うさぎのイキスギ函館日記・5
ツアーについている、市電・市バス乗り放題チケットでうさたちは湯の川温泉へ。いこまん、海が見えましよ!まぁ、うさは博多のうさぎでいこまんは岡山のシトだから、海は珍しくないけど、でも、夕陽が沈んでいきましの。らりらり〜♪
あっ、ほら、ありが「函太郎」って、函館では有名な回るお寿司でし。明日、行きまちょうね!しょりから一つ先のバス停は啄木公園前でし。
あ、いみまん、見て見て、あり、ありを!
「なにあれ。あはは」
建物を見たいこまんが笑ってくりまちた。うさも一緒に、うふふふ。ありはね、以前は石川啄木記念館だったの。でも石川啄木では商売にならなかったのか、いつの間にか「土方・啄木記念館」とかいうモノになっているの。はっきりユって史実の資料はろくなものがない色物の記念館だけど、明日、よろちかったら一緒に行きまちょう!温泉地には秘宝館がつきものでしから、ねっ!
「そうですね。あの壁だけで、十分おかしいです」
土方・啄木記念館の壁いっぱいには、例のひーちゃんのお写真、ツラノカワだけで140年、人気を保ち続けているあの写真が引き伸ばされておりまし。いかにも人気にあやかろうという下心が見え見えでしが、ま、よろちぃでちょう。世間にはイロモノも必要でし。イロモノにはイロモノのおかしさがありまし。らりらり〜♪
とか言っているうちに、バスは湯の川温泉に到着。あっ、降りまし、運転手しゃん!荷物とともにうさたちはバスから降りて、道を渡った向こう側に、湯の川プリンスホテル渚亭、って看板のおっきな建物がありまし。
信号が青になりまちた。てく、てんく。
……ん?
おっきな建物の玄関から、スーツのおじしゃまが飛び出してきまちた。全力疾走でこっちに来るよ?
「こんにちは!湯の川プリンスにご宿泊のお客様でしょうか?」
おじしゃまは言いながら凪しゃんのスーツケース(イカメシ・お菓子入り)を奪い取りにかかっておりまちた。
はい、しょうでし、ってお返事しゅる頃には、同じくホテルの玄関から、ガラガラと台車をおちたアンチャンが駆けてきまし。台車に凪しゃんといこまんのお荷物は積み込まれてちまいまちた。
がらがらの音とともに、うさたちはホテルのお玄関へ。ろびぃは、しょんなに豪華絢爛でもないでし。が。
「いらっしゃいませ」
「こちらへどうぞ、海が見える奥へ」
「お飲み物をお持ちいたします、さぁ」
「お掛けになってくださいませ。すぐにチェックイン係が参ります」
うきゅ?
ナンか、しゅごく、みなしゃま、親切にちてくりまし。
ウェルカムドリンクを飲みながら腰掛けてのチェックインは、うさ初体験ではごじゃいましぇん。ホテルのクラブルームにお泊りしゅるとしょんなカンジなの。んでも、今回は、一泊二食つきでプラス4000円というお手ごろ価格の温泉やどの、筈……?
「スパークリングワインをお願いします」
悩めるうさうさをシリメに、しゃっしゃと飲み物リストに目を通した、お酒を注文しゅることにかけては天下無敵の凪しゃんが、多分一番高価であろう一杯を仲居のおねいしゃんに頼んでまし。わぁ、ウェルカムドリンクにお酒が頼めるなんて、ホントにクラブルームみたい。いこまんは緑茶を。二人、嬉しそうにのみのみ。特に思いがけずお酒を飲めて凪しゃんは、ニコニコ。単純なオナゴでし。
「ご記入お願いいたします。本日から一泊でございますね?」
愛想のいい仲居しゃんに、凪しゃんは適当に書いた宿泊カードを差し出しまちた。お酒が飲めればシアワセな人っていいなぁ。単純でうらやまちぃなぁ。どり、うさもちっと味見を。ごく、ごく。
ん、なかなかよろちぃんじゃごじゃいましぇんか?サービスと思うとますます美味しいでし。ごく、ごく。
「お代わりはよろしいですか?それではお部屋にご案内させていただきます」
二人が飲み終わった頃、仲居しゃんが再び来て、しょう仰いマチタ。
「あ、はい」
すっと立ち上がったいこまん。の、お洋服の裾を掴んで、のんべの凪しゃんは。
「お」
お?
「お代わり欲しい、です」
ソファに座ったまま、立ち上がりましぇん、でちた。
……凪しゃん。
アナタッとゆうシトは……ッ!
「あ、はい、承ります。同じものでよろしいですか?それとも、何か他のものを……」
「赤ワイン下さい」
「じゃあワタシはウーロン茶。ホットで」
「はい」
優しい仲居しゃんはにこにこ、受けてくりまちたが。
「さすがですね、凪さん」
クールに感心ちてくりるいこまん。
「いや、だって、お代わりよろしいですかとか聞かれたし。聞かれなきゃ一杯だけでもちろん良かったですけど、くれるなら欲しいし」
凪しゃんがブツブツ言っているところへ運ばれてきたのはワイングラス。中身は濃い目の色合いの赤ワイン。ハウスワインでちょうが、なかなか香りがよくってよろちぃでし。お味もなかなか。ごくごく。ぷはーぁ!
ナンかねぇ、うさこれ、知ってるワインのよーな気がねぇ、気のせいかなぁ〜。
北海道ワインの『道民還元』の、セイベルがメインの、辛口の赤、みたいな気が、ちっとだけいたした、うさでちた。函館にも地ワインはありまし。が、函館の地ワインより、小樽にある北海道ワインしゃんの方がハッキリと格安でし。『道民還元』はコンビニで買っても780円くりゃい。北海道限定で、ホテルの向かいのコンビニにも置いてあったでしよ。
ごく、ごく。ぷふぅ〜。
二杯もタダのお酒を飲んで、凪しゃんはシアワシしょう。仲居しゃんに案内さりたお部屋は、町側で、八畳で、ちっと古びていないでもなかったデシ。でもゼンゼン平気ぃ〜。だってタダで二杯もお酒が飲めたんだもーん♪るんるん♪
お部屋に落ち着いたのは午後の五時過ぎでちた。Tしゃまが夜景を見に行くために迎えに来てくりるのは7時だから、そりまでにお風呂とまんまを済ませまちょ!とりあえず、お風呂お風呂ー!
「はい、はい」
浴衣に着替えたいこまんとともに、うさは大好きな温泉へ!脱衣所に行って、バタバタ服を脱いで、ばっしゃーん!
……ふぅ〜。
……きもち、いいでしぃ〜。
女風呂は二階にありマチタ。海を見渡す広い露天風呂で手足を伸ばして、しあわしぃ〜。効能は、肩こり・腰痛の他に婦人病に効くしょーデチタ。うきゅ。ああ、じんわりぃと、今日の疲れが溶け出してゆきましぃの。しあ、わしぃ〜。
お天気が良くて、右手には函館山がはっきりと見えまし。左手、海の向こう側にぼんやり見えるのは青森かな。大間、って、大間のまぐろで有名なあしょこかなぁ〜。
「マグロというと、ワタシの知り合いが毎年、暮れになると五島に獲りに行きます。出稼ぎ漁でメインは寒ブリですが、ブリ獲りながらマグロも狙うみたいです。暮れに150キロの大物揚げたら、ご祝儀相場ついて何百万、だそうです」
凪しゃんが海を見ながら言いまちた。
「へぇー」
凪しゃんは毎年、獲れたらご馳走食べさせてあげるからな、って言われ続けてまし。早く獲れないかなぁ。
「じゃ、あがりましょうか」
はぁい!本格的な入浴はまた夜に、ね。マンマ食べに行きまちょう、マンマ〜。
「6時になったらレストランに降りましょう。そのまま夜景を見に行けるように着替えてから」
と、凪しゃんが提案。いこまんもうさうさも、着替え、きがえ〜。夜ごはんはバイキングなの。ま・あんまり期待はちていないけどね。所詮はプリンスホテルの系列でしからねぇ〜。
造りは安っぽいながら小奇麗、だけど食べ物はイマイチ、というのがプリンスホテルにうさが持っている印象でし。国立公園ギリギリに建てては日本の文化財を破壊ちてゆくグループぅ〜。長野に勝手に持って行った徳川家墓地の慰霊灯篭、はやく返してくだしゃいなぁ〜。
なんて思いながら、うさうさ一行はレストランへ降りまちた。しょこしょこ人は居たけど、今日は日曜日だからまぁまぁすいてる、かなぁ?れすとらん・きゃぱの三倍の客数を建てて、朝食つきでもろくに朝ごはん食べられないシステムを作るのが得意技でしものねぇ、プリンスホテルしゃんはぁ〜♪
と、ちっとぐれ気味のうさ。品川プリンスホテルで辛い目にあったことを思い出してちまいまちぃたの。あの朝食会場は混雑というモノではありましぇんデチタ。しかもぉ、マンマはろくでもなかったちぃ〜。ふきゅーん。
うさは、食べ物の恨みは100年忘れないうさぎよ!函館のプリンスホテルしゃんに罪はない、とはいえ、なんかぁ、なんかあ、なんか……。
なんか……。
なんか、しゅんごい、いい匂い……。おいちしょう……。
マンマの種類、一杯……。
「凪さん、どうしました?」
辛い思い出を裏切るおいちぃマンマの気配に、耳を揺らすうさのお隣で。
「……ヒラマサ……」
凪しゃんは立ち尽くしていまちた。お目目は珍しくきらきらと輝き、板しゃんが実演でまさに今、大皿にお刺身を引いて盛り付けている手元を凝視、ちていまし。
「天然……?」
ちょっと、アナタ。
瞳孔開いてない?