和歌と俳句

吉武月二郎

春泥や和子の抱ける壺仏

奥津城や顧みすれば夕霞

如月や雪のる杉の花ざかり

阿蘇の煙たなびく余寒日和かな

人の世の月日を惜しむかな

脇堂の泊り遍路や花の雨

行春や娘の届けたる糧の足し

まだ先に霞める凧もありにけり

惜春の遠き展墓に妹と在り

春寒や身にかかはりし忌つづき

暑うして奥嶺も花の古びたる

花を見る命はかなくなりにけり

道のべにみづく墓あるかな

春浅き市にもとむる墓石かな

羅漢堂春の松毬ころげたる

春めくと指をよごしぬ土塊に

花人に見られて荼毘の煙濃し

日と月とうつる真午の春の波