和歌と俳句

種田山頭火

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ひとりひつそり雑草の中

雨の、風の、巣を持つ雲雀よ、暮れてもうたふか

宵月のあかり、白いのはやつぱり花だつた

よい雨のよい水音が草だらけ

活けられて開く花でかきつばた

金魚売る声も暑うなつたアスフアルト

いやな薬も飲んではゐるが初夏の微風

なんと若葉のあざやかな、もう郵便がくる日かげ

若葉めざましい枯枝をひらふ

郵便もきてしまへば長い日かげ

窓へ糸瓜の蔓をみちびく

麦刈ればそこには豆が芽ぶいてゐる

これでも虫であつたか動いてゐる

風の夜の虫がきて逃げない

風鈴鳴ればたんぽぽ散ればとんぼ通りぬける

触れると死んだまねして虫のいのち

蜘蛛はほしいままに昼月のある空

蜂もいそがしい野苺咲いた