ある日のある時・うさうさ、レース観戦に行く

 

 

 キシュアアアア!

 ンドブルバララァーッ!

 ウピーッ!

 きゅいーんッ!

「うさうさ、暑くないか?」

 ムム、邪魔ちないで、ふーみん。

 うさは今、爆走ちていくお車のキモチになっているんでしぃのヨ!

「うさぎ、暑くないか?」

 あふん、にぃにぃ〜♪

 てへへ、うさは大丈夫でしぃの!とぉっても、楽しいでし!

 今日、うさうさはふーみんとにぃにぃの、おチゴトを覗きに来まちたの。毎日、ふーみんもにぃにぃもお外に行って、うさお留守番ちてまちたけど、一体ふたぁり、ナニちているのかな?

 ついでにハンサムしゃんも、お外でお仕事、ナニしているでしか、って。

 訊いたら、にぃにぃとフーミンが顔を見合わせて、

「知らないのか?」

「そういえば知らせていなかった」

「連れて行くか、今度」

「そうだな」

 そんなお話、ちてまちた。んで、今日は、さぁきっとっていう場所で車の競争を、観戦!

 おっきい音がしましぃの。おヒトが一杯、いましぃの。んでもって、目の前をお車が、しゅっごい勢いで通り過ぎてゆきまし!うさは真っ赤なお星様マークつけたお車がご贔屓でし。ニンジンしゃんに似てるから。頑張ぁれ!

「頭痛かったり、しないか?」

 人ごみと日差しが心配だ、って、にぃにぃがうさを抱え直してくりまし。ふーみんが持ったバスケットの中には、ひんやりタオルとお水のボトル。

「水、飲んでけ。脱水症状になるから」

 はぁい。うさは、んく、んく。

 あ!そうちている間にもまた、ニンジン・カーが廻って来まちたの!頑張ってぇ〜!

 ねぇ、にぃにぃ。

「なんだ?」

 にぃにぃもこんなお仕事をしているの?

「俺は車には乗らないが、関係はある。あそこにほら、ピットがあるだろう?」

 あ、うん。

 タイヤを外したり、嵌めたりちてる、あしょこネ?

「あそこを作るのが俺たちの仕事だよ。タイヤを用意したり、タイヤを替えてくれるメカニックを用意したり、タイヤを買うお金を用意したり」

 ふぅん。地味なお仕事、なんでしね。

「そう。土台だから。……根っこかな」

 うさを撫でてくりながら、にぃにいが言いましの。

「まだこんな、大きな花は咲かないけど」

「そのうち咲かせて、みせるさでかいのを」

「そうだな」

 あ、またニンジン・カーが来まちたの!

 ガンバッテェ〜♪

 

 レースが終わって、うさうさが、一生ケンメイ応援ちたニンジン・カーは、二番目でちたの。じゃんねん。

 うさのニンジン・カーを負かせたのは、黄色のお車でちた。ぷんぷん。

 表彰式が始まる時、

「……ミスター・タカハシ?」

 後から、にぃにぃに、尋ねたお人が、居まちた。うさとにぃにぃが振り向くと、四角いカードを首から吊るしたシトが立ってまし。

「失礼します。そのうさぎを」

 う、うさでしか?

「戴きたいのですが」

 うーッ!

 うぇ、う、う、うさはぁ〜!

 たちかに、世界一可愛くてお行儀が良くて、みなしゃまのアイドルうさぎ、でしけど!

 でもでも、にぃにぃのうさぎなんでしの!

 うさ、にぃにぃから離れましぇん!びとん!

 うさうさ売買は、重罪でしぃのよ〜!

「どうぞ」

 ……え?

 ……にぃ、に……、ぃ……?

「じゃあな、うさぎ」

 にぃにぃの、オテテから、男のシトのオテテに、うさは渡されてちまいまちた。

 ……うぇ……。

 うぇええぇぇーん、にぃにぃー!

 いやぁ、イヤイヤァ!

 にぃにぃ、うぇーん、うさを棄てないでぇ!

 いいコにしゅるから、うぇーん!

「こら、暴れるな」

 男のシトから、うさは逃げようと、ゲシゲシ。

「痛い、いてててッ!」

 んでも、男のシトのお手はうさから、離れましぇん。うさ、お耳をつかまれて、力が出ましぇーん!

 にぃにぃーっ!

 うさの叫びに、にぃにぃは笑って手を振るだけ。

 お横で、ふーみんが困った顔。

 ふーみんでもいいでし!助けてぇ〜!

 うさ、他所のヒトに貰われていくの、イヤでしぃ〜!!!!!

 

 ……うっく……。

 ……ひっく、えっく……。

 うぇ……、うぇえぇぇー。

 にぃにぃが見えなくなって、うさうさは、びぇええぇぇーん。

 にぃ、にぃ……。

 棄てるんでしか……、うさを……、びえぇぇぇー、びぇ……。

 ひっく、え……ぐ……。

 男のシトに抱っこしゃりて、うさは、暗い通路を、何度も折れ曲がりまちた。

 一生懸命、覚えておこうとちまちたが……。

 うさには、オテテが二つとアンヨが二つしか、ないでしぃ……。

 右、右、左右、で、もぅ……、もぅ、覚えていれましぇん……。

 うさ、もぅ、にぃにぃの処に戻れましぇん。……びぇえぇぇぇーん。

 ひっく、ひっ……、っく。

 うぇ、ええええぇーん。

 あ。

 お外に、出まちた。

 んでも、ずっと暗い建物の中だったのと、泣き泣き、ちているしぇいで、うさは周りが見えましぇん。

 ……、ひ、っく、ぅ……。

 男のシトから、うさは、別のおシトに渡されまちた。転売でしか?うさ転がしでしか?売られるたんびに、うさの借金は嵩んで、死ぬまでカラダを売りゃされるんでしか?うぇーん!

「……、ぎ」

 う……、ぇ?

「うさぎ、うさうさぁ!」

……エ?

「よく来たな、うさぎ。ほぅら!」

 ……ぇ。

 うさは、おメメを、パチパチ。

 涙が晴れて、ぼんやり霞んだ視界の中で……、うさを。

 両手でたかァく、抱き上げてくりぇて、るのは。

 ニンジン・カーを負かした、一番だった黄色い車と、おそろいの黄色いスーツを着て。

 金茶色の、髪がきらきら、光って見えまし。

 笑ってる、お顔のオメメにはうさと、青空。

 ハンサム、しゃん?

「うわっぷ!」

 キャアアー!

 お隣から、雨がぁ!

 と思ったら……、おぉい、チイ。

 しゅっごくオイチイシャンパンでし。んく、んく。

 お隣を見ると、あ!赤いお星の、ニンジン・カーのレーシング・スーツのしとが、シャンパンの瓶を持っていまし!

 きゃうきゃう〜!

「うさぎ、落ちんなヨッ!」

 うさうさをお肩にのっけて、ハンサムしゃんも、持ってたシャンパンで応酬〜!

 うさは、ハンサムしゃんのお肩にのんのしながら、お首だけ伸ばして、虹色のシャンパンを、受け止めようと、ちてまちた。

 そちたら、ニンジン・カーとは反対側から、うさのお口へ向けてシャンパンの雨が!

 きゃう、アリガトウ、でしぃ〜!

 周りを見れば……、みぃんな、オテテを振って、くりていまし!

 お花が降ってきまし!

 しゅごい、しゅごぉい!こり、ナンでしか?

「勝ったお祝い」

 うさに教えてくりながら、ハンサムしゃんが、うさうさに、チュッ、ってちまちた。

 一カ月ぶり、くらいのちぅでし。

 うさうさからも、ちぅちぅ。

 ワーッて、歓声が沸きましの!みんな、うさとハンサムしゃんを見てるんでしぃの!

 きゃうーん!

「……キモチイイだろ?」

 うさをお肩に載せて、周囲にオテテを振りながらハンサムしゃんが言いまちた。

 ハンサムしゃんが手を振ったスタンドでは、みんなが立ち上がって、両手を上げてくれまし!

 うさも一緒にご挨拶。ぺこり。

 きゃあ!うさにも、みなしゃん、オテテを振ってくりましよ!

「すっげぇキモチイイ、だろ?」

 うん!しゅごぉーく!

「ここにアニキと立つのがユメなんだ」

 え?

「俺が今、ここに立ってんの、アニキのお蔭だから」

 しょ、なの?

 タイヤを用意ちたり、タイヤ替えてくりるおシトを用意したり、タイヤを買うお金を用意したり、ちてくりたの?にぃにぃが?

「いつかここに、アニキと一緒に立ちたい……」

 熱心に、周囲にオテテを振りながら、ハンサムしゃんが言いましの。

「秘密だぜ?言うと叶わないって聞くから。……俺の、一番大事な夢」

 しょうなの?

「そう。絶対、叶えたいんだ」

 

 

 

 

 

 

 ある日ある時・うさうさ、表彰台に上る