松はみな枝垂れて南無観世音
松風に明け暮れの鐘撞いて
ひさしぶりに掃く垣根の花が咲いてゐる
分け入つても分け入つても青い山
しとどに濡れてこれは道しるべの石
炎天をいただいて乞ひ歩く
鴉啼いてわたしも一人
生死の中の雪ふりしきる
木の葉散る歩きつめる
踏みわける萩よすすきよ
この旅 果もない旅のつくつくぼうし
へうへうとして水を味ふ
落ちかかる月を観てゐるに一人
ひとりで蚊にくはれてゐる
投げだしてまだ陽のある脚
山の奥から繭負うて来た
笠にとんぼをとまらせてあるく
歩きつづける彼岸花咲きつづける
まつすぐな道でさみしい
だまつて今日の草鞋穿く
ほろほろ酔うて木の葉ふる
しぐるるや死なないでゐる