いざ往かん極北の地へ再び・一日目

 

 

 1116日、1305分。

 福岡発のヒコーキは、無事に新千歳空港へ降り立ちまちた。うんちょ!

 フライト時刻は約二時間。今回も、たいへん順調な旅でちた。

 相変らず、新千歳空港は暖かかったデシ。暖房バッチリはいってましネ。凪しゃんの格好は、スラックスに薄い長袖のセーター。『中身は薄く、皮を厚く』という、極北にお世話になること十数回の経験で学んだ格好デシ。おうちの中とおんもの気温差が凄いからネ。

 お荷物は、海外旅行用の真っ赤なスーツケース。中身は、殆ど入ってましぇん。

お土産がすこぅし、地元で採れた路地の、まだちょっと酸っぱいミカンがすこぅし、あと、極北暮らす南国生まれのお友達のために、ゆずとゆずコショウと、職場の屋上で作っていたトウガラシがすこぅし。に、南国のトンコツラーメン、デシ。

ガタガタ、スーツケースを引き摺って、うさと凪しゃんは、JALの国内線到着口Bから出まちた。あと45分で、羽田から白いトラこと、色白腹黒美脚で二本目の親知らずが生えてきた、売り子Hしゃまがトキオから到着しゅるのでぇし。

うさは凪しゃんを連れてB到着口へトコトコ。気流の関係か、みんな早めに着いてるみたい。しょんな中、スカイマークしゃんだけが遅れて、あり……?

Hしゃまの便の到着口がBからAに変更さりたので、うさは凪しゃんを連れてふたたび、A到着口へダッシュ!

「まって、うさー」

 ヨタヨタ凪しゃんが背中で悲鳴を上げましが、うさは振り向きましぇん。Hしゃまは極北はまだ(?)三回目デシ。早く迎えに行ってあげなきゃ、不安で泣いちゃいまし。Hしゃまー!

「はぁーい♪」

 あ、しょの、七頭身のスタイルは!

「凪さんの視力なら先に見つけてくれるだろうと思って、けど手荷物引き取って出ても居ないからアレって思ったんですが、到着口が変更になったって書いてあったからこっちに来てみましたー♪」

 と、仰るHしゃまも大き目のスーツケース。お土産かって帰る気が満々の二人デシ。うさはHしゃまのスーツケースの上によじよじ。

「こっちにおいでよ、うさ♪」

 Hしゃまが肩を指差してくりましが、うさうさはスーツケースの取っ手につかまってフルフル。いやん、トラしゃん怖いの、食べられちゃいしょーなの。でも好きだから近くには居たいの。だからこのスーツケースが、うさのちょうどいい距離なの。えへへ。

「お、ひさ、いら、っごめ、とうじょーぐち、ぜぇはぁ……」

 やっと追いついてきた凪しゃんがご挨拶ちよーとちていまし。が、息が切れていてよく分かりましぇん。うさは構わず、Hしゃまにお尋ね。ぽんぽんはイカガでしか?

「すごぉくすいてまーす!」

 時刻は14時近く。お昼ごはんとちては遅い時間デシ。金曜日だけど二人とも有給をとって、揃って極北の地に降り立ったの。

「でも、夜は寿司です。予約は六時でーす」

「じゃあ何か軽く。あ、ラーメンがありますよ」

「ラーメンは会社が残業の間、ずーっと食べてたからイヤでーす!」

 うむ、しょの打てば響くお返事、はきはきと元気のよい自己主張、そりでこしょ、Hしゃま、立派なANNA(アんたナにアそんでんの)ぐるーぷの一員でし。

「えぇと、じゃ、上の『ユック』に行く?定食は食べられないけど、あそこの定食、量が多いから、二人で分け合ってあとは単品をとれば」

「はぁーい、嬉しいでーす!」

 上階にあるレストラン街へ、うさうさ一行は歩いて行きましの。郷土料理 ユック、というお店は系列店が東京にもあるしょうでしが、そっちのお店より、値段は半分くりゃいで盛りが多い、と、うさ日記読んで寄ってくりたおシトが仰ってマチタ。てへ。二人と一羽でショーケースを、じいぃぃぃいいー。

「凪さん、これ二人で分けませんか?」

 Hしゃまが指差したのは、白樺定食1340円、生雲丹・いくら・蟹の小丼が三個と、おさしみ・天ぷら・ジャがバターに茶碗蒸しがセットになったモノでし。うん、そり、食べたいよ!あと、あのね、イカのぽんぽん焼きも、食べたーい!

「ジャがチーズも美味しそうだね」

「あっ、牡蠣だぁー、食べたいでぇーす!」

 ちょっと、そり、もう、二人前の定食以上のボリュームでは?

「……」

「……」

 ううぅーん。

 ちなみに、二人と一羽が悩んでいるのは、食べきれないからではありましぇん。お金がないからでも、あるけど、おいちぃマンマは健康への近道で人生の基本だから、ないお金をはたくことに躊躇はありましぇん。

この日は、この後の戦いがあるからデシ。

「凪さん」

「はい」

「サッポロクラシック(極北限定ビール)、飲みますよね、もちろん」

「飲みますねぇ、もちろん」

「ビールとつまみで乾杯しませんか。夜の前哨戦で」

「いいですねぇ」

 うぅ、ナンと気の合う二人組。生き別れの姉妹という噂は本当かもしりましぇん。うさも仲間に入れてくだしゃいな。お店に入って、おねいしゃんにオーダー。札幌クラシック生をジョッキで、それに生牡蠣630円と、じゃがチーズ360円と、イカのぽんぽん焼き630円をくだしゃーい!

 ビールが来まし。かんぱーい、ごきゅごきゅ、おーぃちーぃ!じゃがチーズは、おっきぃジャガイモを三個、お皿に入れてチーズかけて焼いてありまちた。うさはお皿にこびりついたチーズまでこそぎとるよ!イカのぽんぽん焼きも、たべごたえがあって、おいちぃの。焼きイカでしが、ぷちんとお口の中で切れて、お祭りで売ってるゴムみたいにくちゃくちゃ、噛んでも噛んでも飲み込めないのとは違うネ。うさは普段、呼子のイカの供給地・神湊(こうのみなと)の隣に住んでるから余所でイカは食べないんだけど、極北のイカはおいちぃナ。

「はい、こちら昆布森から直送の生牡蠣でございます」

 こ、昆布森って、ドコかな?あとで調べたら釧路でちた。牡蠣しゃんは、凄くおっきかったデシ。うさが考える最大の牡蠣をとぉに超えてまちた。おい、ちーぃ!

 新鮮な生牡蠣しゃんには、勿論、くしゃみなんかは少しもなく、レモンを絞ってちょっとだけ牡蠣酢につけて、おクチをあんぐり、一生懸命あけて一口で、ぱくっ!うぅーん、歯があたるとプリンと弾けていくおいちしゃあ〜♪

 しょこからじわっ、といよりびゅわ、っと、海のミルクが滴りまし。んきゅ、んきゅ、んきゅっと噛んで、ごくっと飲んで、びぃるを、きゅーっ!

 きゅーっ!

 きゅわーん!

 じゅきゅきゅーん!

 きゅいきゅいーん!

 うっうっうっ、この感動、どーしゅればみなしゃまに伝えられるのでちょーか?!

「……」

「……」

 あっ、うさが感動ちている隙に、Hしゃまと凪しゃんが貪り食べてる。

 うさもーっ!

 

 ヨタヨタ。

 うさうさ一行は、いい気持ちでお店を出まちた。おごちしょうしゃま!

 ココはおいちぃでしが、空港の中のお店でし。石狩にある佐藤水産のサーモンファクトリーや札幌城外市場のグルメ亭、なんかに比べると、色々ちょっと、落ちるかもしりましぅん。でも前哨戦とちて、こんな便利な場所にあってくれて、うさうさはそりだけで嬉しいデシ。北の味覚のファミレスと思えばよちぃのヨ。げぷーっ!

 満足しきって、トコトコ、高速バス乗り場へ。切符を買って札幌行きのバスを待ちまし。新千歳空港から札幌まで、JRなら40分、高速バスだと1時間。でも、こんかいの旅行は、一泊目がススキの交差点のニッカオジサンから徒歩一分の、ラマダホテルサッポロ。二泊目はいつものお気に入り・ガトーキングダムなのデシ。ホテルまでの時間と手間は、札幌駅で地下鉄に乗り換えるよりススキノに停まるバスの方が近くてラクチンだと、うさうさは判断いたちまちぃたの。

 バスを待つために、おんもに出た、途端に、二人は。

「さむいさむいさむいさむいー!」

「二月、二月ですよ札幌は、もう真冬!」

「こごえるー、凪さん、くっつきましょう!」

「う、うん。そうだね」

 うさもくっつきまし。ぴとん。トラしゃんは怖いけど、トラしゃんは舐められるだけで済むかもしりないけど、サムサで凍え死んじゃったら、なきうさしゃまに会えないー!

 千歳まで来ておいて、なきうさしゃまに会えずに客死しゅるのは、イヤイヤでしーっ!

 騒ぎながら震えるうさたちを、バス駐車場の整備のおじしゃんは、珍しそうに、見てマチタ。ふきゅーん。

 高速バスに乗り込んで、一路、目指すは札幌の街。バスは順調に進んで行きまし。高速道路の時間は短めで、車窓から見える景色が極北デシ。まだ四時なのに、もう暗いし。くら……、え……、あの……。

 今、窓の外にヒラッとちたのは、ナニ?

「凪さん……」

「いうな、Hちゃん」

 う、うううう、札幌ドームを背景に、あ、あの、白いひらっ、とちたものは……!

「いうな、うさっ!」

 うえーん、うえーん、うえーん。

 やっぱり、JRにしゅればよかったでしぃー。

 うさ、生きてサッポロにたどり着きたいよぉー。

 うえぇぇええぇぇーん。

 

 そちて、十五分後。

 うさは生きてススキノ交差点にたどり着きまちた。

 運転手しゃんは親切に、バスのぽんぽんの中からスーツケースを出してくりて、お気をつけてと、笑ってくりまちた。

 ごめんね運転手しゃん。南のシトと一緒にちちゃって。南国で、お車は、『雪が降ったらみな滑る』ものなのでしが、北国ではみなしゃま、とっくにスタッドレス(南国では売っていないタイヤ)というものを穿いておらりるのでしネ。

 バイバイと手を振るうさうさを置いて、Hしゃまと凪しゃんは、バス停の向かいのビルのロビーに駆け込みまし。ナニちているのかな、と思ったら、あ、コート出してる。

「はい、Hちゃん、皮手袋あげる。作業用だけど」

「ありがとうございます。忘れてきたから、うれしいです」

「よし、モコ一号、完成ッ」

「はい、モコ二号も完成です」

 スーツケースの中からコートを取り出した途端、ケースの中はすかすか、そりくらいモコモコの上着でし。うさはHしゃまの懐に入りまし。もぞもぞ。モコモコっとちた生き物が二匹、もう寒さには負けないぞという気合とともにススキノ交差点に飛び出しまちた。ちかち。

「さむいー」

「さむいー」

「さむいー」

 一生懸命にモコってみても所詮は南国産。北国人たちがまだ薄いコート一枚で闊歩する、粉雪の舞う大通り交差点で、信号待ちの間も肩を寄せ合いまし。

「さむい、さむいですー」

「がんばれ、徒歩一分だ!」

「一分あれば凍っちゃいますよこの風じゃ!」

 ぶるぶる震えながら、うさ一行は、なんとかホテルに飛び込みまし。こここ、コンニチハ、よよよ、ヨヤクちているうさぎ一家でし。お部屋に入れてくだしゃーい!

「はい、いらっしゃいませ」

 にこにこ対応ちてくりたフロントでカードキーを貰って、うさたちはお部屋になだれ込みまちた。ススキノど真ん中、ラーメン横丁のお隣、ツイン一泊、二人分7500円。11月という、スキーも出来ないオフシーズンならではのお値段でしの。お部屋も広くて、そこそこキレイでちぃたヨ。

「らんらん、らんらららんらんらん♪」

「Hちゃん、コーヒーと紅茶と緑茶、どれにする?」

「コーヒーくださぁい!」

「はいよ」

 凪しゃんがお茶を煎れまし。うさはブラッシング、凪しゃんもちょっと髪型を直しまちた。しょんで、二人でちっとシックなお洋服に着替えてまし。夜のススキノに出撃しゅる準備でしね!

 と、思って眺めていたら。

「……化粧したくないなぁ」

 凪しゃんが申しまし。基本的にお化粧がヘタな凪しゃんは、休日はスッピンでし。本日もスッピンでし。まぁいいかげんオバちゃんだからイマサラいいんだけどぉー。

「おすし食べに行くのに、口紅塗るのも、バカみたいですよね」

 あっ、ピチピチのHしゃままで、しょんなことを言うー!

「やめようか」

「やめましょう」

 ああっ、なぜ、こう、気のあう二人組でしかッ!

 うさうさは、北国のお寿司への期待を胸に、お耳を抱えたの、でちた。

 

 

            ススキノ・クノウのうさうさぎ しょの一