うさうさ物語・26

 

 くぅくぅ、ねむねむ……。
 んーっ、くぷぅ〜。よく眠りマチタぁ〜!
 おはようごじゃいまし、皆しゃま。
 寒くなって来ましたが、みなしゃまはお元気にお過ごしでちか?
 うさは、とっても元気でし。お風邪のオの字も、ありましぇん。
 御誕生日から二日。
 毎日、おいちぃゴハンをオナカイッパイ食べて、温泉にぱちゃぱちゃ入って、眠くなったらにぃにぃのお胸やお膝や、お顔のヨコでねむねむ。
 あぁ……。風邪のビィルスさえ撃退しゅるであろう、このチアワセ……。
 藤原しゃんと文太パパ、そりにたぬたぬ・ふーみんはそれぞれの、お家に帰りマチタ。
 んでね、今はうさうさ、京ちゃんのお家の離れに、にぃにぃと二人っきり、ナノ……。
 んふ、んふふ♪
 にぃにぃの、いい香りに包まれてふわふわお布団の中でゆっくり、目を覚ましたうさ。
 しょーとオメメを開けると、しょこには、白い美貌のにぃにぃ、でし。
 まだ眠ってまし。
 よく眠るんでしの。
 にぃにぃ……、お疲れ、でしぃノネ。
 昨日は殆ど、一日、御布団の中でねむねむでちた。
 うさも、お付き合い、ちてまちた。
 マ・途中で、京ちゃんの買出しに付き合って、清二しゃんちのジャガイモ植えを手伝ったり、ちまちたが。
 ……ぁ、ちまった……。
 ねむねむの間に、うさうさ、おヨダをたらしちゃいマチタ……。
 いやぁん。ナンだか、オモラシ、ちたみたい。フキフキ。
 にぃにぃの、眠りを起こさないよーに気をつけて、スリスリ。
 ねむねむのにぃにぃが、くすっと笑ってくりまちた。
 アノネ。
 ここに来た時も、にぃにぃは、お夢の中でちた。
 んでね。
 うさ、襖の隙間から、じーっと見ていたんだけど、我慢できなくて、よじよじ。
 襖の隙間から忍び込んで、お布団の裾を捲って、中にハイハイ、ちたの。
 横向きで眠るにぃにぃに、寄り添って、ネ。
 しょのままじんわり、シアワセに浸ってたら、にぃにぃがオメメを開いて、うさを撫でてくりて。
『……夢じゃないのか』
 って、言って笑ってくりたの。
 にぃにぃも、うさのこと、待っててくりた、のぉ〜!
 うさ、嬉しすぎて、ナキナキししょーになった、の……。
 えへへ、ヘヘ♪
 しゃ、御風呂に入って来よう、っと♪
 今日も一日、ふわふわ・やわらか・カワイイうさぎで居るために、ネ!

 
 
 とてとてて。
 離れには、檜の御風呂がついてまし。んでも、うさうさは本館の温泉が、ダイスキぃ〜。
 寝湯、っていう浅いお湯があって、そりは水深20センチくりゃいだから、うさうさにピッタリ。
 ぽてぽて。扉は開いてるカナ?あいてなかったら、京ちゃんに言って開けてもらわなきゃ。
 重い引き戸は、うさには開けられない、んでし。
 あ!開いてぇる!ヨカッタァ〜。
 んでも……、水音が激しいでし。クマしゃんの先客カナ?
 ひょいっと覗けば、……ぁ。
「おぅ、うさぎ、オハヨウ!」
 ……おはよう、でし……。
「風呂か?ちょっと待て、すぐ流してやるから」
 頭を手ぬぐいに包んだ、ハンサムしゃんが。
 この寒いのに、お袖を肘まで捲り上げて、お風呂掃除中……。
 朝早い、でしね……。
「そりゃな、客にアサメシ、出さなきゃならねーんだから」
 あっさり笑う、ハンサムしゃん、でし。
「うさぎは、メシは七時でいいか?」
 あ、……うん。
「ほら、お湯張ったぜ。さら湯だから、ゆっくり漬かれよ」
 ……うん、ありがとう。ちゃぷん。
 ふぅ、あったかい……。
 ねぇ、ハンサムしゃん。
「ん?」
 ちゃんとゴハン、食べさせて貰ってる?
 旅館の住み込みのおシトって、御茶漬けとお漬物だけで働かされているんじゃ、ないの……?
 おじぃちゃんうさぎのじじしゃまが、昔、うさにそんなお話、ちてくりたぁの。
 ハンサムしゃん、いっぱい食べるのに……。
 しぇめて、おからくらい、食べさせて貰ってましか?
「はは、そりゃ戦前とかの話だろ?わりとうまいアサメシだったぜ。豆腐の味噌汁とタマゴヤキと、ナンかの魚の干物と野菜の煮たの。
大学生のバイトとかも一緒で愉しかった。高橋啓介に似てる、って言われるのちょっと困ったけどな」
 しょう。
 しょりなら、いいケド……。
 うさが、浅いお湯の中でぽんぽんを敷石に擦り付けてると、
「うさぎ。洗ってやろうか?」
 ハンサムしゃんが訊いてくりまちた。……うん。
 お背中、洗ってくだしゃいな。
「おっしゃ!」
 石鹸を使わないで、指先だけで、ハンサムさんはうさの毛をやさあしく、洗ってくりまし。
 ドイツから誘拐さりて、日本GPが終わるまで、ホテルで一緒に暮していたから。
 ハンサムしゃん、洗うのとっても上手、でしぃ。
 うさぎ洗い選手権があったらきっと、世界一、でちよ。
 ……ねぇ、ハンサムしゃん……
「おう、なんだ?」
 ……うさに、一つ、教えて欲しいことが、あるの。
 なんで、こんなコトちている、の?
 おホテルに泊まれば、エグゼクティブフロアーの広い続き部屋で、クラブルームでいつでもキレイなおねいしゃんにご接待、
 チテもらえるのに、どちて……?
 こんな早起きちて、このだだっ広い御風呂掃除を、ちているの?
「そんなの、決まってるじゃねーか。アニキがここに居るからだよ。アニキとうさぎがな」
 ……でもぉ……。
 一緒にお泊り、してるんじゃない、でし……。
 うさを勝手に連れて行ったハンサムしゃんに、にぃにぃ、まだ怒ってまし……。
 一緒にねむねむ、出来ないのに、そりでもいいの……?
「東京のホテルに居たら顔も見れねーじゃねーか」
 あっきり笑ってハンサムしゃんが、ざーってぬる湯を、流してくりまちた。
 ありがとう。いい気持ちでちた。
「おぅ!じゃ、七時にアサメシな!」
「……七時半に変更だ」
 しょの、御言葉に。
 振り向いたうさうさとハンサムしゃんは。
 一緒に悲鳴を、あげまちた。
「ヒンェーッ」
 うんぴゅーっ!
 にぃにぃの、オォルヌゥド、でしーッ!
 朝から、こんなモノを見て、うさばちが当たるカモ。
 とと……、とりあえず、拝んでおきまし。ナムナム。
「南無、南無」
「なにしてるんだ、お前達」
「いやだって、いきなり裸で来るんだもんよ」
「風呂に裸で来るのは当たり前だろう」
 言ってにぃにぃは、広いお風呂にちゃぽん、って入りまちた。
 湯船の淵に、お首を預けて、
「俺も髪を洗ってもらおうかな」
 ハンサムしゃんに、流し目でいいまちた。
「あ、うん」
 ハンサムしゃん、イソイソと、シャンプーを持ってにぃにぃの枕もとへ。
「か、痒いところない?アニキ」
「別に」
「えっと……、他に洗うところは?」
「へんなところに触ったら殴るぞ」
 ハンサムしゃんに髪を洗われて、にぃにぃはキモチよさそう。洗ってるハンサムしゃんは、ちっとだけ。
 嬉しそうなんだけど、苦しそう。
「あの……、兄上様」
「気持ちが悪い呼び方をするな」
「そろそろ、許していただけませんでしょうか」
「……ふん」
「今夜あたり、御部屋に御邪魔いたしたいのですが」
「鍵かけて眠ってやる」
「かかってなかったら入っていいっていうこと?」
 調子に乗ったハンサムしゃんが、
「イタ……、イタタ、痛い、イタイヨ、アニキィ」
 にぃにぃに、お耳を引っ張られマチタ。
 半分許して、半分は許してナイ。
 そんな、うさぎとにぃにぃの、クリスマス二日目、でし。


 

ある日ある時・うさうさとにぃにぃとハンサムしゃんの、朝風呂