和歌と俳句

芥川龍之介

七夕や夜をはなるる海の鳴り

町中を曇りそめけり星月夜

みんなみに曇り立ちけり星月夜

更くる夜を火星も流れ行秋

妻のぬふ産衣や秋の茜染め

秋の日や畳干したる町のうら

据ゑ風呂に頸すぢさする夜寒かな

摺古木に山椒伐られぬ秋の風

迎火の宙歩みゆく竜之介

秋鯖やあだ塩とくる一日干し

一人子の草履干ばや今年藁

いろ鳥やあだ塩とくる鰯かな