うさうさ物語33・啓介の昼ごはん。

 

 

 てってってー!

 とてての、てーッ!

 ばびゅうぅうぅぅーん!

 ハンサムしゃん、ただいまぁ!

 おそ、遅くなってゴメンね!うさうさ、ヨモギの若芽を摘んでいたの!

 春の若葉を摘んで乾燥さちて、そりでヨモギ餅やヨモギ団子を作るのネ!おいしいのぉ〜!

 まだやぁらかい若葉がいっぱい、川原に生えていたから、夢中で摘んでたら遅くなっちった。おなかすいたでちょ?

 ごめんね、今、お昼ごはん作るからね!しぇめてにぃにぃが居る日なら、ホットサンドくらい作ってくれるんだけど、今日はお仕事で朝から居なかったし。

 摘んだヨモギを詰めたビニール袋を手に持ちながら、うさうさはお家に駆け込みぃ〜!

 ハンサムしゃん、ごめんな……、さ……。

 ……あり?

 ハンサムしゃん……、居ましぇんよ?

 ありりのり?

 居間にも居ない。お部屋にも。餓えに耐えかねて、ナニか買いに行ったのカナ?でも……、お車はガレージにあるし、歩いていけるところにコンビニやスーパーはないし。

 あれれのれ?

「……、うさぎかぁー?」

 お、声がしまちた。よかった。お腹すかせて行き倒れてたわけじゃないでもネ。

 うさうさは、お声がちた方へ、とってって。

 御台所でし。……ナニちてるの?

 ジーンズにTシャツ姿で、お髪はセットさりていましぇん。今日はお外に行かない日?

 対面式のキッチンの、奥の、ガス台の前に立っちゃって。

「昼飯、作ってる。お前も食うだろ?」

 ……え?

 うそぉ〜!!

 ハンサムしゃん、ゴハン、作れるのぉおぉぉー?!

「作れる、ってほどのモンじゃねぇけどな。三分で出来る。待ってろ」

 うさうさは、ぽてててて。ヨモギの袋を持ったまま、ハンサムしゃんの近くに行って、じいぃぃー。

 ナニを作ってるの?ナニができるのカナ?御鍋にお湯をぐらぐらに沸かして。

 じいぃいぃぃー。

 

 

ハンサムしゃんが作ってくりたお昼ごはん・豚うどん

 

 まじゅ、お湯を沸かしまし。

 しょこへ、豚肉を入れまし。脂身の多めの細切れでヨイそーでし。うちのハンサムしゃんは、切りもちましぇんでした。パックからそのまんま、お箸で、ぼとって、御鍋に入れまちた。

 薄切りの豚肉はすぐ煮えまし。しょこへ、うどん玉をぼとん。お箸をお鍋に突っ込んで、さっさって麺をさばいて。強火でガーッと、一分くりゃい、煮まし。

 うどんと豚肉をザルにあげてお湯を切りまし。

「こん時、どんぶりをさ、ザルの下に置いといて、ゆでた湯をどんぶりん中に棄てんのが、コツっていやぁ、コツかな。どんぶり冷てぇと、次がうまくいかねーんだ」

 あっためた丼の中に、うどんと豚肉を入れまし。お醤油をたらっとたらしまし。軽く混ぜまし。

 うどんの水気とお醤油が混ざったら、しょこへ、生卵を割り込みまし。

「俺は白身もいれるけど、うさぎ、どーする」

 うさは黄身だけにちてくだしゃーい!

「ほいよ。これ、醤油より先に卵を入れたら絶対、ダメだぜ。卵は水気吸って不味くなるし固まりすぎるし、醤油はうどんと混ざらなくなるからな」

 はぁーい!

 ざっざ、って卵を混ぜたら、蓋をいたちまち。ハンサムしゃんは、ゆでた御鍋の底を蓋代わりに、ちまちた。

「三十秒、くらいでいーんだけどよ。こん時、蓋すっと、一味違うんだ」

 ふむふむ。

 

 

 出来上がった、豚肉入りの、卵うどん。

 栄養的にはナニでしが、たまのお昼ご飯だから、いいでしぃ!

 いただきまぁーし!じゅるじゅる。

 ……あ、オイチイ……。

 しゅごーい!ハンサムしゃん、オイチィでしぃ〜!!

「昔、金がない頃、休みの日の昼飯は、こればっか喰ってた」

 ふぅーん。

 居間は高額納税者のハンサムしゃんでしが、昔は下積みも、ちたんでしょーネ。

 あ、ねぇ。うさうさ、カツオブシかけていい?

「好きなようにして喰えよ。ほらよ」

 ありがとぉ〜。はぐはぐ。……オイチィでしぃ……。

 豚さんの脂身もお湯にとけてあっさりで、そのあっさりな脂身がお醤油と卵と混ざって、はふはふぅ〜。

 ねぇ、ハンサムしゃん。

「おぅ」

 誰に習ったの?

「……内緒」

 

 

 

ある日ある時・うさぎ、啓介の昔の過去に遭遇