うさうさ物語・25

 

 

 みなしゃまぁに♪あいしゃれぇてぇ〜♪
 うさは、一歳に、なぁりまぁチタ♪
 みんながゴハンを、くりたから♪
 にぃにがちぅちて、くぅりたぁカラ♪
 とってもどーおも、あぁりがとぉお♪

 

 最近、うさうさ毎日、文太パパのお家の廊下で、新しい踊りの練習を、ちていまし。
 一歳のお誕生日の時に、にぃにぃの前で踊るの。
 この一年、いろんなコトがあったけど、うさとっても愉しかった、でし!
 いろんなトコロに行けたしね。
 いろんなおシトと、会えまちた。
 来年も……、こーやって居れたら、いいなぁ……。
 しゃ、ステップの練習を、ちなきゃ。タン、タッタッタ、タ♪
「よぉ、うざきさん。愉しそうだな」 あ、文太パパでし。寄り合い、終わったの?御帰りなしゃーい。
 あり、オテテにナニを持ってるの?張り紙?『本日、午後は休業』、って書いてありまし。お休み、しゅるの?

「あぁ。明日はちょーど定休日だしな。うさぎさんも、昼までにしたくしておきなよ」

 え、ナンの?

「明日は、うさぎさんの誕生日だぜ」

 え……ッ!しょーだった、のぉ〜!!

「今日の昼から温泉に行くからな。昼飯は途中で食うから、用意しなくていいぜ」

 はぁーい。……ねぇ、文太パパ。

「ん?」

 にぃにぃは……、日本に帰って来れる、ノ……?

 うさがお尋ねすると、パパは柱の時計を見上げて。

「そろそろ、成田に着く頃だぜ」

 ……ウピーッ!

「日光に、うさぎさんの実家があるんだって?そこで現地集合だ」

 え。京ちゃんの実家で、うさの誕生祝、ちてくりるの?

 うわぁーい。うさ、おひさしぶりで、おじーちゃんうさぎのじじしゃまたちに、会えるんでしのね!

 うさが嬉しくってラッタッタ、踊っていたら。

「……ただいまー」

 旅館に、配達に行ってた藤原しゃんが帰って来まちぃた。御帰り、なしゃーい!

 うさが、お店の方に行ったら……。

「やぁ、うさぎ、久しぶり」

 ……ふ。

 ふふ、ふ……。

 ふーみん!たぬたぬ・ふーみん!!!

「さっき、そこで藤原と会ったんだ」

 ふーみん、ふーみん、ふぅみーん!

「はは、うさぎ、くすぐったいよ」

 屈んでうさを、ふーみんは抱っこちてくりまちた。うさうさ、フーミンのホッペやお口をナメナメ、大興奮!ふーみん、ふぅみぃん〜!!

「よしよし。啓介に誘拐されて心配してたけど、無事に逃げれてよかったな。ちょっと重くなったかな。元気そうで、よかった、よかった」

 ふーみんの、落ち着いた話し方が懐かしくって、うさうさ、お肩にしがみついたまんま、ジンワリ……。

 ふーみん、ふーみん……。

 ギューッツツツッ。

「はは。俺も会いたかったよ。涼介より一日早く帰れたから、先にうさぎに会いに来たんだ」

 ふぅ、みぃん……。

「よしよし」

 うさを、ぎゅーっと抱っこちたままで、

「あ、どうも。ご無沙汰しています」

 ふーみんは、文太パパにご挨拶。知りあいなの?

「昔、涼介たちとDってプロジェクト組んでた時に、な。何度か挨拶に伺ったことがあるよ」

 よかった、よかったぁ、ふぅみん……。

 うさね、うさうさ……、とってもヨクちてもらってたけど、ネ。

 やっぱりもう、うさの家族は、にぃにぃなの。

 そんでね、うさの居場所は、にぃにぃのお膝なの。

「えーと、オヤジさん、出発は何時くらいですか?」

「あぁ、十一時半、くれぇのつもりでいるけどよ」

 あと二時間、くりゃいありましの。

「じゃ、その間、少しうさぎと散歩してきます。……うさぎ、案内してくれるかい?」

 はぁーい!

 

 

「……拓海」

「……」

「ホントに帰すのか、うさぎさん」

「……」

「寂しくなるなぁ……」

「オヤジ」

「おう」

「言うなよ」

「……」

「……」

 

 

 御昼前、うさうさとユカイな仲間たちは、ハチロクに乗って栃木目指して、ゴゥゴゥ♪

 運転、ちているのは藤原しゃん。助手席には文太パパ。うさはフーミンと後部座席。

 途中の道の駅でおソバを食べて師走の町を、お車は、栃木に向けて、ゴゥゴウ♪

 嬉しいな、愉しい、ナ♪

 うさ、もーしゅぐ、にぃにぃに、会えましぃ、ノ♪

 ねぇねぇ、にぃにぃは、もうお旅館に着いた、カナ?

「そろそろかな。俺達より、先についていると思うよ」

 じゃ、うさが着く頃には、にぃにぃがもう、そこに居るノネ。

 楽しみ……。嬉しい、でしぃ♪ルンルン♪

 

 

 そぅ、ちて。

 お車は、京ちゃんのご実家、もちろん、うさの実家でもありゅ、おっきぃ旅館に、到着ぅ〜。

「へーぇ、ここか」

 文太パパが、細目をさらにホソクちて、ご門を見上げまちた。

 昔、日光街道の、宿の本陣だった、日光きっての、高級旅館、でち!

「たかそぉな宿だな。おめぇの知り合いの家とは思えねーぜ」

「知り合い、ってゆーかよ……」

 ボソボソッと、藤原しゃんは、お答え。うさうさはふーみんの頭にノンノちて、あっしでふーみんを、バタバタ。

「あいた、イタタ、痛いよ、うさぎ」

 早く、はやく中に入ろう、よぉ〜。

 にぃにぃに、早く会いたい、のぉ〜!!

「ちょっと待てよ、土産をおろさなきゃ」

 お車を、裏門近くのちぅしゃじょうに停めて。

 一抱え、くらいあるお豆腐ケースにいっぱいこっぱい、何段も詰めてきたお豆腐を、ふーみんたちは、下ろしてまし。うさも、文太パパに貰ったおからのおっきぃ袋を、うんちょ!

 こりは、うさぎ小屋のじぃじぃうさぎのじじしゃまと、みんなへの御土産、なの!

 んでも、まじゅはにぃにぃに、会わなきゃ、ネ!

 うさがるんるん、おシッポふりふりで、いた、しょの時。

「ウサギーッ!!」

 びくぅ!

 大声で呼ばれて、うさうさは、ビクゥ!

「来たな、ウサギッ!よくも逃げ出しやがったナッ!」

 びくびく、ちながら、そっちを向くと……。

 ハンサムしゃんが……、仁王立ち……。

 もっとも。

 お髪をバンダナ、っていうより、手ぬぐいで包んで。

 片手にはお雑巾、だからあんまり、迫力はないでしが……。

「ウサギーッ!」

 あ、ウソ。

 お雑巾、持ったまま、ずんずん走ってこられると、コワイィ〜!!

 こわい、こわいでし。うぇーん。たしけてぇ!!

 しょの時。

 うさの、一番近くに居たのは文太パパ、でちた。

 うさ、文太パパに、しがみつきっ!

 パパ、たしけてぇ〜!!

「……なんだぁ……?」

 文太パパは、あいかわらず、とぼけたお顔をハンサムしゃんに向けまちた。

 うぇーん、ハンサムしゃんが突撃、ちてきまし。

 怖い、こわいのぉ。うさ、またユーカイ、さりちゃうの?

 せっかくにぃにぃの近くに来れたのに。うぇえぇぇーん!!

「ウサギーッ!」

 うさに向かってハンサムしゃんがオテテを伸ばした、途端。

「おっと」

 うさは……、ポン、って。

 文太パパに投げられ、まちた。

 藤原しゃんに向かって。

「……」

 藤原しゃんがお腕を伸ばして、うさを、ぽすっと、受け止めてくりまちた。

 きゃうん!

「ウサギッ」

 あ、でもハンサムしゃんが、また手を伸ばしてくる〜!!

「……」

 あひゅん!

 うさ、今度は藤原しゃんから、ぽしゅ、って。

 今度は、ふーみんのオテテに投げられまちた。ポスン。

「う……ッ!!」

 ハンサムしゃんの、呻き声。

 ……ナニか、な……?

 うさが、そーっと、ふーみんのオテテの中で、振り向くと。

 ……ぁ。

 ……ヒサン。

 ハンサムしゃんは……。

 多分、おそらく、でしぃけど、状況からしゅると。

 文太パパに足を引っ掛けらりて、コケしょーになったところを、藤原しゃんに、キメられちゃいマチタ、ね。

 ぽんぽん押さえて、屈んでうめいてる。

「てめ……、よくも……」

 んでも、おクチは、まだ元気でし。

「覚えてやがれ……、チクショウ……」

「……昔、あんたに殴られたことあったじゃん」

 蹴っとばちたらしいアンヨを下ろしながら、藤原しゃんが、おあいこだよ、ってボソッと、言いまちた。

「あら、なんの騒ぎ?」

 厨房に続く裏門から、お顔をだちたのは、アッ!

 若女将しゃまー!おひさしぶり、でしぃー!うさうさ、ご挨拶に帰って来まちぃた!

「ごめんなさい。何か不調法でも?」

 にっこりホホエム、女盛りの美貌に、藤原しゃんと文太パパは、ちっと見惚れてまし。

 ……メンクイ親子?

 ふーみんだけがちょっと小腰を屈めて、挨拶ちよーと、ちていたら。

「アネキッ」

 あっ!京ちゃんが裏口から出てきまちた。

「俺のダチってぇとこき使うクセ、いい加減、改めてくれ。そいつは第一、ダチじゃねぇ」

「あら、そぉ」

 京ちゃんに怒鳴られても、びくともしない、若女将しゃまでち。

「でもこちらは、そう仰ったのよ。……京一。あなたがテンプラだの遠征だのって遊んでいた間、どれだけ私が庇ってあげたか、忘れたわけではないでしょう」

「それとこれとは、話が……、」

「だいたいあなた、わたしにそんな口をきけて?一生さからいませんって言ったのを忘れたわけではないでしょう?高校生のくせにあなたが、淋しい病気になっちゃった時よ。あの頃はまだお元気だったおとうさまに、バレたら殺されるけど病院に行かないわけにはいかなくって、切羽詰った挙句にわたしになきついて」

「……」

「私が彼氏から借りてあげた遠隔地保険証で病院に行った時よ。忘れたの?」

「……覚えてる」

「じゃ、さっさと客茶碗を蔵から出してきて。七十二客よ。明るいうちに、新春用の松竹梅の御膳もよ。他と間違えないで」

 うぅ、若女将しゃま、相変わらず、でち。

 京ちゃんは、うさ一行に会釈ちて、お蔵のある裏庭に向かいまちた。

 七十二客の、本膳・二の膳セットを出すんでしか……。

 大変、でし……。

「よーぉ、啓介、久しぶり」

 ふーみんは、うさうさをお抱っこちたまんまで、うめいてるハンサムしゃんにお声をかけまし。

「涼介とはもう会ったか?うさぎ誘拐、許してもらえたか?うーん?」

「……史浩……」

 なんとか回復ちたんでしょーか。ハンサムしゃんが起き直りマチ。

「お前まで、意地悪言うなよ……」

「うさぎが居なくなって、俺も淋しかったんだよ。で、涼介は?」

「奥に、居るよ」

「涼介も掃除手伝ってるのか?陶器だけは運ばせるなよ、商売モノをパーにしちまう」

「奥の間で、寝てる」

 え、ビョウキ?!

「時差ボケだってさ……。まだ、顔はあわせてない……」

「ふぅん。それにしてもよく、ここが分かったな」

「須藤のあと、つけまわしてた……」

 うさが救出さりて、藤原しゃんちぃに匿われてから?

「……うさぎ……」

 ハンサムしゃんが、うさうさを見まちた。びくぅ!

 うさは、ふーみんの、シャツの中に、ゴソゴソォ〜。

「……ごめんな……」

 あ。

 ナンか、ハンサムしゃん、殊勝でち。

 反省、ちたの。

「もーしねーから、んな、避けるなよ……」

 しょぼーん、とちたハンサムしゃんは。

 持ったまんまのお雑巾とともに。

 ナンか……、かわいそうな、カンジ。

「アニキに会うか?まだ寝てるかもしれねーけど」

 ……、あ。

 うん。

「こっちだよ、おいで。離れの奥の間」

「よかった。あいつは掃除、していないんだな」

「アニキは別格。昔、ここんちの娘さんの喘息、治療してやったことがあんだって。賓客扱いでサ、ヒルメシご馳走になってまぁ一杯、って大将と呑んで、そのまんま、ぐうって寝ちまったんだって」

「そうか」

 

 連れて行かれた、離れの奥の間。

 一センチ、くりゃい、襖があいてマチ。

 しょこから、うさは、そーっと、覗きまちた。

 この隙間、あけたのハンサムしゃんでしネ。

 ハンサムしゃんも、こーやって覗いたノ?

「まだ寝てるだろ?」

 あ、うん。

 ふんわりお布団の、こんもりちか見えないケド。

 ぴくっ、とも動かないのは、きっとネムネムでち。

「じゃ、俺、風呂掃除の途中だから、行くけど。うさぎは、ここに居ればいい」

 それが終わったら、客布団のシーツ掛けしなきゃって、ハンサムしゃんは、言ってまし。

 なんで、そんなに一生懸命なの?

「雇ってもらえねーと困るから」

 え?

「俺、年末年始、ここで住み込みで働くんだ」

 ……は?

「だって、アニキがここで過ごすんだろ?んでも、予約は今日の小広間の宴会と泊まりが終わったら、離れの一人分だけで、もー空きはないっていうからさ」

「……啓介」

「ここに居るには、雇ってもらうしかねーじゃん。まだ試用期間なんだ。さぼってっと、女将さんにダメだされっから、後でな!」

 サバサバ言って、ハンサムしゃんは、ゾーキンとともに母屋に戻って行きまちた。

 ……あぁ。

「……バカ?」

 藤原しゃんが、ボソッと一言。ふーみんは笑いながら。

「そう。あの馬鹿さ加減だけは、誰にも真似ではない」

 ……うん……。

 

 

 

 

12/23。うさうさの、クリスマス・イブ前夜