残暑の夏・有明の陣

 

 

 グッコミ前日、8月の25日、土曜日、1315分。第一たーみなる到着口。

「……」

 羽田で荷物を引き取った、我が家の凪しゃんはビミョーな笑顔。

「あれ、花頼さんは?」

 同行のエロリの錬金術師・Fしゃまは愛らちく小首をかしげられけまし。うさもピスピス、お鼻を天井に向けて匂いを嗅ぐでしの。花頼しゃま、到着口で待っている、と仰ってくだしゃったのに居ないのは、どーちて?花頼しゃまは約束と時間を守る立派な社会人、遅刻、というコトとはご縁のない方でし。

「速度オーバーか、一時停止無視か……」

 はっ、凪しゃんが縁起でもないことを口走りまちた!たちかに以前、迎えに来てくだしゃった時はアニノロイで、花頼しゃまはスピード違反でパトに捕獲、キップ切られていたけれど。

「電話、してみまぁす」

 Fしゃまは携帯でお電話。しゅぐに繋がって、ふむふむとお話。む。凪しゃんに代って、って?

「はぁーい。いまどこ?パトカーの中?」

 なぜ、しょんな縁起の悪いことをうきうきと喋るのでしか凪しゃん。花頼しゃまのココロにせっかく天使が降りて迎えに来てくだしゃっているのに。そりとも、まだこり以上、アニノロイの伝説を増やしたいのでしかッ!函館で倒木に道をふさがれた、あれで伝説の最終章はジューブンじゃないの?

「あー、じゃあ、前に迎えに来てもらった、端っこで待ってます。うん、スカイマークの先。ハイヤー乗り場のとこ?リョーカーイ」

 同人活動とともに羽田に通うよーになって、既に六年。何度もお迎えに来てくりているので、二人の打合せはスムーズでし。ねぇねぇ凪しゃん、花頼しゃまどーちたの?パトに掴まったの?書かれるものがあまりにワイセツだから?

「それはありえるねぇ。きっといつかはねぇ。でも今回は違った。駐車場に入れなくて、今、大回りしてきてくれてる、って」

 ふきゅ、しょーなの。パトカーの中じゃなくってヨカッタ。指示さりた待ち合わせ場所までテクテク、うさうさたちは歩き、あるき。途中、第一ターミナル向かいの駐車場には、ふきゅん、『満車』の禍々しい文字列!

「あー、ここが満車なの初めて見ます」

「向こうの動いてない車線は駐車場待ちですか?きゃー」

「最後の夏休みですからねぇ」

 後で聞いたら、花頼しゃまでしゃえ、第一ターミナル隣接駐車場の満車は初めてだったしょーデシ。うさは良い子にお迎えを待ちまし。混雑しゅる空港に、お車を乗り付けて迎えに来てくりるなんて、花頼しゃまってば信じられないよーな優しさぁ〜。

 いつものよーに、凪しゃんは凍らせたペットボトル持参の旅、デシ。のみのみ、ちているうちに羽田を大回りちて花頼しゃまのお車が到着〜。うきゅーん、お久しぶり、ご無沙汰ちておりまあし!

 荷物を積み込ませていただいて、コンニチワ!疲れ果てたご様子の花頼しゃま、コーヒーを、どじょ!

「……おつかれぇ……」

 ごくごく、飲みながら花頼しゃまは一路、ホテルを目指してくだしゃいまし。今回もスパコミと同じく、凪しゃんのお宿はワシントン有明なの。駐車場は1500円で14時から10時まで泊め放題。花頼しゃま、今日は泊まって行けばいいのに。

「荷物もってきてないよ。売る本がない」

「朝、早く起きてとりに帰りゃいーじゃない」

「無茶いわないでよ」

 うちの凪しゃんと花頼しゃんの怒鳴り愛に、エロリのFしゃまがちっとだけ、オロオロ。気にしないでFしゃま。喧嘩ちているんじゃないの。いつものことなの。ま・いつも喧嘩しているんじゃないのか、というツッコミには、うさ返す言葉を持ち合わせましぇんでしが。

インターネット予約ではシングルをバラバラにしかとれなかったんだけど、フロントで一応おたずね、ちてみまし。ツインあいてましか?

「はい。1部屋、ございます」

 うきゅきゅ、聞いてみるものでしネ。ホテルもキップも、予約は当日確保分がありましから。しょっちに変更をお願いいたしまぁし〜。お部屋でまったり過ごすには広い方がいいからね。うさたちはお荷物を持って、からころ。荷物を置いて、ごはんを食べに行こう、とちたけれど、うーん。

 時刻は14時過ぎ。土曜ランチには遅い時刻で、ろくなお店があいていないでし。お台場は観光地で、土日に一週間分の稼ぎをあげよーとしゅるから、どこでもねぇ、イマイチねぇ〜。田舎モノ相手にあこぎな商売ちよーとちてぇ。うさは田舎のうさぎだけど、食べ物にはうるさいうさぎよ!

「こういう時は」

「だね」

 む。どつき愛でも気は合う凪しゃんと花頼しゃん。Fしゃまとともにコンビニへ。お弁当とお菓子を買い込んで、ホテルへ!この方がおいちくて、お値段は五分の一くりゃいだったり、いたしましからぇ。あむあむ。うさ、有明ワシントンに入ってるコンビニ、焼き串がおいちぃから好きヨ。つくねとか、豚のバーベキュー味とか意外な美味しさデシ。おやつも買って、三人でお部屋へ。今日も持参の北海○ワインしゃんのポートランドを持ち込んで、ごくごく!

「あー、おいしぃ。……ネムイ……」

 む。凪しゃんは早々とねむねむ。コピー本の原稿で遅かったから、コテンとベッドに転がってちまいまちた。すーっとしょのまま、一時間、眠った我が家のロクデナシ。しょの間、花頼しゃまとFしゃまがお話ちておらりまし。……やがて。

「こんばんはー!」

 色白腹黒の美脚売り子、Hしゃまのご登場〜。御用時を済ませて夕方からの登場デシ。Hしゃま、牙見せて、はえかわったという親知らずの牙!

「これでーす!」

 左側の奥に、あっ、本当にある〜。うえぇぇぇーん。牙が生え変わるなんてぇ〜。

「ごくごく稀にあるそーでーす!第四臼歯でぇーす!」

 第三臼歯のいわゆる『親知らず』さえ四本生え揃うシトはイマドキ、まれなのに、さらにその奥にもう一個、牙が用意さりているなんて、Hしゃま、どこまでケダモノなのでしか。うううぅっ。

 

 

「じゃあごはん、食べに行きましょうか」

「どこにします?もー面倒なら、いっそサイゼリアが近くに……」

 しょんなことお話しちながら一階に下りて、ビッグサイトとは反対側の広場をぽてぽて。うわぁ、うさ、いつも人と熱気で溢れたココしか知らなかったけど、夜だとなんだか、ロマンチックでしネ。しょーいえばお台場というトコロは観光地でちた。

「凪さーん、ドコ行くのー?」

 一人でよそへ行く凪しゃんに、みんなが声をかけてくりまちた。凪しゃんは、アッチとビルを示しまし。あ、ホントだ。『サイゼリア』って書いてある。そっちにありまちたか。

「……みんなあたしが迷子だと思ったでしょ」

 あまりにもはっきりと迷子扱いさりて、ちっと傷つく凪しゃん。

「えへへ、あははは」

「てっきり」

「だって初めてだもん」

 たちかに、地元だと有明ワシントン、なんか泊まるわけないでし。イタリアン・ファミレスの『サイゼリア』を、うさはけっこうスキでし。お味はしょこしょこだけど、早くて安くて、ワインがグラスで100円なんでしもの!

「そこかよ」

 低音のツッコミを受けつつ、ご注文。グリルチキンに、生ハムとチーズに、ピザに、海老のサラダに、カタツムリに、豆のサラダに、イカのオリーブ和えに、スープが二種類、四人分のドリンクバーをつけて、もちろんワインも頼んで、テーブルに乗り切らないくらいのおご馳走。おなかいっぱい、げふーっ!

「あの、パスタ追加を頼んでもいいですか?」

 牙が生え変わったお姫様が、さらりとおっしゃいまし。ええもぉ、スキにちてくだしゃい。こりまた大皿で来た、トマトとベーコン季節のパスタをあむっと、食べてちまうHしゃまは、南国産のおケダモノの名に恥じましぇん。大学で東京に来て、ここで就職もちたけど、産地は南国、福岡なのでし。

 お会計は4400円くりゃい。お酒を飲んでる凪しゃんとHしゃまが1200円、花頼しゃまとエロリしゃまが1000円ずつのワリカン。

「あたしゃ帰る。これからどーするの?」

 花頼しゃまが相変わらずクールにおっしゃいまし。えとね、うさたちはね、エロリしゃまのご希望でお台場駅へ行くの。トイレのご案内をいろんな声優しゃんがやっておられるんだって。そりを聞きに、行くの。

「じゃ、お台場駅まで送ってあげるよ」

 ……え?

 …………ホント?

 レストランからホテルの駐車場へ、しょこからうさたちは花頼しゃまのお車でゆりかもめのお台場駅へ。花頼しゃまは右折左折、高架の下を華麗にドライブちて、お台場駅を探してくりマチタ。

「じゃあ、明日ね」

 クールに去っていく花頼しゃま。クールでも、ナンか優しいでし。どーちたのかちらこの優しさ。うさ、死期が近いのかな?

 ううん、うさは100年生きるうさぎだから違うの。と、いうことは凪しゃんの死期が近いんでしネ。きっと死徴星が凪しゃんの頭上には出ているの。ふぅ、『ロクデナシにすき放題に生きていまちた。本人、悔いはないでちょう』って、うさご挨拶ちてまわらなきゃ。

「凪さんはいつも、飲めない花頼さんの前でごくごく飲むから愛されないんじゃないですか?」

「そうかなぁ。でも、どうしても飲みたいなら車で来ないでしょ、そもそも」

 自力救済・自己主張・自己解決の、時々は自暴自棄。そりがうさぎ仲間の合言葉。

 かつて北の大地では、こんなこともありまちた。人数は七人、車は二台、ドライバーはたくさん。でもみんなワインを試飲ちたかったから、七人が出した結論は、『大型のバンをレンタカーで借りて、クマさん一人に運転してもらう』といモノ。北の七人、のんべぇモノガタリ、でし。

「きっと、花頼さん、Fさんを好きなんですよ」

 という結論の元、三人はお台場駅へ。む、なんか人がいっぱい。うさあっちに行くー!

「おお、夜景が、レインボーブリッジが!」

「勝負かけてるカップルの群れが!」

「東京湾に観光船が。あれが「ウラミシュラン」に載っていたシンフォニー、とかいうモノかな?」

 わいわい、楽しそうな三人。うさもおシッポをフリフリ。うわぁ、うさうさ、お台場にはもう何年も通ってるのに、初めてこんな夜景を見れまちた。感動〜。夜風は涼しい、という訳にはいかないけど、そりなりに気持ちいいよ!

「あ、エロビデオ見てる」

 む。展望台から夜景と反対方向のホテルを見ていた凪しゃんがつぶやきまし。なにしょれ。ホテルの中のテレビの画像のこと?

「うん」

 こりをお読みの皆様、くりぐりも気をつけてくだしゃい。世の中にはこんな視力のアホが居りまし。裸眼で1.5、調子がいいときは2.0。さらに遠視気味なので、数字以上に遠くはよく見えるのデシ。ホテルの部屋にはカーテンをちゃんと引いてね!

 ゆりかもめの駅のトイレ案内は、真面目なアナウンサーしゃんみたいでちた。ま・殿方が女子トイレの案内するのを、ニヤケてやる訳にはいかないのでちょう。初体験のゆりかもめにのんのちて、到着ちたお台場駅ではろり声のかわゆい案内だったヨ。いつかフリーキップを買って全駅の案内を聞いてみたいなぁ。とこりで、ホテルは、どう行くの?夜だから方向がよく分かりましぇん。

「あ、地図がありますよ!」

 売り子のHしゃまがおっしゃいまちた。とことこ。凪しゃん、よく見てね。

「……キミタチね……」

「あたしの仕事は地図を見つけることまででーす」

「凪さんを地図に案内したら、あとはお任せー」

 一行は、ホテルへ帰って、そりから。

「すいません。お風呂、占拠していいですか。一時間ぐらい」

 お風呂セットを片手に、凪しゃんがワガママをゆいまし。

「コピー本の修羅場で、昨日と一昨日、シャワーだけだったんです。限界です」

 お風呂がすきすきな凪しゃんは、いいよというお言葉に甘えてワシントンホテル有明の、ビジネスにしては深くて広いお風呂に沈みマチタ。

 

 翌日。

 会場の駐車場に車をいれた花頼しゃまをお部屋にお迎えちて、朝マック。はぐはぐ食べて会場へ行って、売って買って。

 会場には貪食細胞の良心にちてインテリジェンス・A級の闇夜の森しゃまと共通の総括マネージャー(既に売り子しゃまではない)Oしゃまも、いらっしゃってまちた。おはよーごじゃいまぁし♪今日はOしゃま、花頼しゃまのおうちで売り子でし。花頼しゃまの鉄砲玉に火がついているからね!

 ちかち、いくらナンでも。

開場と同時に、花頼しゃまと凪しゃんが並んでお買い物に行っている、背中が見えたのは、きっとうさの気のせいでちょう。

買って売って売って買ってご挨拶ちているうちに。

「もう片付けていい?」

 ごはんを食べに行きたいらしい凪しゃんが口走ったのは、十二時を過ぎたばかりの頃。

「花頼さんちと話し合ってきてください。あ、花頼さんじゃなくて、Oさんの許可をとってください」

 エロリしゃまと二本目の親知らずHしゃまが、声をそろえて、そう仰いまちた。

 もちろん、撤退はいたしましぇんデチタ。

 夏コミで委託ちてくだしゃった方や、お久しぶりのうさのボディーガード、みなしゃまにお会いできてうさうさは充実の一日を過ごしまちた。

 が。

 伝説は、まだ、終ってはいなかったのデシ。

 いつものよーに花頼しゃまのお車に、みんなでのんのちて浜松町へ。いつものよーにランチを頼んだら、……あれ。

 ……花頼、しゃまのは?

「しっ、失礼いたしましたッ」

 お店のシトたちは、あわあわ。オロオロ。ふきゅーのでんぐりがえり。

「……」

 しょんで、結局、花頼しゃまのランチは来ないまま。

「申しわけございませんでしたッ!」

 支配人しゃん平謝り。んで、結局。

「お会計は、けっこうでございます!」

 花頼しゃま以外のお昼ゴハン代が、タダになったのでし。結果的には花頼しゃまが身を挺して、他の四人にゴハンを奢ってくれた形に。

「おごちそーさまでしたぁー!」

「……」

 複雑、かつ、空腹な花頼しゃまにみんなで、声をそろえた、うさうさ一行でし。

「また来週ね!」

「……うん」

 再会を約束ちて、右に左に、うさたちは解散。

 うさはすてっぷすてっぷ、おうちに帰ったの、でぇし!