ある日のうさ日記・52

 

 

 電池残量、オッケー。しすてむおーる・ぐりーん。非常食と発煙筒、毛布のお支度も、バッチリ!

 うさうさ号にうさのんの。出発進行、はっしーん!ららら・らーん♪

 あ、みなしゃまコンニチワ!かわゆいうさうさぎ、でしの〜。

 うさはドイツに来ていまし。ましんでざいなぁ、というお仕事のハイネルしゃまの助手を務めるにぃにぃの、そのまたお供でし。夏には観光地になる古城で冬ごもりちぅ、でし。

 しょんでね、見て見て、このお車はうさのために、ハイネルとゃまが開発ちてくりたの!

 動力は天然ガスと、太陽電池デシ。カタチは三輪車に似てましが、ちゃんとどらいばー・るーむはお屋根がついて、密閉さりていまし。エアコンもありましのヨ。万一の遭難に備えて、発煙筒にSOS信号、非常食と毛布も積んでありまし。ボディはチタンで、頑丈だからクマしゃんがパンチちても壊れないけど、軽いからお車ごと引き摺っていかれないよーに、トウガラシ・エキスの噴霧装置もついてマシ。

 タイヤがちっちゃいから悪路は行けないけど、新雪や、ハンサムしゃんたちがスノー・モービルで通り過ぎた跡ならバッチリ、時速20キロくらいでまぁし♪らんらん♪

 この山には、動物しゃんが多くてネ。野生のテンやイタチしゃんに食べられないために、うさはヒトリでは外に出られましぇんデチタ。おうちの中も大好きだけど、うさお外で遊ぶのも好きなんでし。去年、窓際によじよじちてお外を見ていたらハイネルしゃまが、かわいそうにね、ってユってくりて。

 今年、ここに来たら、うさのために、こんなお車を用意ちておいてくりたの。うきゅーん!

 お車を見た時、うさ嬉しくてハイネルしゃまにスリスリいたしました。にぃにぃは、お気遣いいただきありがとうございます、と言ってくりまちた。……ハンサムしゃんは、涙に暮れてマチタ。

 ハイネルしゃまの作るお車は、世界中のレーサーのアコガレなんだって。

 ハンサムしゃん、ボディのデザインはちてもらいたけど、エンジンや駆動系には、手を貸してもらえないんだって。なのにうさがお先に、何もかもオリジナルの車を作ってもらっちったの。

 ハイネルしゃまは天然ガス資源のことや、太陽電池のこと、なんかを説明ちてくりまちた。うさよく分からなかったけど、ハイネルしゃまがうさのお車のために、一生懸命、イロイロ考えてくりたんだなぁ、ということはよく分かりマチタ。にぃにぃは感心してまちた。ハンサムしゃんはむせび泣いてマチタ。

「メーカーに作らせたボディがブサイクだったから、わたしが板金から塗装まで仕上げたのだよ」

 って、うさを真っ赤なお車に載せてくりながら仰ったハイネルしゃまは、本当に楽しそうデチタ。

「仕事さぼってこんなことしておられたのですか、ヘル・ハイネル」

 と、ちっと呆れ気味だったのは最近、ハイネルしゃまの開発部門マネージャーも勤めつつある、たぬたぬ・ふーみんでちた。誠実な人柄と真面目さ、温和に見えて実は有能なふーみんは相変わらずでし。何時の間にか、組織に馴染んで食い込んでひき回しておりまし。

「うむ。実に楽しかった。子供の頃、プラモデルでは我慢できず、祖父のリンカーンのエンジンを分解してしまったことを思い出したよ」

「おいつくらいの子供の頃ですか」

「六つか、七つかな。車庫の暗証番号のセキュリティを突破して、車に搭載されている盗難防止センサーを赤外線と電波発信機で騙して、エンジンルームのキーを開錠した時は世界性服を成し遂げたような気持ちになった」

「はは。わたしも父のベンツを分解しましたが、さすがに10歳くらいでした」

 とは、にぃにぃ。

「ブルジョアだなぁ。俺は近所の廃車置場に夜中に忍びこんで、解体に協力していたぞ。中学生くらいの頃だ」

「ははははは」

「あはははは」

 みんなが笑うから、うさもうふふと、一緒に笑いマチタ。

「……」

 ハンサムしゃんは一言もなく、がっくり床にうなだれて座り込んでマチタ。

 

 しょーちて、本日、時刻は午前11時。

 冷え込みは厳しいけどお天気はよいのでし。うさうさは、うさうさお車でスノー・モービルがつけた轍の跡を田とって、運転、いたしまし。ギアはハイとローの二段階でし。清二しゃんちぃで見た、昔の「ルパン三世」のオープニングに出て来たのと同じギアでしの。ローに入れて出発進行、ハンサムしゃんが早朝に雪かきちていった車庫から出て、おんもからは、ハイに切り替えて、アクセルをうんちょと踏んで、ぶろろーん♪

 と、ゆいたいところでしが、二酸化炭素も有害ガスも、そちて騒音も出さないこのお車は、ちっちゃいモーター音だけで進んでゆきましの。

 お外は本当にいいお天気。時々、ばさ、って道の奥で音がしまし。木の枝に積もっていた雪が解けて、地面に落ちる音でしの。

 らんらん、お外は楽しいな。明るくてきれいで、そーちて。

 自分で行きたいところにいける、って、とっても素晴らしいことでしぃ〜。

 日本から送ってもらう、うさ用の子供新聞に載っていたけど、ホテルを違法改築のシャチョーしゃんは、猛反省ちてくだしゃい。うさはプンプン、でし!

 ま・そりはともかく、うさうさ号は、森を抜けて、川に出まちぃた!

 川はぴきーん、と凍結ちていて、うさうさ号で渡れマシ。中央辺にはNASA開発の断熱シートを敷いて、一人用のちっちゃいテントが張ってありマシ。

 ハンサムしゃんの、ワカサギ釣りテント、なのでし!

 ハンサムしゃん、そろそろ、お昼の用意をしましぃのー。お魚、たくさん釣れまちいたかー?

「おー、うさぎ、来たのか。その辺に置いてあるぜ、足りるか?」

 テントの中からハンサムしゃんが顔を出して地面を指差しまし。見ると、おぉ、足元にはいっぱいこっぱいの、小魚が!釣り上げらりてはテントの中から、氷面の上放り出されたと思しき小魚しゃんが、釣り上げられたカタチちのまま、びち、っという姿で、ぴ・きーん、と、急速冷凍でし!

 うきゅん、おいちしょうー!

 うさはお車から出て、凍ったワカサギをせっせと拾い集めてビニール袋に入れましの。ハンサムしゃんも竿を置いて手伝ってくりまちた。ふきゅー、ビニール袋にぱんぱんに、100匹くりゃい、釣れていましぃよ!お昼ごはんのタシに、から揚げにするにはバッチリでし!

「いいなぁ。天つゆ作って、わかさぎ丼にしてくれよ、うさぎ。俺は昼間であと一時間釣っていくから、それは南蛮漬けにしてくれるか?」

 オッケイよ!タカノツメ効かせて、ピリカラのお味にちてあげる!

「おう。気をつけて帰れよ。そんでさ、その車……」

 だめ!こりはうさうさのうさぎ号でし!

 分解なんか、さちてあげましぇん。べぇー、でーし!

 

 

 

         ある日のうさ日記・北部ドイツの冬の生活