蓑笠を蓬莱にして草の庵
元朝や皆見覚えの紋処
若水や瓶の底なる去年の水
遣羽子をつきつきよける車哉
袴着て火ともす庵や花の春
口紅や四十の顔も松の内
我庵は門松引て子の日せん
初日さす硯の海に波もなし
奥山や人こぬ家の門かざり
橙や裏白がくれなつかしき
薮入や思ひは同じ姉妹
薮入の二人落ちあふ渡し哉
父母います人たれたれぞ花の春
淋しさの尊とさまさる神の春
灯を消して元日と申庵哉
元日や都の宿の置巨燵
めでたさや飾りの蜜柑盗まれて
輪かざりに標札探る礼者かな
人の手にはや古りそめぬ初暦
乗そめや恵方参りの渡し舟
春日野の子の日に出たり六歌仙
元日の行燈をかしや枕もと
空近くあまりまばゆき初日哉
大家や出口出口の松かざり
蓬莱に貧乏見ゆるあはれなり