和歌と俳句

正岡子規

草花を画く日課や秋に入る

病床の我に露ちる思ひあり

十ケ村鰯くはぬは寺ばかり

虫取る夜運座戻りの夜更など

珍らしきみかむや母に参らする

断腸花つれなき文の返事哉

病む人が老いての恋や秋茄子

朝皃や我に写生の心あり

首あげて折 々見るや庭の

花ならば爪くれなゐやおしろいや

女郎花女ながらも一人前

黒きまで紫深き葡萄かな

絶筆三句

十八日午前十一時

糸瓜咲て痰のつまりし仏かな

痰一斗糸瓜の水も間にあはず

をととひのへちまの水も取らざりき