うさうさの旅行記・しょの2

 

 

北国の日暮れは早くて、やがて夕方。

凪しゃんとMしゃまが銀英伝に揺れている札幌駅前のAスペンホテルへ、Sしゃま、旦那しゃまのクマしゃん、そちてうさの愛する婚約者、極北なきうさぎしゃまがいらっしゃいまちたの〜。

うさうさは、なきうさしゃまにピッタリ。お久しぶりでしの。お会いちたかったデシ。

「こんにちは、お久しぶりですー」

「ご無沙汰ですー」

 む、ご挨拶を交わす凪しゃんのオテテには、札幌クラッシックの缶が。しゃっきお寿司食べながら一缶あけたくしぇに、もう二缶目でしかッ。

「ところで明日、何処か行きたいところは?」

 え、明日も遊びに連れて行ってくりるの?そりも、エボ君で?

 いつもありがとでしぃのよ〜。

「えぇと、北海道ワインと、佐藤水産の工場と、ロイズの工場と、やきとり弁当(ブタ串)を売っているセイコーマートに!」

 行きたいと、いつも贅沢申し上げる、うさうさと凪しゃんを許してくだしゃい。

「よかった〜。Sさんとクマさんが明日ダメだったら、JRで南小樽駅まで行ってそれからタクシーだね、って言っていたんですよ」

 Mしゃまと凪しゃん、手と手を取り合って大喜び。北海道ワインしゃんは小樽の山の中にありましかりゃ。そりでも『行かない』という選択肢がないのは、我がダシュジンながら立派、デシ。

「札幌に来て北海道ワインに行かないなんてあり得ませんからね」

 晴れ晴れと嬉しそうな凪しゃんが、空のビール缶をゴミ箱へ。

「じゃあ夜ゴハン食べに行きましょう」

一同揃って、向かった先は札幌駅の北大側にある、『大地』という居酒屋しゃん。ここはホクレンという、北海道の農作物を司る団体が経営ちているお店でし。だから特産のモノにこだわってあって、色々おいちぃヨ。うさが好きなじゃがバターも、「インカの目覚め」とか「きたあかり」とか、南国では見たこともない、黄色・紫色・オレンジ色のジャガイモがじゃがバターになって出てきて、一皿200円。はぐはぐ。おいちーい。

他にも、カスベ(お魚の名前)のザンギ、若鳥のザンギ、ラーメンサラダ、カリカリしゃがいもピザ、チーズにおにぎり、いももち、おでんを、はぐ、はぐー。

「あれ、このカクテル、美味しい……」

 どれ、うさにもちっと、味見さしぇてくだしゃい。ごくごく。む、ホントでし。こりは美味しいデシ。グラスの縁をレモンで濡らして塩を飾ったスノースタイル、その塩を肴に齧りながらのみのみ出来る、のんべにはこたえられないカクテル風で、お味はソルティ・ドックに似てるけどちっと違うの。ウオッカをグレープフルーツ・ジュースで割ったソルティ・ドックじゃなくて、ええと……?

「チューソルティだよ、ウオッカじゃなくて焼酎。でもこれはグレープフルーツが生絞りですね」

「グラスの底、スプーンで掬えるくらいツブツブが沈んでますよ。ケチってない」

「ホクレンのグレープフルーツは美味しいから」

 もちろん輸入物なのでちょうが、おいちぃことはヨイコトよ!

「すいません、お代わりくださーい」

「あたしもー」

「く、クマも欲しいガゥ」

 うさもー!うさうさはなきうさしゃまとハンブンコでいいでし。うさたちはちっちゃいうさぎだし、らぶらぶだから、二羽で一個でいいの。うきゅ!

「アズキシューマイがありますよ」

「……アズキ?」

 あ、凪しゃんのお眉が寄りマチタ。なんか思い出したミタイ。

「甘いんですか?」

「いや、分かりませんけど。私たちも初めてです」

「……ホントに?」

 みんなでアタシを騙してない?と、ちっと猜疑心が強い凪しゃん。と、いうのも、アズキと凪しゃんと極北の間には、ちっと事情がありまちた。

 お赤飯。

 もち米を蒸して作る、お祝い事の、あの赤いゴハン。

 を、極北では、『甘納豆で作る』の、デシ。

 うちの凪しゃんはなかなか、しょのことを信じのしぇんデチタ。というより、信じられましぇんデチタ。極北人からどんなにそりが本当だと言われても、まさか、と思い続けていたのデシ。

 でもね、しょう、ありは確か二泊三日が四泊五日に延びた爆弾低気圧の時。しょんな不幸が待っているとも知らずに支笏湖と温泉へ向かう途中のスーパーで、パックで売ってあったお赤飯は、たちかに甘納豆(そりも大納言)入り、でちた。

 こりは、しょの逆パターンで、実はみんな知っているのに教えてくりなかったのデワ?と、凪しゃんは疑っているのでし。でも、うさはみんなを信じるよ!きっとアズキシューマイは極北でも一般的ではない、と!

 ん、ミニ蒸篭がきまちた。蓋をとりまし。湯気がふわぁーッ。大きさは普通のシューマイよりちょっとだけ大きめ。アズキが上部を覆い尽くしてマシ。どりどり、うさはおっきいお口をあーんと開いて、アームッ!

 ンッ、中身のあんは豚肉のひき肉デシ。おいちぃデシ。アズキは薄い塩味デシ。こっちもおいちぃでし。アムアム。うん、ひき肉とアズキがねぇ、なかなかおいちぃでしよ。初めての組み合わせだけど、うん。おいちぃよ。ごっくん。

「味は見た目ほどインパクトないですよ。普通に美味しいです」

「極北の方はアズキがお好きなんですね。シューマイにもアズキを使うのかぁ。そういえば銀さんも豆パン食べてましたね」

「えっ、豆パンって普通にあるんじゃないんですか?」

 びっくりの、旭川Mしゃま、そうなの、東京にはないらしいのと、札幌のSしゃま。

「チョコチップパンならともかく、アズキの豆パンはあんまり。少なくとも、私は食べたことないです」

 南国の我がダシュジンが答えマシ。うさうさも、食べたことナイナイでし。ふきゅん。

 極北のおごちそうとお酒を思い切り、呑んで食べて、二千円ちょい。お得なお店でちた。んで、一行はヨタヨタちながら、お部屋へ戻りまし。しょの途中、お話は、凪しゃんが最近、資料と言い張って読んでいるヒグマしゃんのことになりまちた。ん、うさは信じていましぇんヨ。あのシトは気性がケモノなので、昔から動物関係のご本をスキなのでし。

「夢に見ましたよ。ヒグマを狩りに行く夢。でも、ひぐまの足跡をみたことがなくて、『足跡があった、新しいぞ!』って大騒ぎになって、でもその足跡って、ピースサインの根元に丸がついたイノシシの足跡で」

 ピースサインのような足跡?なぜヒグマしゃんにヒヅメが?!

「ヒグマっていうと何年か前にハンターが殺されて埋められていたりしましたねぇ」

「そう、埋められた被害者を発見したとき、向こうの峰でクマがこっちを、じっと見てたそうです」

「ひえぇー、こわいぃいいぃぃー」

「昔の話ですけど、被害者の通夜の席に殴りこんできて、遺体を取り戻そうとしたことも」

「ふえぇぇえぇぇぇー。いや、イノシシもあの牙でやられると太ももスパッて裂かれるし、足を攻撃して倒れたところを牙で刺すし、怖いのは怖いんですけど」

「イノシシは何キロぐらいなんですか?」

200キロ超えた記録的なのがこの前、捕獲されましたが、基本は大きくても80キロから120キロくらいです」

「クマは頭がいいガゥ。目もいいし鼻もきくガゥ」

 Sしゃまのだんなしゃま、クマしゃんが頷きまし。

「南国の大学生集団が四人くらい、連続でやられたことも」

「あれは大学生たちが無知だったガゥ」

「あ、クマさんがヒグマの味方してる!」

 わいわい、お話しながら、テクテク。たのちぃな、うれちぃな。しょのままホテルでお茶をちながら、またしばらくお話をちて。

「明日はじゃあ、11時に出発で!

 はぁい、おやしゅみなしゃい、Sしゃま、クマしゃん。うさとMしゃまと凪しゃんはホテルでネンネしまし。んで、えっと、なきうさしゃま、あの……。

 うさとなきうさしゃまはオテテを繋いで、クローゼットの中へ。

 も、もちろん、ナンにもちていましぇんヨ。うさたちはまだ婚約中、キヨラカな二羽でし。でも、寄り添って、ねむねむしゅるだけでシアワシなの。ふかふか、ふわふわな気持ちになりまぁし〜。

「ガンダムシリーズがちょっと苦手なんです。ナンかこう、独特の重さがあるでしょう?」

 うさたちがクローゼットの中でふわふわちていると、凪しゃんとMしゃまの声が聞こえてきまちた。

「あぁ、それ分かります。戦争やっても、結局ナンにも解決しないっていうか。しょーりしゃなどいーなぁいー、タタカイにつかーれはてぇー」

「まさにそんなカンジです」

「ぜんぜん疲れ果てなかったシャア様は、思えば偉いですねぇ」

「血が濃いんですよきっと」

 赤い彗星も白い彗星も、力強くて、疲れないよ!

「史実のお杉ちゃんは桂に本当に世話をかけてますよ。お杉ちゃんが長州藩邸で殺人事件起こして、それで桂が幕府に呼び出されて油絞られたり」

「えぇえーッ」

「桂はよく我慢して世話をやいてます。家出したお杉ちゃんのことを、お杉ちゃんのダチが、「あの、帰りたがってるから、迎えに来てやって?」って桂に手紙を寄越したり。実家近いし、歳は桂がだいぶ上だし、可愛かったんでしょう。お杉ちゃんは天皇のお供をする将軍に、ヤジを飛ばした度胸の持ち主ですからね。桂は一流道場の師範代を長く務めて余所の藩にも名前を知られていたけど、お杉ちゃんはアレで名前が売れた」

 

 うさうさは、ねむねむでし。くぅ、くぅ……。