カラダの味は見た目を裏切らなかった。

「……、ッ、……!」

 悶え狂って全身ビクンビクン、いー具合に痙攣させてるのに泣き喚かない、うるさくなさは好みだ。

「あー……、とけそ……」

 正直な実感を告げながら間近にある耳たぶに噛み付く。歯で挟んでコリッとしてやっただけなのに、殺されるみたいに竦みあがって、そのせいで。

「……、る、なヨ……。オワっちまう……」

 ナカまで締まって、絞り上げられて、こっちが泣き言をいわされる。のたうつカラダに引き摺られて持っていかれるのも凄く気持ちいいけど、まだ、もーちょっと、愉しんでいたかった。

「オタクほんっとに、……うまいよ。ハラ攣りそ……」

 心地よさを正直に告白する。抱いた背中は発情で真っ赤になってて、殆ど発情の婚姻色。オレに抱かれて色変わりしたメスが可愛くって、食い殺したいくらいの息苦しさに喘ぐ。

「……イイ」

 突き上げるより腕の中の相手のビクビクを味わいたくって、ごく緩慢に揺らしながら息をつく。余裕があるのは『おかわり』だから。夜の最初はコイツのお好きな抱き合う姿勢で、ぎゅっと抱きついてくるコイツに梃子摺りながら、枕が外れるくらい突き上げて果てさせてやった。

 だから二度目はオレの好きにしていい。いいって俺が勝手に決め付けても甘ったるい痺れに浸ったままでろくな抵抗も拒否も出来ずに、ピクンピクンしながら腕の中におさまる。

「す、っげぇ……、キモチイー」

 喘ぎ混じりに囁く感嘆の言葉はお世辞じゃない。嘘でもなくて、でも懐柔ではあった。震えが大きくなってきてちょっと苦しそうでも、褒めるともうちょっと付き合ってくれるから。

「イイ……」

 抱いて心地がいい、っていう告白は、男にとって全面降伏に等しい。転がって腹を見せてもいいから欲しい、このキモチは多分、愛情とかいうものだろう、って。

 なんとなく、ぼんやり思ったり、してる。

「……っ、ぁ」

 啼き声がこぼれる。そろそろ限界らしい。柔らかく嬲ってた腰を一回、引いて奥まで、突き入れてやった。

「ヒ……ッ」

 ビクン、って、派手に仰け反る背中を抱きながら息を吐く。ホントに苦しんで泣き出す前に手を緩めてやる、つもりだったけど、開放感はこっちにもあった。

 前を弄ってた手を放す。両手で胸を摘みながら腰を蠢かす。後ろからだとこーゆーコトを出来るのがいい。こーゆーのされるのが怖くてバックからは嫌だとか、そんな我儘を聞き入れてやる雅量はオレにはない。

 こっちはもう負けてる。抱きたい時点で勝負は終わってる。ナンのカンの言って、オスの欲望は情けないぐらい正直。海綿体が充血する反応は誤魔化せない。ヒトを負かしといて、自分が夢中になるのは怖いとか、そーゆーのはナシだ。

「う……、ッ、ヒ……っ!」

 すげぇ尖って、コリコリ。

「……、ヤ……、いて……、ぇ……」

 押しつぶす指先を押し戻す弾力が可愛い。ついでに指の動きに合わせて揺れるカラダの味がすっげぇ、いい。腰の動きと合わせたりわざと外したり、してるとだんだん、声が高くなる。

 野心が、あったり、してな。

「も、イテ……、ぇ、……、ってッ」

 最初の夜から、オマエ、後ろで、イける、いいオンナだった。

 経験なんか、あって当たり前。それを美味いと思ったし思ってるし、熟れて馴れてるカラダをこれだけ食らっててナンだけど、時々ミョーな気分になっちまうのは、オスだから仕方ねぇ。

 このツラとスタイルでこの年齢だ。経験なんか、あって当たり前。アタマで分かってても時々、気持ちが納得出来なくてモヤモヤする。昔のことを聞いたことはないけど。

「ッ、ぁ……」

 つぷん、って、音がしそうな、張り詰めた胸の先端を弄ると痛みを訴えるオンナに。

「イーコに、するかぁ……?」

 喘ぎ混じりに尋ねる。する、って、即座に頷く素直さがカワイイ。ならしょーがねぇな、って、一旦カラダを引いてやる。細い悲鳴があがったけど抵抗はなかった。仰向けに姿勢を変えて、気遣うフリでホントは挿入の気持ちよさを味わいながら、ゆっくりまた繋がっても嫌がられない。抵抗どころか腰を浮かしてあわせようと、される。

「……、だな」

 約束は守る律儀なヤツ。いい子にするって答えた以上はなるべくそうしようと務める健気さを、時々錯覚しそうになる。

 抱きつかれないように手首を掴んで腕を広げさせて、真っ赤に熟れてる乳首をぺろん、って、最初に舐めて、それからちゅうっと、唇全体で包んで濡らしてやる、と。

「……、ふ……、ぅ」

 ほっとした声が漏れる。ジンジン疼いて痛かったのが濡らされて楽になったらしい。疼きは深いところに落ちて、重なった前がしこってくのが、こっちの下腹に伝わった。

「ん、……、ぁ……」

 なぁ、おい。

 俺なぁ、野心が、あるんだ。

 オマエこっちは、最初の頃それほどでもなかった。今じゃ馴れて、喉のけぞらして気持ちよさそうに喘いでるけど、最初はそうでもなかった。覚えてる。

 まぁ、だから。

 コッチでイけるよーに、なったらオマエのマエのオトコより勝ち、とか。

 俺のクセのほーが強くなったら、オマエそいつよりオレの、とか。

 オマエを今、抱いてるオトコは妄想全開でそんなこと考えてるンだぜ。

 ……どーする?