和歌と俳句

長谷川素逝

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吹かれゆく心落葉の風の中

ふきまろぶ落葉にしかと大地あり

大枯木すと日かげりてしりぞきぬ

照り昃ることにかかはり大枯木

大枯木日あたるところなかりけり

麦の芽の生ひ出て天を覆ひとす

麦の芽をつつみてひかりやはらかし

麦の芽の立つむきむきに土たひら

雪嶺はるらなり畝はたてよこに

暮れてゆくくらさへ雪の畝ならぶ

まなぞこに尾をひく雪のただならず

寒林のなかうつうつと幹ばかり

寒林のなかのどこかに日のこぼれ

いつぽんの幹のさへぎる冬日なり

風塵のなか日あたりて土の冬

蝋梅の花にある日のありとのみ

蝋梅の花にとどまりかすかな日

蝋梅の花のつくせる日なたかな

四まいの障子いつぱい冬至の日

しづかなるいちにちなりし障子かな

なが住のうつくしくならべつぐ

つげばまことひととせながれゐし