『燃えよ剣』で可哀想な双璧について
新撰組をモデルにした小説・漫画・テレビ番組・二次創作は、今も昔もたくさんあります。ふるーい所では、確か宇宙船間ヤマトにも沖田艦長、土方艦長、山南艦長というのが出てきました。空間騎兵隊隊長斉藤始は、モロに三番隊の隊長・斉藤一さんです。以上の知識は、某友人の旦那さま。ご協力、ありがとうございます。
私の個人的名記憶にあるのは、やはり『銀河烈風バクシンガー』。年齢一桁の小学生でしたが、副長の『諸刃のシュテッケン』(癖が悪くて、死んだときは棄てた女が戦場で泣きながら遺体を捜していた)と局長『ドン・コンドール』の関係の怪しさはひしひしと感じていました。沖田の役回り『ビリー・ザ・ショット』は決まりどおりの王子様。特筆すべきは『かっとびの佐馬』(手が早くって、死ぬ前にちゃっかり彼女を孕ませてた)こと原田左之助インスパイヤのあんちゃんがすれた感じの色男だったのをよく覚えています。
ブライガーには『不死鳥のライラ』というナイスバディ・ギャルが居て、その五人が中心だったのですが、ライラは誰だったんだろう。井上の源おじさんの筈はないから、まさか山南か。まーさーかー。斉藤のはじめちゃんはどうインスパイアしても美女に変身できるタイプではなく、美女よりはゴリラかタコが似つかわしい。(個人的に超ご贔屓です)(それと事実は別の話)やっぱり山崎か、山崎だろうかと、未だに悩んでいます。ご存知の先達がいらっしゃったら、ご教示くださいませ。
おにーちゃん、銀河烈風の声が聞こえるぅ〜♪
ともかく、そう、史実の原田といえば『かっとびの佐馬』のイメージが正しいです。決してふとっちょの肥満児ではありません。本人郷里で少年時代を知っている人たち・京都で居候先の家人らが口を揃えて、『ちょー美少年だったよ』『キラキラだった』『もてもてだった』『中間の詰め所のお長屋で先輩たちに……(モゴモゴ)』という話が残るハンサムです。ひーちゃんと違って写真は残っていませんが、二枚目だったという数々の証言の一貫性は準じるものがあります。
性格は短気かつ豪快、強壮にして凶暴、腹に一文字の切腹跡を抱えるヤバイ二枚目イケイケな男で、槍の腕前はかなりのもの。
新撰組隊内・美男子番付アダルト選抜では、ひーちゃんと伊藤のカッシーが美貌随一横綱の称号と近藤さんの愛を巡って血で血をぬぐう争いをしていました。そしてその手前で、原田も藤堂の平助ちゃんと、こちらは仲良しだったから酒を酌み交わしながら大関を目指して競い合っていました。
なのに銀魂の真撰組ではタコちゃんです。ちょっと可哀想です。これは銀魂のタコちゃんを好きな気持ちとは別の意味で、あんまりな仕打ちだと思います。
真撰組ものといえばバイブルの『燃えよ剣』。私も大好きです。ちょっと土方さんが強すぎで格好良すぎますが素敵です。が、司馬先生はこの本の中で二つ、酷いことをしています。二人の人間の名誉を潰しています。いくら創作でもあんまりです。だって史実の実在人物だし、ご縁者もご健在なのだもの。なので、微力ながら、ここでお二人の冤を雪いでおきたいと思います。
一人は上記の原田、もう一人は近藤さんの奥方です。こちら徳川ご三卿の清水家に仕える、ということは幕臣の、松井家に生まれました。近藤さんは婿養子ではなく流儀の後継者として近藤家に養子に入った後、奥さんを迎えています。器量が悪かった悪かったと言われてお気の毒ですが、逆に言うと近藤さんは器量に目をつむって幕臣の武家娘を嫁に貰って自分に箔をつけようとした、とも解釈できます。幕府の武講所師範になりたがっていましたから幕臣の後ろ盾は欲しかったでしょう。
器量は悪かったかもしれませんが、オンナは顔ではないと近藤さん自身が言っています。あきらかなメンクイの癖してナニホザイテヤガル、と思わぬこともありませんがそれにはこっちも目を瞑って、旦那の勇ちゃんがそれでいいと言っていたのだから、器量がよくなくってもいいじゃないですか誰に迷惑かけた訳じゃなし。(←不器量はアイミタガイ)
ともかく。
司馬遼太郎氏は、女嫌いのくせして女の不器量に容赦がない。だからアンタは大阪人なのに食べ物もオンナも味がわかんないんだよオトコのアジには超ビンカンなくせに、と、以上、復讐の悪態でした。(あれ?)
追記しておきます。
わたくしは司馬遼太郎の全集をハードカバーで持っています。
お気に入りのシリーズは文庫本を、風呂で読むために2〜3冊、常にお家に置いています。
でもこの作家のエッセイは殆ど読みません。
私にとってワタジュンとは逆位置にある作家です。