ある日のうさ日記・お天気の休日

 

 

 お外は晴れて、いい天気♪

 こんな日は、うさはうさうさ・ダンシング♪

 ダダン、ダンダン、ダダダン・ダ♪

「うぐぁ、うさ、ぎぃ〜ッ」

 あ、おはようでし、ハンサムしゃん。

「おはよう、じゃねぇ。退けッ!」

 きゃうん!うさうさ、ベッドの上から払いのけられマチタ。んでも、うさは、負けましぇーん!

 も一度、よじり、よじり。

 ベッドに乗って、トコトコト。ベッドサイドのライトの上まで登って、うーんちょ。

 ハンサムしゃんの、ミゾオチの上を狙って、ポトン。

「うぎゃー!」

「啓介、遊ぶなら外でしろ」

「遊んでねーよ。……クソッタレ……」

 いやん、ハンサムしゃん、お下品でしよ。うさは、ぷりぷりは、ちゃあんとオトイレで、しまーし!

 頭をガシガシ掻きながら、おベッドからカラダを起こしたハンサムしゃん。

 またおパンツ一枚で寝てたでしか?不機嫌な表情とハダカの上半身が、ムダにイロッポイでし。

 枕もとから煙草を取り出して、火を点けて、ふーって吐き出して。

「……で?」

 うさうさに、流し目で、お尋ね。

 機嫌が悪いと、オトコのイロケ、ムンムンなおシトでし。

「何の用だよ、うさぎ。明け方に帰って来た俺を無理矢理起こす用事だろ?大事な急用だろ?」

 うん。とっても大事な、ご用事があるんでし。

「言えよ。つんねー用だったら、お前を枕にして寝直すぜ」

 あのね。お外、とってもいいお天気、なの〜。

 お散歩に、行きたいの〜。

 こんな日にお外に行かないなんて、モッタイナイ、のぉ〜。

「一人で行って来い。……じゃあな……」

 いやぁん、ハンサムしゃん、ねんねちちゃ、イヤイヤぁ。

 うさはハンサムしゃんのお耳たぶを、齧りッ!

 ムム。ハンサムしゃん、毛布を頭まで引き上げてカラダに巻きつけて、しゃてはミノムシ作戦でしネ!

 うさ、負けましぇーん。おベッドの、裾にまわりこんで、かかとを、カプッ。

「ってぇ、痛い、うさぎ、いてえッ」

 きゃうん。イヤイヤぁ。うさ、逃げるぅ〜!

「この野郎、待ちやがれッ!」

「啓介。その格好で外に出るな。警官に連行されるぞ」

「あ、サンキュ、アニキ。ちょ、うさぎ、待てッ」

 んふふ〜。うさうさを捕まえて、ごらぁん♪

 大急ぎでジーンズを穿いて長袖のTシャツを着たハンサムしゃんが、うさを追いかけてきまし。

 うさうさは、踊りながら階段を、駆け下りましぃの。ルンタッタ♪

 アパートの玄関で守衛のオジサンにコンニチワ。顔なじみのオジサンは、笑っておドアを開けてくりましの。石段を二段とびで跳ねて、うさうさは天気がいい、お外へ〜♪

 ちっと気温は低いけど、とってもお天気、いいんでし。

 もーちっと、したら寒くて、お散歩できなく、なりましの。

 しょの前に、いっぱいお外で遊ばなきゃ。

 うさうさは、石の歩道を駆けて行きましの。お車禁止の商店街へ向かって。

 ようろっぱのお道は広くてキモチイイ、でし。歩道の花壇、もう、お花は咲いてましぇんけど、まだ土が黒くて、イノチが残ってまし。

 もちっと、ちたら土さんも眠っちゃうから、うさその前に、花壇の土の上に、ポトン。

「捕まえだぜ、うさぎぃ!」

 きゃう!つかまってちまいまちたぁ♪

「この、このこのーッ!」

 きゃうん、ハンサムしゃん、くしゅぐらないで、くすぐったい、でしぃ〜。

 んふふ。……ちぅ。

 お帰りなしゃい。御久しぶり、でしの。

 先週、帰って来れなかったから、二週間ぶりでしネ。

「……あぁ、そうだな」

 来週からはハンサムしゃん、一足早く、日本に行くんでちょ?

 暫く、またお会い、できないでしぃの、ネ。

「……あぁ」

 だからイッパイ、今日は遊ぼう、ネ!

「……そうだな」

 うさうさを両手で持って、ハンサムしゃんが立ち上がりまちた。しょこへ。

「啓介。風邪をひくなよ」

 ジャケットを持ったにぃにぃが追いつきまちた。

「うさぎ、お前もだ」

 あ・はぁい。ふーみんの、おパンツドレスを、うさは、ハキハキ。

 時刻はお昼前。街にはおシトが沢山で、ゆったりみなしゃま、歩いて秋を、愉しんでまちの。

「啓介」

「ん、ナニ?」

「せっかく出てきたんだ。昼飯を食べて戻ろう」

「あ、うん」

 しょう、しょう。

 うさうさが、せっかく、お外に連れ出してあげたんでし。

 オイチイもの、うさにも食べしゃしぇて。

 にぃにぃがゆったり歩いてゆきまし。うさを抱っこ、ちたハンサムしゃんも一緒。サングラスもちてないハンサムしゃんに、何人かのおシトが振り向きまちたが、みぃんな、笑ったりオテテを振ってくりたり、だけで目線は、自分のお隣のシトに戻ってゆきまし。

 秋は、すきすきなシトと一緒に居たい季節でし♪

 しょんで、ネ。スキスキなおシトと、お外を歩きたい季節でし。

 ハンサムしゃんのお洋服を用意ちて、おっきを待ってた、にぃにぃみたいに、ネ。

 えへへへへ。うさの、友釣り戦法、大成功〜。

 にぃにぃが、入ったお店は、喫茶店でもレストランでもなくて。

「……ハム買って帰るの?」

 商店街から、ちっと奥に、入ったハム屋さん。京ちゃんがこの前、来た時にみつけたお店、でし。

 おっきい鹿さんの腿肉のハム、いろんなブロックのハム、燻製、なんかが、たぁくさん、置いてありましの。奥からは、そりを炭火で炙るいい匂い〜♪くん、くん。

「奥の中庭で、食べさせてくれるんだ」

 そう、言ってるうちに、お店のお嬢しゃんが、出てきまちたの。コンニチワ!

「こんにちは、うさぎさん。今日は何にする?」

 あのね、今日はね、お昼を食べに、来たの。

 えっと、ネ。豚さんのアイスピックの缶詰を、帰りに買っていくから、一ダースくりゃい用意、ちていて。

 しょんでね。お勧めのハムとチーズとバゲットと、ワインと、お庭にもって来てぇ。

 あ・お野菜も、忘れないでネ!

「はい。すぐに持っていくわ」

 お席へお先にどうぞ、って言われてにぃにぃとハンサムしゃんとうさうさは、お店を通り過ぎて、奥のドアから、中庭へ。

 お店と、お店の人が住んでるお家の間には手入れの行き届いたお庭があるんでし。

 お時間がまだ早いからでしか?お昼には近所のおシトがいっぱい来るお庭も、まぁだ、だぁれも来てましぇん。

 芝生の上の、あちこちに木が生えたこのお庭、うさうさのお気に入り。ちょっと日本の、さーちゃんが居るお庭と似てるんでしぃの。

 うさうさたちは、白いテーブルクロスを掛けたテーブルの、お椅子に、すわり。

 む、奥から、ご隠居のおじじしゃまが、出て来まちたヨ!

 コンニチワ!

「やぁ、いらっしゃい」

 言いながら、おじじしゃまは、四人掛けのテーブルの、あいたイッスにお座り、ちまちた。ハンサムしゃんは、ちっとびっくり。うさうさとにぃにぃは、馴れているから、動じましぇん。笑顔でコンニチワ!

「日本の方と話すのはダイスキだよ。わたしは若い頃、妻と日本の日光へ行ったんだ」

 地名を聞いて、ハンサムしゃんは、ピクッてお眉を動かし、マチタ。

「私も妻もまだ若かった。妻の空色のパラソルを、日本人はたいへん珍しそうに眺めた。サルがたくさん居て、人に馴れていてね。妻が差し出したオレンジを、こぅ、両手で受け取って、抱きかかえて行ったよ」

 ふん、ふん。

 うさうさ、このお話、聞くの10回目、くりゃいでし。

 にぃにぃは、9回目。なぜぇかっていうと、うさが最初に聞いた時は京ちゃんとだったから、でし。

「枯葉のことを日本ではモミジと言って花と同じように眺めて喜ぶんだ。実際、日本の枯葉はとてもキレイな色をしていた。宿から見える山肌が、燃えるように赤くて」

 しょこへ、

「おじいちゃん、おばぁちゃんが呼んでるわよ」

 お嬢さんが給仕に来てくりて、おじじしゃまは、おぉ、そうか、って立ち上がりまちた。しょのまま、お家に入って行きまちた。ハンサムしゃんが、ヤレヤレ、って感じでほっとした、お顔。

「ごめんなさいね、いつも。さぁ、沢山めしあがれ」

 きゃうん、アリガトウ〜!

 薄切りのまだやーらかいサラミをパンに乗せて、アムアム。うさ、シアワセぇ〜♪

「お、うめぇ。うまいハムだね、これ」

 うふふ、そーでちょ♪

「いい店じゃん。さっきの爺には驚いたけどさ。なに、あれ」

「……きっと、彼の一番、幸福な思い出なんだろう」

 ショルダーハムをチーズと一緒に挟んで、にぃにぃが、アムアムの合間に、お答え。

「大事な話を繰り返し、聞かせてくれるんだ」

「ボケてんの?」

「さぁ。奥方が亡くなってからは、ずっとあぁらしい」

「……」

 あれ。

ハンサムしゃん、どーちたの?

大口あけてかじりつこう、とちたビーフジャーキを、掴んだまんまで静止ちて。

ジャーキー、うさが貰ってあげましね。アム、アム。

 うさもにぃにぃも、お腹、ペコペコなの。起きてこないハンサムしゃんを待って、朝ごはん、食べてなかったから。

「……」

 テーブルの上には、ワイン。

 チーズとハムがあるから、でしか?赤と白の中間の、ピンク色の、ロゼワイン、でしの。

 ナントカシャトーの名産じゃない、地元のブドウ畑で採れる葡萄で作られた、地ワイン。一瓶、千円もちないけど、うさうさもにぃにぃも、ダイスキ。

「……」

 ハンサムしゃんは、黙ったまんま、しょのワインのコルクを、コルク抜きでぬいてくりまちた。にぃにぃに、おっきいワイングラスを差し出して、持たせて、コポポポ、注いであげましの。

 外したフタにぽちょっと注いで、うさうさの前にも。

 ありがとう。んく、んく。

「……俺も」

 あぁ、オイチィ♪

「俺も、きっと、あんな風になるよ」

 ナニが?

「あんたに先に逝かれたら、きっと今のこと繰り返し、喋る男になる。天気のいい日にハム屋の中庭で、一緒にメシを食ったって、繰り返すよ」

「もっといい話にしてくれ」

「……アニキ」

 ハンサムしゃんのお声が、低く響きましゅの。

 こんな時、うさうさは、お顔を伏せてあむあむ。

 二人、ちぅちぅ、してるお気配〜♪

「宝物だってこと、忘れない」

「……」

「あんたと一緒に、居るの、宝物だ」

 んふ。

 ハンサム、しゃん。うさにも感謝、ちてね♪

 うさが起こさなかったらまだ、ハンサムしゃんは、おベッドの中でぐーぐー、ねむねむだったんでしぃカラ。

「食べろよ」

 にぃにぃが、マスタードを塗ったソーセージとフライドポテトを、ハンサムしゃんのお皿にとってあげまし。

「腹いっぱい、たべたらもう一度、お休み」

「寝ないよ。あんたと一緒に居る」

「一緒に昼寝しよう」

「あ、ぁ。……うん」

 ふぅ、スキにちてくだしゃいナ。

 あ、おねいしゃーん!ザワークラフト、お代わりィ♪

 

 

 

 

 ある日ある時・うさうさのお昼ご飯