うさうさ物語42・うさぎの初夜
ずる、ずるずるる。
ぽてん。ふぅ、到着。
トントン、おドアを、ノックック。
藤原しゃま、こんばんは。もうお休みでしか?
「はい……、こんばんは。……うさぎ?」
がちゃりとおドアを開けてくりた藤原しゃまは、誰も居ないのにビックリちた後で、視線を下げてうさに気づいてくりまちた。うん、うさでしの。あのあのね。
入ってヨイでしか?うさ、うさうさ座布団も持って来たの。
藤原しゃまと、今夜、一緒に眠ろうと思って。
「いいけど……、いやでも、いいのかなぁ……。俺、寝相悪ぃし」
あ、ダイジョーブ!うさうさ、根像が悪いシトはハンサムしゃんで慣れてるからね。
うさうさお座布団を楯にして、隙間に逃げ込むから大丈夫でしよ!
「じゃあ……、いいよ。どうぞ」
大きくドアを開けてもらって、うさはうんちょ、と、お座布団を運び込み……、こもうとちたら、藤原しゃまがうさをお座布団ごと、ひょいって抱えて、くりまちた。
「ここでいいのかな」
藤原しゃまの枕の横に下ろされて、うさうさは、えへへへへ。枕の横にお座布団を置いて、しょの上に、くるんと丸く、なりましの。
藤原しゃまはお部屋を見回して、タオルを見つけて、うさにふんわり、掛けてくりまちた。
えへへへ。優しい、でし。
「もう眠るけど、いいかな」
あ、はい。どんじょ。パチンと明りを消して、藤原しゃまはベッドの中へごそごそ。うさも、みじろぎちて、落ち着く姿勢を捜しまし。ぽてん。
藤原しゃまは毛布をお肩に引き上げて、暫くのチンモクの後で。
「……同情したのか?」
しょんな風に、うさうさにお尋ね。
「さっき、俺、そんなに寂しそうだったか?」
……う。
うん……。
ちっとだけネ……。
藤原しゃまを無事に発見ちて、みんなで居間であったまって、藤原しゃまとうさの歯型つきケーキを食べて、ゆったりちてた時。
このおうちのご主人の、ハイネルしゃまが言ったのでし。
残念だけど、君をこの家に、ご招待することは出来ないよ、って。
……仕方ない、ことなの……。
ここは一応、ハイネルしゃまのラボなの。来期マシンのエンジン開発、っていう意味がうさにはよく分かっていないけど、とにかく、大金のかかる、お商売に関わる、ヒミツのコトを、ちているの。
だから……、関係者じゃないシトを、お家に入れるわけには、いかない、の。
すまないが、明日には出て行ってくれ、って言われて藤原しゃまは、
『はい』
って、素直に、頷きました。
『もちろんです。当然です。俺、本当は、差し入れだけ、渡して引き返すつもりだったんです』
あの巨大な、デメールのチョコケェキを?
『ご迷惑おかけして、申し訳ありませんでした』
ぺこ、って頭を下げる藤原しゃまは、凛々しかったけど。
やっぱり、少し寂しそうだったの、ネ……。
うさは、ちっと、それで、おムネが、きゅうっと、なった、ノ。
うさは今、にぃにぃとハンサムしゃんとふーみん、そりにドイツ美人しゃまとアメリカンワイルドしゃんに囲まれて、わいわい楽しく暮らしているけれど、藤原しゃまは……?
一人で明日、帰るの……?
しょう思ったら、ちっとだけ。……だから、にぃにぃとハンサムしゃんに、今夜はおヨソでネまし、ってゆって来たの。
ねぇ、藤原しゃま。日本には、いつ帰るの?
文太パパにお会いちたら、よろちくお伝えちてね。
去年、とってもお世話になったうさうさは、すごく元気で暮らしていまし、って。
「あぁ、分かったよ」
藤原しゃんは答えてくりまちた。そちて、毛布の端っこを引き上げて、うさの上まで、寄せてくりまちたの。
えへ……、えへへ。……、藤原しゃま……。
藤原しゃまも、ちゃあんとね、うさとユカイな仲間たちの一員でしぃのよ!
ただ人間しゃんにはいろんな、り、りり、利害関係、っていうのがあって、ここで一緒に、休日を過ごせないだけで、ネ!
いつか、にぃにぃが自分のチィムを作ったら、藤原しゃんも来んでちょ?そちたら、毎日、うさがご飯を作ってあげるからね!ふーみんも時々ね!
「……ありがとう」
うふふ。藤原しゃま、ちっと元気、出たかなぁ?
「もう、お休み」
おやすみなしゃい、でし!
うさうさは、ご挨拶ちて、オメメを瞑りまちた。
そちて、ヨクアサ。
うさうさは早起きでし。藤原しゃまのお顔の横で、のびーん、って、背のびいたし、まし。
そりから、お床に降りて、とてててて。あ、ちまった。おドアが開きましぇん!ふんが、ふんがぁ!
「……、うさぎか?あけるから、ドアから少し離れておいてくれ」
お、ふーみんのお声でし。藤原しゃまがネムネムちているお部屋は、夏の間、お城の警備員しゃんたちの宿直室になるお部屋で、ふーみんのお部屋から台所へ行く途中にありましの。うさの勤勉な一番弟子は、毎朝、うさより早く台所に来てお湯を沸かしてる、たいへんにヨイ助手でしの。
うさがおドアからちっと離れると、おドアをふーみんが開けてくりまちた。
おはようでし、ふーみん!
「あぁ、おはよう。よく眠れたかい?」
うん。うさ、ノンストップ爆睡、でちいたの!
らんらん♪今日は昨日の嵐がウソみたいなよい天気、でしね!お空が青くて、ちっとだけかかってる雲も真っ白でし。朝ごはんを食べたら下男ズに言って、雪かきをちてもらいまちょう!ちょうど、今日は買出しの日だし。
「そうだな。……、藤原は元気だったかい?」
あ、うん。とってもお元気、でちたぁの。さっきも、ぴくりともせずにネムネムだったけど、寝息は規則正しかったし、顔色もよかったし!
「そうか。それはよかった。今日はじゃあ、みんなでお昼は、町に食べに行こう」
ふーみんは、しょんなこと言い出しまちたぁの。……え?
「どうせ買出しがあるんだろう?藤原を町まで送らなきゃならないし。それに……」
ふ、って、フクミワライの、ふーみん。
「それにな。……ムダに見目のいい学究肌の二人組みじゃ、実力は上がっても話題性に欠けるから、な……」
ふ、ふふ、ふーみん、ふーみぃん!
ふーみんは普段、とっても控えめのよいシトでし。が、時々、たいへん強引にナニゴトかを決めてゆきまし。
しょんな時、ふだん、そりぞり、ワガママいっぱいの皆は、一言半句も逆らわず、ふーみんの、いうとおり。
「うさ、今朝のメニューはお粥膳にしよう。昼を早めにするから」
言って、失礼、って、ふーみんは電話に向かいまちた。町のお店に、11時に予約。そりから別のお電話も何本かかけてまし。
うさは、うさうさも、こんなふーみんには逆らいましぇん。お買い物が出来ないときに備えて、食料品を備蓄ちてある冷凍庫の中から、すとっくのお粥を取り出しましの。うんちょ!
寒い日のお夜食に、ちっと食べすぎが気になる時に、便利なお粥はみんなのお気に入り。ゲルマンのシトもアメリカンも、いっぱい食べてくりるから、うさうさ、よくお作り、しましぃの。
……え?
……お粥を作るのは面倒くさい?
まぁさかぁ!うさが面倒なことを、する訳がないでちょう?
10分でデキマシ。いえ、出来上がるには半日かかりましが、その間、放置ちておけばよい、のでし!
そりでは、うさうさ特製・テヌキお粥の、作り方ぁ〜♪
うさのほかほかお粥しゃん
1. お米を洗いまし。一人分は、一合の半分程度でじゅーぶんでし。おかゆにしゅると、お茶碗三杯分くらいになりまし。
2. 水につけておきまし。ここで必ず三時間以上、十分に吸水させるのがポイントでし。お水が冷たすぎると吸水が悪くなるから、ポットのお湯などを足してくだしゃい。
3. お鍋に入れて火にかける。このとき、お水はお米のだいたい、6〜7倍。まぁ、うさは量ったりしましぇん。適当にやっていまし。お米一掴みにお水ばしゃばしゃ、というカンジ。
4. 中火でコトコト。沸騰ちたら弱火にちて、五分ほど、コトコト。あとは火を消し、蓋をちて放置ちておきまし。三時間ほどしゅると、あら不思議!お米は水を吸って、ふんわりお粥になっているのでし!
冷凍保存しゅる時は、お椀をビニール袋に入れて、しょの上にお粥を入れ、ビニールをひっくり返し、まし。
お椀ごと冷凍庫に入れて、凍ったら、ビニールとお粥を残してお椀は冷凍庫から出しまし。
こーちておくと、解凍の時に便利なのでし。凍ったお粥をビニールから取り出して、お椀に入れてもジャストサイズだからこぼれたりはみだしたりしましぇん。しょのままレンジで、ちーん♪
うさのお家は大人数だから、ビニールいっぱいに凍らせて、そりをお鍋にぽいって出して、直火で解凍しましぃけどね。コトコト。
「はよ……、うさぎ……、いー天気だなぁ……」
む、空腹に負けたハンサムしゃんが、真っ先にお出ましでし。
ハンサムしゃん、藤原しゃまを起こしてきてぇ!藤原しゃま、洗面所の場所とかをご存じないから、教えてあげてネ!
「……、ナンで、俺が……」
む。不平を言うつもり?うさのオテテの、このおたまが見えないの?食料配分を司るうさに逆らうと、いいことはありませんのことよ!
「……へいへい……」
言って、ハンサムしゃんは、引き返していきました。ふーみんがお電話から離れて、パックのお漬物を、ハサミで切って、小皿に盛り付けていきまし。たいてんにテキパキと、器用な箸使いでし。こんなに器用しょうなのに、ナンで包丁を持つと自分のオテテを、まず切っちゃうのかなぁ?
「おはよう」
「もーにぃん!」
「グーテンモルゲン」
それぞれにご挨拶の言葉とともに、現れた人たちに、うさはお椅子を引いて着席をオススメ。てへへへへ。
楽しいなぁ。あったかい、なぁ〜。
やがて、ハンサムしゃんと藤原しゃんも。
うさも子供用のお椅子にヨジヨジちて、朝の食卓に全員が揃うと、ハイネルしゃまがオテテを組んで、
「いただきます」
こりは日本語、でしぃの。ハイネルしゃまはプロテスタントで、アメリカ人しゃんはカトリックなの。にぃにぃは無宗教だし、ふーみんはなんとなく仏教徒だし、うさぎとハンサムしゃんはにぃにぃ教のにぃにぃ信者だし。
朝のお祈りが長いとゴハンが冷めちゃうし。
しょんなこんなで、ゴハンの前には、全員が日本の習慣に従うことに、なりまちた。スプーンやお箸を持って食べ物の前で、「いただきます」って一言のシンプルなご挨拶を、みんながお気に入りなの。
ダレにいただくって言ってるのか、食べ物しゃんにか作ったおシトにか、そりとも食べ物を作ってくりた農家しゃん、農家しゃんのために照らしてくれたお日様、お水、地面。もちかちたら、しょういうものを司ってる、居るかどうか分からないけれど、神様か、曖昧でいい加減なところが、便利なんでしぃ。
「ところで、今日のお昼は早めに、麓のダレス・カスフェでとろう。予算は経費で落とすから」
にこにこちながら、ふーみんが言いまちた。既に決定事項、でし。誰も逆らいましぇん。
「食事が終わる頃、雑誌記者が待ってる。特ダネと引き換えに、店の中には入るなって言ってあるから、たぶん出たらフラッシュが光る。みんな、特に啓介と藤原、楽しそうに、にこにこ笑ってくれよ」
しょう言うふーみんご自身も、にこにこ。
「せっかくだから、藤原の歓迎会とお別れ会を兼ねてぱーっとやろう。みんな飲んでいいぜ。帰りは俺が運転するからな」
む。ふーみんは飲まないつもりなの?さしゅが敏腕マネージャー。
てへへ。でも嬉しいなぁ。ダレスおじしゃんのお店、おいちくて量がたっぷりで、お酒にもあうしね!
「……、はい」
ワンテンポ、遅れて一人だけお返事をちた藤原しゃんに、うさは日本の、緑茶を注いで、あげまちた。
ある日のうさ日記・ある朝の食卓