ろいにゃん物語

 

 

ある残暑の夜、寝苦しい大佐は魘されていました。

「うーむ、顔の横が熱い……。おかしい。あいつは今夜夜勤の筈……」

しかも「あいつ」にしては小さいのです。

部下達に呆れられるほど寝ギタナイ管理職ですが、耐え切れず目を開くと。

「……ぁ?」

もう百年もそうしてきたような自然さで、毛並みの美しい猫がそこに居ました。

猫は家主の困惑など気にもせず、極上の羽ベッドで睡眠を貪っています。羨ましいですね。

 

 

 

 

「ふむ。わたしも歳をとったな。妙齢のレディーでなく猫を拾ってきたとは」

昨夜は呑み過ぎて記憶があいまいです。若かりし頃、レディー達をお持ち帰りしていたヤンチャな過去を回想しつつ、

大佐は猫を抱き締めました。猫は大佐に甘えて懐きます。

「きみなら構わないだろう。一緒に暮らすかね?」

「にゃー!」

 

 

 

 

猫は司令部にも連れて行かれ、みなに可愛がられてシアワセに暮らしています。

ブラックハヤテ号とだってお友達です。大佐が忙しい時はリザさんやフェリー君に、一緒にごはんをもらいます。

しかし、猫にはべつの天敵が居ました。

金髪の、ハンサムでないことはないけれどおかしなアンチャンです。

へんなことをされるのです。どんなことかというと……。

 

 

 

 

こんなことや、

 

 

 

 

こんなコスプレです。写真も撮られました。

でもいいこともあります。うさ耳コスプレをさせられていたら偶然、

近所のうさちゃんが通りかかり、お友だちになれたのです。

うさちゃんの主人は「れーすちーむかんとく」だそうです。猫にはよく分かりません。

うさちゃんのお仕事は、

「ご主人たちのゴハつくりと家計管理、ご主人の恋人・えふわんれーさーのまねーじゃー」

だといいます。これもよく分かりません。

でも、いまはヌイグルミに乗りうつって、

「南のダシュジンをムチフリちぅでし。嵐の夜の猫・5のシメキリが近いのに、

来年の旅行計画をたてたり、猫大佐ラブーとか叫び出したり。

9/18のイベント前日に持ってくお弁当のめにぅより、新刊を考えなきゃいけないはずなのに、

年甲斐もなく現実逃避ちてばかりなのでしぃ〜」

猫にはいろいろ分からないことばかりですが、とりあえずタイヘンそうなので、

うさちゃんには、お花をプレゼントしました。

「がんばってね」

 

 

 

 

「ありがとうでし!」

うさちゃんはヨロコンデくれました。

渡したお花に添えたクローバーを、むしゃむしゃしながら帰って行きました。

それから数日後、うさちゃんは大変身!

 

 

 

 

 

「見てはいけないうさのスガタを、見てちまいまちたネ……!?」

う、うさちゃん!

「しょう、カワユイうさはにぃにぃのお膝での話。南国のうさは、ビシバシむちうさぎぃ〜!」

か、かわいい……!

「ほぇ?!」

 

 

 

 

ムチを持ったうさの姿は、ロイ猫の好みだったようです。

だいすき・すりすりされ、マスクがはずれ、メガテンになってしまううさぎ。

うさがムチを離したスキに、財布片手にトンズラしようとする南のダシュジンが見つかるまでは、

平和な時が続くことでしょう。

 

 

 

 

おしまい。