うさぎの博多物語・しょのさん

 

 

 柳橋連合市場から百地の福岡博物館まではタクシーで2000円。運転手しゃんは親切に裏門から入って裏口に乗り付けてくりまちた。ここは、昔のあじあ太平洋博覧会、通称『よかトピア』が開催された埋立地の跡地なの。だから建物もみーんな新しいのデシ。博物館は懐かしきバブルの残り香が漂いまし。

 『ボンベイ展』は面白かったの。人はそりなのに居たけど、まぁそりなりで、見て回れる程度。奴隷しゃんをつなぐ台座とかあって、うさ、ちっと震え上がりまちた。ううっ、こんな時代の奴隷に生まれなくてヨカッタ。富裕階級のお家から発見さりたお風呂の施設には追い炊きが出来るよーになっていて、凪しゃんとまあこしゃんがショックを受けたりもちてまちた。うちは出来ないのに、って。

 んでね。

 イルカ、って書かれていた魚の絵があまりにもらしくなくて、『これはジンベイザメでし』と、うさうさは命名しなおしてあげマチタ。

 お魚を書いた絵は、メジナと鯛とスズキがはっきり分かりまちたよ〜。ポンペイのシトたちもお魚をたくさん食べていたのでちょうネ。突然の天災はいつ来るか分かりましぇん。うさうさはがんばって、身の内に栄養を蓄えておきまーしっ!

 博物館に到着ちたのは1520分くらい。ゆーっくり見て回っていたら、17時になってちまいまちた。福岡博物館には「カンノナノワノコクオウ」の金員や、「酒はのーめ、のーめ」の日本号の槍、などがごじゃいまし。また見にきまちょうね、とユいながら一行は正面玄関からホールを通って中庭をトコトコ。振り向けば、ポンペイに勝るとも劣らないカモという繁栄の痕跡が夕日を浴びてまちた。

 贅沢なお金の使い方だったかもしりないけど、文化というのは贅沢の別名でちょう。うさたちだって、今回はわりとお贅沢なセレブうさぎでし。ほほほほほ。うさうさは生きている今を楽しむのデシ。いつか、の日が来るまでは〜。

 てくてく。バス停まで歩き、博多行きバスに乗ってホテルへ戻りまちた。途中、ホテルとは反対側の博多口の改装工事があっていて、あ、まぁこしゃまどーちたの、迷子になりましよ、こっちよー!

「九州上官が居るんじゃないかと思って……」

 工事のビル最上階に設置されたクレーンを見つめておらりたまあこしゃま。きししし、順調に上官たちにハマってくりていてナニヨリでし。うさは東海道上官に胸キュンだけど、上司にしゅるなら九州上官デシ。きっとあのシトは本気で日本征服、札幌まで新幹線を通して、うさをなきうさしゃまと北海道ワインのもとへ運んでくりるハズなの!新札幌駅は札幌郊外のガトーキングダムのそばに作ればいいと、思う、のーっ!!!

 ぜぇはあ。ちっと興奮ちてちまいまちた。てくてく、博多駅をつっきってホテルへ戻ったうさうさに、かまこたんがお茶を煎れてくりまちた。ありがとぉ〜。あ、しょうだ。夕食の前に食前酒を飲みまちょう。会議室で、優雅にぃ〜。

 うさがグラスを持って先に会議室に行って、なんとなくテーブルの上の鈴を鳴らしたらまあこしゃまが、「はぁい、ただ今ー」って答えてこりまちた。ノリのよいシトでし。でもまぁこたんから訂正が入りまちた。いえっさーって言わなきゃ、と。うぅん、ゴッコ遊びの道も厳しいデシ。リアリティが命でしからねぇ〜。

 六人がけのテーブルの会議室で、シードルをうさたちは、かんぱーい!しょちてごっくんこ。ちっと甘めのお酒で、食前酒にはちょうどいい、でし。おいちぃ、おいちぃ〜。うふふふふ。1850分になったら、マンマ食べに行きまし。そりまでは休憩ね。

「あ、かまこさん、この本を差し上げます」

 と、凪しゃんがバックから取り出したのは、ヒグマのご本でし。『ヒグマ、そこが知りたい』というノンフィクション。苫前に行って以来、ちっとヒグマじみているANNA南国でしの。だって、あんなの、南には居ないんだもん!

「ありがとうございます」

「いやぁ、また夜、眠れなくなるー」

 以前、「羆嵐」を読まれていたかまこしゃまはその恐ろしさを分け与えよーと、にゃんこちゃんとまぁこしゃまに朗読ちていたんだって。『おっかぁが小さくなった』のあのクダリに震え上がるあまり、お風呂を溢れさせてしまったという、悲劇があったとか。

「また猫ちゃんたちに読み聞かせてやってくださいねー」

「はい。苫前の話も怖いけど、福大のワンダーフォーゲル部が遭難した、あれも怖いですよね」

「あれはそんなに大きなクマじゃなかったんですよね?」

「人間は20キロの犬が半狂乱でかかってくるのにさえ対抗しきれませんよ」

 しょんなことをお話しちているうちに日が暮れて、うさたちは駅を出まちぃた。てくてく、筑紫口の正面を横切って、交番の前を通って、お店は本当に近いの。博多駅の筑紫口(新幹線口)から徒歩1分。『大衆割烹ひかり』というお店、でーしっ!

「あら、はじめて〜」

 うれしそうなまあこしゃまに、うさうさも、うふうふ。アラはおいちぃお魚でしよ!九州ではクエのことを『アラ』と呼びまし。アブラボウズという別のお魚が、博多の某・料亭でアラとして出されていたという不祥事もございまちた。ここはアラとアブラボウズと、ちゃんと区別をちてあるから安心ちてね。

以前は……、かも……、でも……、から……。(モロモロの事情により、フセ)

でもあの騒動以来、『アラ鍋』は一人前・3000円になってちまったの。しょんで、予約ちていないと食べられなくなってちまいまちた。たぶん、『アラ』は市場にいつも入るお魚ではないので、入ったときに冷凍さりていて、注文があったら用意ちておくのでちょう。ま・しょーがないでしネ。アラは冷凍に強いお魚だから味は変わらないでしの。

「わー、きゃー」

 お店の玄関の看板にまぁこしゃまは夢中。うさを使って記念撮影でし。今日は土曜日だからお得なサービスデー。お刺身が二割引で、生ビールがジョッキで350円なのでし。

ドアを開けて、予約ちていたうさぎでーし、と言うと、お席に案内さりまちた。テーブルの上にはあら鍋がすでにスタンバってまし。今日はね、鍋は二人前を頼んでまし。三人と一羽で、うさちっちゃいうさぎだから、三人前を頼んでしまうと他のおりおりが食べられなくなるからぁ〜。

「ビール、三つ」

「ラッキョウ」

「マグロのカマの塩焼き、あ、ヒラアジのお刺身」

「タチポン」

 などと、好きな肴を注文しつつ。

「ぐーつ、ぐつぐーつ♪」

 お鍋を煮るのでし。

「切り身、大きい、ですね……」

 うん、アラはおっきぃお魚でしからネ。イチバンおっきい切り身は、女の子の握りこぶしくりゃいありまちた。火が通ると、しょの白身のお肉の木目にそって膨らんで割れるのでしが、ゼラチン質が豊富なのでバラケましぇん。ポン酢のお椀にとって、はい、どーじょ、でーしっ!

「……おいし……っ」

「うわ……っ!」

 えへ、えへへへへへ。

 お二人が美味しそうに食べてくりて、うさ、ナンか、シアワシ。うれちぃなぁ。

「日本酒、ポン酒」

「うん。この味はそうだね」

 まぁこ・かまこご姉妹はしょっちに走りまちた。地酒を追加ちて、はぐ、はぐ。つきだしのヒジキの煮物も、ヒジキがプリンとちて美味しかったの、もちかちたら、姫島で会ったやさしいおばーしゃまが煮ていたヒジキかもしりましぇん。

 日本酒をお代わり、たっぷりの鍋を楽しみ、最後は雑炊にちて、うさ一行はぽんぽんが張り裂けそう。お……、おなかい、っぱい……。ヨタヨタ。お会計おねがい、しまーし!

 お会計は12000円くりゃいでちた。うち、6000円を鍋が締めてましから、お味のわりには気楽な居酒屋なのでし。博多でアラ鍋を食べたら、人数分の諭吉しゃんが普通は必要でしからねぇ。ああ、よいお店でし、ひかりぃ〜♪

「ぷりっぷり、でした」

「おいし、かったぁ〜」

 しょうでしねぇ〜。おいちぃマンマはうさたちをシアワシにちてくりましねぇ〜。うふふふふ。途中のコンビニで甘いものを買って、う、うさはシメの酎ハイも買って、お部屋でまったり。

「……ぐぅ」

 前日、あまり眠っていなかった凪しゃんは早々に陥落。うさもつられて、しゅぴ、しゅぴ。

 明日の朝ごはんにココロをとばしながら、おやしゅみなしゃい、でーしっ!

 

 

 博多駅前のせんとらぁざ・ホテルにはブッフェが入っていて、しょこはお味が良いので凪しゃんのごひいきデシ。ただしお酒はイマイチなのでビールしか頼まないことにちていまし。しょりはともかく、朝食付きの場合、こちらで朝食をいただくのがスタンダァドなの。このホテル、ルームサービスはテナントで入っているお寿司屋しゃんが『出前』をちてくりるだけ、なのでし。

 ちかちながら、本日のうさはセレブうさぎ。最上階のスイートにだけは、朝食のルームサービスがあるの。前日、うさたちはオーダーシートに希望しゅるメニューを書き込んでホテルのシトに渡しておきまちた。卵やジュース、パンの種類やコーヒーまたは紅茶が選べたの〜。えっと、ベーコンとソーセージね。卵はみんな、オムレツでよいのでしね。かき、かき。

 翌朝、8時にボーイしゃんがワゴンを押して持ってきてくりまちた。ご用意いたしますのでお待ちください、と言われて、うさたちは居間で待ちまし。セッティングにはちっと時間がかかったけれど、会議室に行って納得。テーブルの上に広げられた豪華絢爛なモーニング。希望を出したおかずのほかにフライドチキンとポテトがあって、フルーツがついて、しょんで、オーブントースターまで、ついて来まちたよー!

「うーん、さすが」

 うさたちはお席について、昨日、飲み損ねていたグレープフルーツの酎ハイを食前酒にちて、かんぱいちて、はぐはぐ。おいちぃ、おいちぃでしぃ〜。うさ、シアワシ……。

 イベントという試練さえ控えていなければもっと幸せなのに。

「うさちゃんっ!」

「だめよっ!」

 と、叱られつつ、あむあむの、うさぎの朝、でちた。