和歌と俳句

正岡子規

門松と門松と接す裏家哉

塗椀の家に久しき雑煮

銭湯に善き衣著たり松の内

蓬莱や上野の山と相対す

門番に餅を賜ふや三ケ日

めでたさも一茶位や雑煮餅

蓬莱に一斗の酒を尽しけり

水祝恋の敵と名のりけり

門松やわがほととぎす発行所

烏帽子著た人ばかりなり小松曳

遣羽子の風に上手を尽しけり

初暦五月の中に死ぬ日あり

長病みの今年も参る雑煮

病牀を囲む礼者や五六人

新年の白紙綴ぢたる句帖哉

水入の水をやりけり福寿草

蟹を得つ新年会の残り酒

さそはれし妻を遣りけり二の替

初曾我や団十菊五左団小団

初芝居見て来て曠著いまだ脱がず

梅いけて礼者ことわる病かな

大三十日愚なり元日猶愚也

暖炉たく部屋あたたかに福寿草