和歌と俳句

原 石鼎

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九つの黄金仏や枯木寺

鐘楼の古礎や散り銀杏

日暮見ぬ十一月の道の辺に

初冬の鴿の羽音や障子外

枝蜜柑持ちて出で来ぬ枯薄

庭中や雌黄色なる枯芒

笹鳴の日の出まへより一しきり

積む枝を焔くゞれる焚火かな

落葉掃く広き背中のちやんちやんこ

北風や北の星より神の声

流れくる寒紅うりのひくき声

寒鮒の暗きに集るや桶の底

掃きとりて箕に二三輪寒椿

寒椿小さく赤き一重なる

霜とけて大寒こゝに終りけり

おのおのの袖うら紅絹や今朝の冬

茶の花や笹鳴わたるいくそたび

山茶花や鵙尾まはすは大枯木

玄英や門の柊青々と

たそがれのもの見えて居り花八ツ手

小春日や光る草ある草の中

小春窓閉して凭りしピアノかな

黄葉の落葉ばかりの夕かな

青空に松の翠や夕時雨

冬構して朝ぼらけ夕ぼらけ