うさぎの大分丸齧り日記・6

 

 

 快晴の空の下、相変わらず高速道路には背を向けて、杵築へ進むお車のなかで。

「……ああ」

 ハンドルを握っていたAぢゃ子しゃまが溜め息。どーちたの?

「うみたまごが私を誘惑するの、うさ。後ろ髪が引っ張られて痛い」

 水族館がだぁい好きなAぢゃ子しゃま。うさもダイスキだけど、落ち着いて!

 今日はどんな日でしか?シルバーウィークの中日デシ。水族館のよーなメジャーな施設は押すな押すなの大盛況、お魚ではなくヒトサマのドタマを見ることになりまし。

 しょーんなことは、悲しすぎるでちょう?ね、ね?大人しく今日は杵築へ行きまちょう。しょんでまぁこしゃまのお家のジョン君とお散歩ちて、城下町を散策ちて過ごしまちょう。別府にはまたすぐに来れましよ!

「うん。そうね、うさ」

 うさの説得にAぢゃ子しゃまは納得ちてくりたみたい。ヨカッタ。未練を振り払ううさ踊りで、大分マリンパレスからAぢゃ子しゃまを招く念波を振り払いまし。一時間もせずに到着ちたまぁこしゃまのご実家の、途中の道には、某・JAが!

「ここですよ。凪さんが旅行によく持ってきていたジュースの製造元は」

 お、ここが、「つぶらなボス」の製造元でしかぁ〜。

「つぶらな『カ』ボスだよ、うさ」

 あ、しょーでちた。うさ間違いまちた。えへへ。

「凪さんがジュース?珍しいですね」

 ウチの凪しゃんはコーヒーとワインを持ち歩くオンナでしが、甘いジュースには殆ど興味を示しましぇん。

「粒々ジュースを大分や東京のお泊りによく持ってこられてましたよー」

 まあこしゃまが証言。たちかに、あらゆる旅行のお供でちた。

「……自分では飲まないので」

「じゃあなんで買ったんですか?!」

「郵便局の局員さんの子犬のような目に負けて」

 同人屋と郵便局は、切っても切れない関係にありまし。特に凪しゃんの生息地域では黒猫しゃんのメール便がまったくアテにならないので、郵便局だけが頼りデシ。しょこの、いつもお世話になっている、とっても親切にしてくれる郵便局員しゃんから、30本入り3000円送料込みの購入を哀願さりて、つい、買ってしまったのデシ。

「応援企画か何かだったんでしょうね。経営難という話ですから」

 まぁこしゃまのコメントに、うさうさは、ウンウン。JAというのは金融機関としてはかなり全国統一さりていましが、共同出荷事業に関していえば地域的な独立性が高いのでしぃ〜。大都市の近郊か出荷に便利な立地なら、商品作物を組織的に作ってがっぽがっぽできましが、高齢化の進んだ山間部では、なかなか……。そりでもジュースを作って、自力で、『原料』ではなく『製品』にちた、目の付け所はヨカッタと思うけど……。

 イカンセン、カボスじゅーすはミカンじゅーすと見分けがつかず、競争力がなぁ。

 そりより、100パーセントのカボス果汁を売り出した方がいいと思うの。うさの自慢の調味料は、カボスの絞り汁と薄口醤油を半々に混ぜてしょこに昆布を落として冷蔵庫で熟成させたモノ。二週間くりゃいで食べられるよーになりまし。とーっても美味しいよ!

「局員さんが好みだったの?」

 付き合いの長いAぢゃ子しゃまの鋭いつっこみ。

「可憐系で、ふだんの私の守備範囲じゃありませんが」

 しょう、凪しゃんは普段、ちっと勢いがありすぎるくらいテキパキした女のシトがスキでし。しょーゆーシトが凪しゃんに気づいて、一瞬だけ足を止めて「ニコッ」とちてくりると、素晴らしい勝利を感じるんだって。うさには分からない嗜好デシ。

「とにかくいつも、お世話かけているので」

 溜め息の凪しゃん。通販を持ち込むと一生懸命に重さを量って、金額を出してくりて、貼付の印紙をぺたぺた貼ってくりるありがたーいシトなのでし。なむなむ。

 しょんなことをお話しちているうちにお車はまぁこしゃまのお宅へ。ちょっと高台にあって、お庭は広くて、ミカンの木が生えていて、石垣があって、大分らしいお家でし。まぁこしゃまのお宅は農家しゃんしゃないけど、お庭にはお野菜や花が植えてありまちた。

 こんにちわーっ!

 みんなでご挨拶、しょちてジョン君に、うさうさはしゅりしゅり。ジョン君、お久しぶりでしぃ〜。

 このジョン君はもと、野良というか、まぁこしゃまの勤務先に迷い込んできたんだって。よろり、よろりと疲れ果て、職員用通路で半死半生で倒れこんでいたのを、まあこしゃまが保護ちてあげたしょーデシ。様子からてっきり老犬の行き倒れと思ったまあこしゃま、死に水をとってあげるつもりで拾って、マンマとお水をあげたら、いきなり元気になって。

 獣医しゃんに連れて行ったら老犬どころか、生後1年くりゃいの若犬と判明!

 猫と一緒に暮らすまぁこしゃま、こりは実家に引き取って貰うしかないと決意。お妹のかまこしゃまが、

『なぁ、おとーさんとおかーさんはねーちゃんを好きか?ねーちゃんがどかんことをしても好きか?』

と、前フリをちてご両親を恐れさせ、『いったい何をしたんだ』と恐れる両親のもとへ、連れ込まれたジョン君は。

おお、犬や、犬やないかぁ!おとーさんは犬が大好きやぁ、と、大歓迎。

おとーしゃんと同じオスしゃん(現在は去勢済み)だったこともあって、あっさり家族の一員に迎えられマチタ。ヨカッタねぇ、ジョン君。うさもしょのうち、老うさぎのフリをちて、まあこしゃまのお家の前に倒れ伏してみようー♪拾ってくだしゃーい

ジョン君と一緒にてくてく、うさはミカン山をお散歩いたちまちた。秋のうららかーな日差しが気持ちよかったデシ。墓地を越えて、お寺を通り過ぎて、まぁこしゃまのお宅でかまこしゃんと合流ちて、杵築の城下町観光へ〜♪

杵築はちっちゃな藩だけど歴史があるから、けっこう楽しかったデシ。坂に挟まれて谷間のよーな街道ぞいに発展した城下町でしの。背景のお写真は油屋の坂、と呼ばれている坂でし。GWにはこの坂を利用して流しソーメンが行われるとか。しゅんごーい!

大原邸、という武家屋敷も見に行きまちた。お風呂の設備が行水だけだったのは、きっと冬には温泉に入っていたのねとうさは思いまちた。

んで、地酒の蔵元へ……。えへへ……。だ、誰のリクエシトだったかは秘密でしっ!蔵を案内ちていただいて、試飲さしぇていただいて、お買い物をいたしまちた。原酒が売ってあったの。しゅごく度数が高かったけど美味しかったの。もちろん、K頼しゃまへのお土産になりまちた。

そりから城下町へ戻ってお昼時だけど、まだお腹すいていないうさ一行はコーヒーだけ飲んで。はふぅー。

「これからどうしますか?」

「まぁこさんは宇佐のお家に戻るんですよね?」

「ええ。でも、かまこちゃんに送ってもらうから、わたしのことはぞうぞおきになさらず」

 と、仰ったやさしいまぁこしゃま。まあこしゃまの心の中では、ここから直接に高速に乗って、お二人は宇佐に寄らずに真っ直ぐお帰りになれば、という気遣いだったのでちょう。

 ……ふぅ。

 まぁこしゃまは優しいデシ。

でも、ANNAをまだ、分かっておられ、ましぇんねぇ〜。

ねぇ、うさとながーいお付き合いのAぢゃ子しゃま、どしましか?

「国東半島を一周してから帰ろうかな。昨日の道、凄く気持ちがよかったし」

 と、仰ったAぢゃ子しゃまに、うさうさも大賛成!

「いいですね。あの道は、とても気持ちがいい」

 助手席ドライブを愛する贅沢な凪しゃんも、賛成〜。

「え……、あ……」

 前日、杵築に生まれて宇佐に住んでいるのに、ワタシは国東半島一周をしたことがない、と、昨日、嘆き悲しんでおられたまぁこしゃまが、カップを持ったまま挙動不審に。

「あの、あの。わたくし、も、ご一緒……」

 遠慮深くそっと手をあげられるまぁこしゃま。

 ほーっほっほっほっほーっ!!

 自分が運転しゅる訳でもないのに高らかに笑う、うさ。

 よろちぃでしよ、まあこしゃま。うさとAぢゃ子しゃまのドライブに一緒に連れて行ってあげまちょう♪助手席の凪しゃんを後部シートに蹴り込んで、しゃあ、まぁこしゃまねどじょ!うさをお膝に乗せてね。ついでに、道の駅でピーナツ豆腐を買おうね。しょんで、ペドロ岐部の資料館にも寄って行こうねぇー!

 ペドロ岐部しゃんというのは、江戸時代の本当の初期のキリシタンしゃんでし。ま・大分は大友宗麟しゃんのお国柄でしから。ペドロ岐部しゃまは頭が良くて、独力でエルサレムを訪れ、ローマに留学して、正式に入学ちて宣教師の資格を得まちた。最後はやはり、処刑さりてちまったのでしが……。

 しょの岐部しゃんがローマで修練院に入る時の自己紹介というか、身上書に、カキカキちていた文章にうさは感心いたちまちた。『健康に優れ、心身はあらゆる苦難に耐えられます』って、もちろん、自分でラテン語で書いて提出しているのでし。しゅごいなぁ……。

 うさは……、あらゆる苦難に耐えられましぇん……。根性なしの、ヤワなうさうさぎ、デシ。

 資料館はもと庄屋しゃんのお家で、凪しゃんの駄本・『天使よ帰還せよ』に出てきた大分の資料館のモデルでし。『国見ふるさと展示館』が正式な名称デシ。国道ぞいの入り口とは違う側がお屋敷の本来の入り口のよーでちた。んで、凪しゃんの気を引いて仕方ない、山城というか、砦の痕跡が間近の裏山に、けっこうしっかりと残ってまし。馬道もちゃんとあったのー。

「凪さん、今の時期はヤバイですよ」

 野生動物の生態に詳しい椋鳩十仲間のAぢゃ子しゃんが止めてくりて、凪しゃんは散策を諦めまちた。ハチがね……。特に、スズメバチがね……。

 しょりからまたドライブ。大潮の日なので、潮干狩りをしているシトたちがいっぱいいまちた。うう、うさも掘りたかった……。

 んで。

 国見温泉に入って、まぁこしゃまを宇佐のご自宅にお送りちて。

 Aぢゃ子しゃまとは下曽根の駅前でお別れ。

 うさの秋の学習旅行は、幕を下したの、でちた♪