瓦礫の下・6

 

 床に強く打ちつけられた頭が痛くて、最初はそれだけだった。
 不愉快な覚醒。やがて意識が弟の声を拾う。何か、言っている。やめろとか離せとか、その人は関係ないだろう、とか。
 ……関係ないのか、俺は。
 悲しさが心に染みて、そこからゆっくりと感覚が蘇る。意識がはっきりしてもいい事は少しもない。腕ごと肩から足首まで、細いロープでぐるぐる巻きにされて、タバコの焦げ痕で汚れた安い絨毯に転がされている。顎を上げると啓介が、後ろ手に縛られて座らされた姿勢で、テーブルの足にくくりつけられているのが見える。そしてロープの隙間から俺の、身体を肌をまさぐろうと蠢く手。
 「気がきかねぇな。こういう美形は脚は縛らないでおくもんだぜ」
 「蹴り倒されたんだとよ、何人か。細い体で……、あぁでも、よく締まってる」
 「いいのかな、勝手に。若頭が来るまで待ってた方が」
 「本番はしねぇよ。くそ、ベルトも外れねぇ」
 「きっちまおうぜ。カッターか何か、あるだろ」
 「あぁ、そういやそのガキが持ってたのが」
 見せ付けるように眼前にさらされる、先端がアールを描いたボーン・ナイフ。……こんなの持っていたのか。
 大人しくされるがままになりながら、ナイフがロープにかかってくれるのを待った。けれども刃は俺の、薄い服を裂いただけだった。
 男たちの口笛、啓介の制止を叫ぶ声。どっちもまるで別世界のように、遠い。危機なのに現実感がない。緊張のわかない身体を、俺は持て余した。
 裂かれた服の生地が引き抜かれる。ロープの下をすり抜ける感覚が、擦れる痛みが、俺を少しだけ現実に引き戻す。あらわれた素肌に這わされる指、唇、荒くなる男たちの息。
 ……物好きな奴らだ。女でもないこんな身体に、そんなに興奮して。
 止めろと、啓介の叫び声が、遠い。どうしてだろう。距離はすごく、こんなに近いのに。うめく歯軋りまで聞こえてくるくらい。
 噛みしめた奥歯の間からこぼれる、曖昧にぼかした声がゆっくり、俺の耳元にとどまり意味を、意識に告げていく。
 俺の、だ。触るな。
 ……雑音の多いそれは、聞く気のない男たちには聞こえなかったようだった。
 俺のって、啓介、お前それ、……誰のこと、言ってる。
 まさかお前のアニキのことじゃないよな。違うぜ。俺はそうじゃない。
 俺を捨てたのは……、お前だ。
 
 高校三年生の正月が終わって、学校推薦で無事に大学も決まった。何処の大学の何処の学部かなんて関係がなかった。ちゃんと将来の事を考えて動き出した息子が嬉しくて、祝いに車を買ってくれという啓介の要求は二つ返事でかなえられた。
 学校に預けた免許証は卒業まで返してもらえないけれど、俺の隣に乗せて峠にもサーキットにも連れて行く。身体の感覚だけでも、先に覚えたいとお前から言い出した。
 だから時間が許す限りは連れ歩いた。お前にはもう授業がなかったし、俺の大学はもう、春休みになっていたから。出入りしてるカーショップにもメーカーの工場にも、お前のことを紹介してまわっていた。
 俺がどんなに嬉しかったか、分かるか。お前の一番近くに居るつもりだったよ。気持ちも、身体も。……なのに。
 『高校卒業したら、俺、家、出るから』
 そんな風に言われて、俺は晴天の霹靂。雷に打たれたみたいに体中が強張って、身動きどころか呼吸も出来なかった。もちろん、引き止める言葉も阻む手段も、思いつかなかった。
 『来ていいって言ってくれる女が居るんだ。大学も近いし』
 ……女。女のところに、住むのか、お前。女、おんな、オンナ。
 ……じゃあ、なぁ、俺は?
 続く夜に軋む痛みを耐えながら、それでもお前が上機嫌なのが嬉しくて、お前をずっと抱きとめ続けてる、俺はじゃあ……、ナニ?
 『車、は』
 荷物をまとめるお前の背中を眺めながら、俺が言えたのはそんなこと。
 『どう。するんだ?』
 『持っていくよ。納車されたら連絡して。駐車場、借りてくれたから』
 その……、女?お前を俺から引き剥がそうとする女が?
 『電話、するから。時々は来るよ。あんたが家に居れば』
 ……来るのか。帰ってくる、んじゃなくって。その女の場所がお前のじゃあ、住処にこれから……、なるのか。
 『とりあえずこんなトコか。また要る物は取りにくるから』
 ディパック一つ肩にかけただけで、気軽に部屋を出て行こうとするお前。着替え以外のマトモな物が入っているとも思えない、軽そうな荷物。
 『……制服』
 壁に掛かったそれを、俺は指差す。
 『卒業式、まだだろ』
 『行くかよそんな、かったりぃ』
 じゃあまたと言われて、ぱたりと閉じられるドア。簡単に隔てられる空間。あんまりあっけなさすぎて、かえって現実感があった。
 いつかこうやって、出て行くとは思ってた。広い冷たいこの家から、お前が。出て行くとしたらお前の方だって、俺は昔から知っていた気がする。……けど。
 女のところに、行くのか。俺を捨てて、ここに一人で残して
 。酷い、と。恨む言葉は重すぎて、一人になった後で、呟くことさえできなかった。
 
 聞いているかと尋ねられ、
 「いや」
 シンプルに答えるとため息が返ってくる。大学の喫茶部で向き合う相手は、幼稚園から大学まで一緒の幼馴染・史浩。
 「しっかりしろよ。最近、催促が苛烈になってきてんだぜ」
 「……何の話だったかな」
 「チームだ、お前の新しい、チーム」
 あぁ、走り屋の、峠の話か。そんなこともあったな。きれいに忘れていたよ。
 「候補者たちもそろそろ限界だぜ。最初に声かけてからもう一年以上だ。お前の赤城最速も他所に知れ渡るくらいの既成事実になったし、じきに本格的なシーズンも始まる。今年のそうだな、五月くらいに結成するって、全員に知らせるぞ。いいな?」
 「……あぁ」
 「気のない返事だ。しっかりしろよ。啓介だって楽しみにしてるだろう」
 その、一言が。
 情け容赦なく俺の胸をえぐる。あの弟の背中が俺から離れたときについた傷口は血の乾く気配すらないまま、どくどく、温かな鮮血を流し続けてる。
 空っぽになる日もたぶん、そんなに遠くじゃない。
 「どうかしたのか、啓介が」
 鋭い友人に、弟の事をよく知ってくれているこの男に、隠そうという意識はなかった。むしろ聞いて欲しい。是非とも聞いてくれ。親にさえ話せないあいつのこと。
 「……出て行った」
 「喧嘩したのか。家出?」
 「家を出たには違いないが、家出……。家出なのかな。女のところに住むつもり、らしい」
 「家出じゃなくて、ずっとか」
 「ずっとだ」
 史浩は眉を寄せ腕を組む。暫く何かを考えていたが、
 「……調べたか」
 厳しい声で言い出したのはそんなこと。
 「何を」
 「色々。女の身元とか、係累とか」
 「名前も知らない」
 知りたくもなかった。
 「俺も野暮は言いたくないがな、お前ん家さえ、普通の家庭なら。啓介はしっかりしてるけど、それでも十八だ」
 そこまで言われて史浩が言いたいことにようやく思い当たる。頭の回転が今日は、鈍い。心に血が足りていないせいだ。
 「女に悪意があるかないかはともかく、妊娠とか入籍とか、そんな騒ぎになってみろ。啓介の将来にも関わる」
 聞きながら、いっそ、そんな騒ぎにならないだろかと思った。妊娠の堕胎の慰謝料の、ということが起これば啓介のことだ。嫌気がさして戻ってくるかもしれない。
 それとも、何があってもその、女を庇いとおすだろうか。
 その時、俺は啓介の……、味方をしてやれるだろうか。
 「それはともかく、チームのことだけどな」
 「お前がいいと思うようにしてくれ」無気力な俺の言葉に史浩は眉を寄せた。が、結局は何も言わず分かったと頷く。
 ブラコンめとその目の端が言っていた。……違うよ。
 昔はそうだったけど今は違う。弟に出て行かれて落ち込んでいる兄じゃないんだ今の俺は。男に無造作に捨てられた衝撃で指一本動かせなくなったオンナ。あんなに、なんでも、させたのに飽きられた。
 「気をつけろ。お前なんだか、影が薄いぞ」
 史浩の言葉に頷き、惰性で授業を受け家に帰る。啓介が帰ってこない家へ。
 
 携帯に電話がかかってきたのは何日後だったか。
 『あ、アニキ?いま何処、家に居るか?』
 居るなら行くけどと、罪悪感の欠片もない声で告げられて、俺の心にわいたのは。
 懐かしさ、愛おしさ、元気そうな声に安堵して、同時に深く憎んだ。俺をこんなんに傷めておいて、平気な声を出す男を。
 「いや」
 家には居ないと告げる。嘘だった。
 『えー。何時に帰るんだよ』
 「わからない。今日は泊りかも」
 『しょーがねぇな。あ、そーいや車きた?』
 「いや」
 本体は市内のショップまで届いたが特注のリアスポがまだで、納車はされていなかった。
 『あそ。じゃ、また連絡する』
 その言葉の途中で嫌な音が挟まる。プーという間抜けたその音は最近聞く事が少なくなった公衆電話の、コインの残りが一枚だけだという警告音。
 女の家から掛けられないのはまぁ、分かる。
 けど携帯も使わないのはどうして?発信記録に残したくないのか俺のこと。一昔前のよくあるドラマみたいに、浮気の打ち合わせの電話をかけるために外に、タバコを買いに行ってくるとか言って出たか。
 携帯を握り締める。握りつぶしたい気さえしたが、微妙な曲線は力を分散してしまい、それは出来なかった。
 俺が出来たのはベッドで唇を噛むことだけ。屈辱に耐えることだけ。捨てられたときよりショックというか、衝動は激しかった。オンナのもとに棲みながら、俺にも手を伸ばそうとするあの男が……、憎い。
 許せなさは、過ぎた要求に身体を痛めつけられたときの比ではなかった。安全ピンの安っぽい刺青を入れられそうになった時さえ、こんなには憎まなかった。
 車か、車……。
 車ね……。
 じきに届くさ。取りに来い、俺が居ないときに。そうして俺とは関係ない場所で乗れ。お前を俺のチームには入れない。俺の世界にも、俺の体にも。無惨な傷をつけながらこの胸に居続けるお前に、それが俺の出来る、せいぜいな復讐。お前にとってどれくらいの意味があるかは、分からないけれど。
 捨てられたことよりも、そうしていながら罪の自覚のない態度が何よりも、俺を傷つけ、また新しい血を流させていく。暖かな感覚が流れ出るのを知覚しながら、冷え切ってしまうのもじきだと確信する。……はやくそうなりたい。
 多分その方が、きっと今より、楽だから。
 
 翌日もその次も携帯に電話がかかってきた。
 その次もさらに四日目も、俺は家には戻らないと告げた。
 三日目だけは本当に峠に居たが、あとは全部、ウソ。五日目、いつものように掛かってきた電話に告げると、ひどく不機嫌に切られた。直後、自宅の方の電話が鳴る。切られた携帯からと同じ苛つきを撒き散らす電子音。分かっていたけれど、出た。
 「はい、高橋です」
 『……居るじゃねぇかよ』
 暗くて、深い声だった。
 でももう怖くはない。俺がお前を恐れていたのはお前を愛していたから。お前に嫌われたくなかったから。お前の悪意がひどく辛かったから。
 でも、いい。もう何もおそろしくはない。俺はお前を、まだ愛しているよ。けれど憎しみの方が強い。お前にどう罵られたって、俺はそれ以上の冷たさで返せる。
 『今から行く。逃げたりしてみろ。探し出して、即、その場でヤッてやる』
 おどし文句にも、俺は返事をしなかった。啓介は俺の反論を待っていたが、しびれを切らして電話をがちゃんと切る。
 静かに受話器を本体に戻しながら、逃げるものかと、俺は心のなかでうそぶく。
 本当に、何も分かっちゃいないんだな、お前。
 俺がお前から逃げるときは、お前から逃げてる訳じゃない。一緒に居ればやって来るだろう決裂が怖くって、お前のまえから姿を消している。……消してやって、いるんだ。
 来るならこい。迎撃してやるよ。お前は俺の敵意をしらない。十八年間、お前から受け続けるばかりだった傷を倍にして返してやる。例えそれで、息の根を止めるのが俺の方だとしても。
 
 決裂は、しかし。
 「ただいま、涼ちゃん、啓ちゃん」
 こんな時間には滅多に戻ってこない母親に阻まれた。手にした荷物には入国審査や空港の審査証がぺたぺた貼られていて、またどっか行っていたのかと思った。
 「どうしたの二人ともそんなに怖い顔して。ご飯食べに行きましょう、ね」
 そんなことを言い出すってことは、彼女は今日まで仕事はないのだろう。なら家に居るはずで、俺と同じ事を啓介も考えたらしい。
 「いい。車がきたら、連絡してくれよ」
 そう言って出て行く。玄関先から引き返す。夜の街へ、オンナの家へ。後姿が寂しそうで、そんな筈はないと思いながらも、それでも切なく見送った俺は、馬鹿だ。
 「どしたの、あれ」
 聡い母親が啓介の消えた方向を指差す。
 「ちょっと喧嘩、したんです」
 「また?でも珍しいのね。啓チャンの方が出て行くなんて」
 「まぁ、ちょっと」
 「なに、啓ちゃん、女の子と同棲でもはじめたの?」
 ……これだから。
 俺はこの母親を持て余す。
 親父よりよっぽど腕のいいもと心臓外科医。もとというのは、今は脳外科医だからだ。心臓の血管が詰まったときに使うバルーンを、脳血栓に応用する事を思いついて医薬品メーカーと共同開発した。
 息子二人は0歳児保育からずーっと人手に任せっぱなしの癖に、どうしてこう、俺たちのことを知っているのか。
 「そんなところです」
 「涼ちゃん、けっこうひどく叱ったでしょ。あの生意気な鼻っ柱が折れてるの久しぶりに見るわ」
 「ぜんぜん。言ってもどうせ、聞きやしないから」
 俺の言葉に母親は顔色を変えた。
 「……捨てるの?啓ちゃんを」
 えぇ、そのつもりです。
 でも、捨てられたのは、俺が先なんです。
 一旦は懐から追い出した猫を、別のオンナとよろしくやってる合間に撫でようなんて、ムリ。俺はそれを受け入れるには、あの弟を真剣に、愛しすぎました。
 「啓ちゃん、だから泣きそうだったのよ。涼ちゃんに見捨てられたらあの子、壊れちゃうわ」
 「まさか」
 あいつはそんなに弱くはないですよ。……俺と、違って。
 母親は啓介の為に弁護しようとした。でもうまい言葉を選べずに、結局。
 「これ、持っていて」
 差し出されたのは札束の入った封筒。
 けっきょくこの人たちはこの手段をとる。啓介が傷害事件を起したときもバイクで事故ったときも。庇ってやろうという意志と愛情はあるけど手段を分からずに、俺に札束を持たせて収集をつけさせる。うまいやり方だと思っていた。けれど。
 「すいません。今回、あいつのケツを拭いてやるつもりはないんです」
 俺は封筒を受け取らなかった。母親の瞳が絶望に曇っていく。
 「そんなに問題がある相手なの?」
 さぁ、どうでしょう。知りません。知りたくもない。あいつが一緒に暮らしてる女なんて。
 きっとこの家より狭くて天井が低くて、台所の物音が寝室まで聞こえてくるような、きっとこの家よりずっと暖かな場所で、あいつを抱き取った女のことなんて。
 
 本気だった。弟の、オンナのことには関わらないつもりだった。
 だから早口で事務所の名を告げられたときも、探してる女をあんたの弟が逃がして、契約金がどうこうって言われて時も、聞き流した。
 けれど。
 「んで、きたんだよ……」
 我慢しきれなくなったらしい男たちがとうとう、俺の膝を拘束したロープを切り裂きだす。裸の内股に触れる空気が冷たくて、目線が熱い。
 でもだからって、身体を庇おうとかは思わなかった。もう、どうでもいいんだ、こんなモノ。女の子じゃないから妊娠するわけじゃないし。
 「んで……、俺なんか、捨ててりゃよかったんだ」
 うん。そのつもりだった。
 男たちが身体を弄りまわす。ペニスを直接にぎられて、身体がさすがに反応した。半月以上、誰とも抱き合っていない。しかも脱がせるために転がされたり引き摺られたりしたせいで移動して、俺の頭は後ろでに縛られた啓介の背中近くに来て、頬がそこに触れた。
 俺を捨てた、固い男の背中。
 震えてる。泣いてるのか、まさか。
 「どーして来たんだよッ」
 叫びに嗚咽が、かすかに混じってる。途端に俺の、下腹に衝撃がきた。
 「……ッ」
 辛うじて声は殺したが、気配は男たちには、隠せない。
 「若頭、まだ来ねぇのか」
 「飲み屋の縄張りの件で本家に寄ってこられますから、もうちょっと」
 最初の一口はボスに貢ぐ原則だけが辛うじて男たちの欲望をとどめている。
 それでも前戯の解釈が拡がって、アソコに濡らした、指を突き入れられる。
 「……ッ」
 腰が揺れた、のは。
 気配で察した弟の背中が震えたから。
 「男、知ってるぜこいつ」
 「そりゃこの見目ならな」
 「ビデオのテープ何本用意してる?二時間三時間じゃ足りないぞ」
 「生殺しだな。ヤッちまえねぇのは。なぁ別嬪さん、あんたも辛いだろ?」
 いいや、全然。
 辛いのは、それを見聞していなきゃならない弟の方。
 俺はだから、少しだけ、幸せでさえ、あるよ。
 これは復讐。なあ、啓介、苦しいか?
 お前のせいで俺はこれから……、輪姦される。二時間や三時間じゃすまないってさ。……どうする?
 「なんで、来たんだ……」
 だって、こいつらが、お前に。お前の。
 顎をつかまれ、うっとり弟の背中に預けていた頬に指が掛かる。口を開けろと命じられ従った。
 縛られた弟の手指が震える。ふさがれることに備えて息を胸いっぱいに吸っても、血の匂いはしない。それだけで、俺は満足だった。
 だってこいつらが、お前の指を切るなんて言うから。
 俺が大好きなお前のその指をさ。
 俺が大好きな、……お前を。
 ぎゅっと握り締められる指の動きを気配で感じながら俺は目を閉じ、苦痛をうけいれる準備を、した。