和歌と俳句

原 石鼎

1 2 3 4 5 6

橙と二穂の稲を蓬莱

樵りぐちのくろずむ枝も初日影

元旦の枯枝へまづ四十雀

奥山や枯木の穂にも初日影

初日門枯れ太幹とならびたる

花がつを舞ふ数の子のうまかつし

奥山やめでたきものに飾炭

白糸にむすびてさびし飾炭

大蛤の吸ひ物あつし松の内

数の子の割れめににじむ醤油かな

とぶさ松そのまうへなる軒の空

天心にかがやく日ありこぞことし

土すこし凍てあるも見え去年今年

雪一日日和一日も松の内

橙の膚と皺孔を飾りたて

橙のただひと色を飾りけり

飾昆布その上に羽子のせてある

金の雲ちらし入る日もお正月

うたてしや火の一つ無く明の春

あらたまのたまの碧瑠璃初日して

新春の碧瑠璃これぞと見入りけり

元日の出る日も富士へしづむ日も

らんらんとのぼる初日や霜の上

初富士の真白の雪に襞も見え

一さきに雀のめざめ寝正月