梨咲くやいくさのあとの崩れ家
もろこしは杏の花の名所かな
荒寺や簀の子の下の春の草
なき人のむくろを隠せ春の草
種芋を種ゑて二日の月細し
苗代の雨緑なり三坪程
菜の花の四角に咲きぬ麦の中
菜の花の中に川あり渡し舟
菜の花の中に三条四条かな
城跡や大根花咲く山の上
山吹の花の雫やよべの雨
落ちかかる石を抱えて藤の花
赤飯の湯気あたたかに野の小店
のどかさや千住曲れば野が見ゆる
垂れこめて古人を思ふ春日哉
怪談に女まじりて春の宵
春の夜の妹が手枕更けにけり
行く春やほうほうとして蓬原
紙あます日記も春のなごり哉
この春を鏡見ることもなかりけり
牡丹餅の昼夜を分つ彼岸哉
雛の影桃の影壁に重なりぬ