和歌と俳句

夏目漱石

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白梅にしぶきかかるや水車

孟宗の根を行く春の筧哉

梅早く咲いて温泉の出る小村哉

いち早き梅を見付けぬ竹の間

咲くや日の旗立つる草の戸に

や草鞋を易ふる峠茶屋

や藪くぐり行く蓑一つ

咲くやいまだに流行る漢方医

かりにする寺小屋なれど梅の花

文も候稚子に持たせて桃の花

春雨や身をすり寄せて一つ傘

耳の穴掘つて貰ひぬ春の風

岡持の傘にあまりて春の雨

病める人枕に倚れば瓶の

活けて聊かなれど手習す

煮て食ふかはた焼いてくふか春の魚

いたづらに書きたるものを梅とこそ