和歌と俳句

正岡子規

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二つ桃一枝や床の上

畑打の王莽が銭掘り出しぬ

春風ににこぼれて赤し歯磨粉

欄間には二十五菩薩春の風

畑見ゆる杉垣低し春の雨

人に貸して我に傘なし春の雨

春雨や日記をしるす船の中

春の山畠となつてしまひけり

内のチヨマが隣のタマを待つ夜かな

や垣をへだてて君と我

のうしろも向かぬ別れ哉

椽端に見送る雁の名残哉

崖急に梅ことごとく斜なり

交番やここにも一人花の酔

花の山鐘楼ばかりぞ残りける

寐て聞けば上野は花のさわぎ哉

ひねくりし一枝活けぬ花椿

名物の蒟蒻黒きつつじかな

弁天をとりまく柳桜かな

連翹に一閑張の机かな

古株の底やもやもや薄の芽

木の末をたわめての下りけり

出て見れば南の山を焼きにけり

雲無心南山の下畑打つ

零落や竹刀を削り接木をす