うさうさ物語・47

 

 

 らんたった・るんたった♪ららららーん♪

 うさは梅干がダイスキ!今日も、瓶の前で、愛と感謝のダンスを踊りましぃ〜♪

 てへ。みなしゃま、コンニチハ!うさぎでし!日本に帰ってきて、まーし!

 見てみて、こり、清二しゃんちぃの、おババしゃまが漬けてくりたウメボシなの!

 うさよりおっきぃ、ハンサムしゃんの腰まである、甕いっぱいに、紫蘇とウメボシが入ってまーし!

 清二しゃんがね、天日干しの新米もいっぴょう、えっと、60キロ、届けてくりて、うさうさシアワシ〜♪

 最近、毎日、うさは一升のお米を研いでまし。

 ハンサムしゃんとにぃにぃが、ゴハンを一杯食べるからぁ〜♪

 ん?もちろん、うさも沢山、あむあむちてましヨ。えへへへへ♪

 だって冬だもん!冬には、おいちぃゴハンを食べて、スキスキなシトとぬくぬくちてないと、寒さに負けちゃいましからネ!

 しゃ、ウメボシ感謝の踊りをおどり終わって、うさは、壷に、ヨジヨジ。紫蘇とウメボシを小皿に取り出しまし。今日は、鳥の梅肉あえを作ろうカナ、そりとも、ササミに梅肉を挟んで揚げたフライがいいかなぁ?

 にぃにぃとハンサムしゃんは、二人で出かけて、まだ帰りましぇん。

 にぃにぃが国内のスポンサーしゃまにご挨拶まわりで、ハンサムしゃんは、しょの運転手、なのでし。

 うさうさは、よく、事情がわからないんだけど、ハンサムしゃんが運転手ちていると、にぃにぃのスポンサーしゃまに喜ばれるんだってぇ。人気者だからかなぁ?

 ふぅ、お米も炊飯器にセットちて、うさうさの家事、午後の部、終了〜。

 あとは夕方まで、遊んで暮すでし。フィッツ君は3時まで縄張りの巡回時間だから、うさ新聞でも読もうっと。トコトコトコ。

 今朝は二人の出発が早かったから、新聞は、見出しだけざっと目を通されて、リビンクのソファの上に置いてありましの。うさうさ、ヨジヨジちて、うーんちょ。新聞を、お床に下ろして、拡げて読みましヨ!

 ん?

 うさぎなのに、新聞を読んでどーしゅるのか、って?

 チッチッチ。うさうさだって、この現代社会に生きているのでし。世間の流れを超越ちて生きていける訳がありましぇん。

 戦争しゅれば原油が高くなって、灯油代が上がって、うさうさ家計簿を直撃しましぃし、ね。

 薬剤や農薬の健康被害も、大問題でしの。現代は個々が自己防衛をしなければいけない時代、でし。

 ……と、にぃにぃが言ってマチタ。

 ……しょう言ってハンサムしゃんに、新聞の見出しだけは、毎朝読ませるノ。

 うさも見習って、ふむふむ。

 ……あ……。

 ……あ、あ、あ、ああぁぁぁ、あーッ!!!!

 

 

 せっせ、せっせっせ、せっせ。

 あ、失敗。オカカがはみ出ちゃった。

 証拠隠滅、あむあむ。くぷぅ〜。

 せっせっせーの、せ。

「ただいまぁ、うさぎぃー、土産だぜぇ、アイス買って来てやったぞー!」

「うさうさ、ただいま。何処だい?」

 あ、にぃにぃとハンサムしゃんだ。

 お帰りなしゃーい、トコトコトコ。

 お、オテテを今、床につけないから、うさはネコマタしゃんのよーに、後足でウンチョと立ち上がって、トコトコ。

 お帰りなしゃい、でし!

「おぅ、ただいま。どーしたうさぎ」

 ハンサムしゃんが、うさをひょいって、ダッコちてくりまちた。

 しょのまま、うさうさが出て来た台所に、のしのし。

 にぃにぃも一緒でし。にぃにぃ、お帰りなしゃーい!

「あぁ。どうしたんだ、うさ。こんなにおにぎり作って」

 お台所には、うさうさが、にぎにぎちた、おにぎりがイッパイ。

 シャケにオカカにメンタイコ、最近こってる韓国海苔を巻いて、おいちしょーでしょ?

 こり、差し入れに持って行ってあげたいの。

 ハンサムしゃん、車を出してくだしゃーい!

「ん?何処に。お前の実家のうさぎの群れに、か?」

 ううん。うさの実家・京ちゃんちぃでは、半野生化ちたうさたちが、旅館のナマゴミを減らすべく、ゴハンたっぷりで過ごしてマシ。そりはよいのでし。

 そうじゃなくってネ、留置所の清二しゃんに!

「あ?あのメツキの悪ぃ野武士かぁ?何だよ、差し入れって?」

 こ、この新聞を見て、地方版のトコロ……!

 清二しゃんの、お顔写真が、新聞に載ってるのー!

「マジかよ。……マジだ。なになに」

「啓介、俺にも見せろ」

「まぁナンだ、婦女暴行とか強盗とか、いかにもしそうなツラ……」

「……?」

 ねぇねぇ、清二しゃん、何処の留置所に居るのかなぁ。

「うさぎ、ちゃんと記事を読んだかい?」

 ううん。漢字が多くて、よく分かりましぇんでちた。来年から、うさには子供新聞をとってくだしゃい。

 でも清二しゃんが捕まったとちたら、喧嘩か事故か、選挙違反でちょう?田舎の選挙は農協の理事戦と関連ちて、けっこう派手に繰り広げましからネ!

 この時期の清二しゃんは、ハウスイチゴの収穫におわれてるかりゃ、強盗しゅるほどおヒマじゃないし、婦女暴行ナンて、ふッ!

 清二しゃんとは、一番縁遠い言葉でし!清二しゃんちで病気療養をちたうさには分かってマシ。レタスの選別を手伝いに来てくれてた、アルバイトの女子高生にしゃえ、からかわれてマチタ。

 しょう。うさうさ、おビョウキの時にいっぱい、ゴハン食べさせてもらったカラ、お返しに、留置所に、差し入れもっていってあげたいの。

「これは、違うよ。褒められた記事だ。……、『お手柄、農業青年たち、重機強盗犯を逮捕』、っ書いてあるよ」

ぽぇ?

「一昨夜、栃木県××農協青年部が夜半、霜対策の焚き火当番の会合をひらいていたところ……」

「焚き火って、霜対策になんの?」

「一昔前は古タイヤ燃やして、煙で霜を予防してたらしいな。今はさすがに、環境問題で出来ないだろう」

「青年部の部長・岩城清二氏が会合へ向かう途中、県道を無灯火で走行する重機車輌を発見。ライトの故障かと思い、防災用の搭載マイクで背後から声をかけたところ、スピードをあげて逃走。不審に思った氏が仲間に連絡をとり、山道の峠で挟み撃ちにして停車させたところ、運転手を含む三名は山中に逃走。荷台には重機と、日光市郊外の銀行から盗んだATMが、丸ごと置かれていた」

「あー、いま流行りの破壊強盗かよ」

「駆けつけた警察官とともに、青年部有志が山狩りに協力。わずか40分で、山陰に姿を隠していた犯人達を発見。警察署は近く、氏を中心とする協力者に感謝状を進呈する予定」

 ぷ?

「なになに、アニキ見せてよ。岩城清二氏のコメント。『なんでもかんでもビニールを掛けるわけにはいかない。路地物の季節感を大切にしたい』。……ナンのコメントだ、こりゃ」

「褒められたんだよ。いい記事だ。心配しなくていい。よかったね、うさぎ」

 う……、ウン!よかった、良かったでしぃ〜!

 まぁ、農家が多い田舎では、警察所二課関係の、脱税とか選挙違反とか、食管法違反とかの知能犯系の前科は、ナイも同然に扱われるケド、前科がつくと海外旅行しにくくなるから、ナイに越したことないのでしぃ〜!

 よかった、ヨカッタ。ふぅ。うさうさ、一安心〜。

 あ、でも、この大量のおにぎり、どうしよう……。

 選挙違反なら、きっと芋づるで10人くらいは、留置さりてるだろうと思って、うさうさ、作りすぎちゃいマチタ。ポテン。

 いくらナンでも、うさうさとにぃにぃとハンサムしゃんじゃ食べきれましぇん。ムダになっちゃう。おいちぃ新米なのに。うぇえぇーん。

「心配無用だよ、うさぎ」

 にっこり笑って、携帯を取り出すにぃにぃ。

「もしもし、京一か?いますぐ来い。来期の大事な話だ」

 返事も聞かずに、ピッて、切って、しゅぐ。

「もしもし、史浩か?いますぐ来い。来期の大事な話だ」

「もしもし、藤原か?すぐ来てくれないか。来期の大切な話だ。……よろしければ、父君も」

「はい、本人には、うさうさがお掛け」

 番号を押してから、うさに、携帯を渡してくりたにぃにぃ。うさは、通話ボタンを、ピッと押しマチタ。

「……、はい、もしもし。こちら岩城農園」

 あ、清二しゃんのお声だ。

 せ、清二しゃん、その、あ、あのあのね……。

「おーぅ、うさうさかぁー!元気かぁー?」

 えっと、しょの……!

 ら、来年の、大事な話があるかりゃ、しゅぐに来て!

 言うなり、うさは電話をピッ!

 ぜぇ、はぁ。

「男が八人居れば余裕だろう。さて、物置からワインでも持って来るか」

 あ、じゃあ、うさうさはお味噌汁つくってフライ揚げて、えっと、ワインなりゃ、ちぃずも用意ちて、サラミとハムと、えとえと……。卵焼きにぃ、極北なきうさしゃまが送ってくりた、オジャガをふかして、そりとぉ。

「アニキ、俺が運ぶよ。寒いから」

「お前は藤原の父君のために、日本酒を買って来い」

「あ、うん。分かった」

「うさ、お隣にフィッツ君に、お越しになりませんかって声をかけておいで」

 はぁーい!

 いきなりでしが、今夜はお客様をお招きちての、パーチィ。

 らんらん、今日もたのちぃ、シアワシな夕暮れ、でし!