和歌と俳句

長谷川素逝

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霧のなか幹のふとさのしづかなり

祖父の世の子の代の土に柿落ちて

柿落ちて日かげじめりの背戸の土

起ちあがる影の夜寒の灯の障子

ますぐなる音の木の実の前に落つ

木の実落つ音の落葉にせつかちに

掌のなかの木の実をすてて立ちあがる

いちまいの刈田となりてただ日なた

ひろびろと稲架の日なたの日のにほひ

かけ稲の暮れてゆく穂のただ垂るる

秋耕のいちまいの田をうらがへす

籾を干するすの日なたの日もすがら

干籾のひとつぶづつの日和かな

好日のかがようばかり障子はる

障子の日いつてんの穢をとどむなし