるままにそよぎ居り

野分あと風遊びをる萩の花

古の月あり舞の静なし

枝豆に赤き辻占交りたる

霧雨や湖畔の宿の旗下ろす

木犀の縁にひれ伏す使かな

浅草や秋風立ちし扇店

秋風や何の煙か藪にしむ

秋雨の社前の土のよくすべる

並べある木の実に吾子の心思ふ

星隕つる多摩の里人打つ

蘆刈のいづち行きけん午餉時

本堂の床下くぐり萱運ぶ

うで栗の湯気にゆらゆら主婦の顔