うさうさ物語・54
セッセ、せっせ。
くるっとちて、ぎゅーっと縛って、マジックでお顔を、カキカキ。
眉はもちっと太いカナ。折り紙おって、お帽子を作るでし。せっせっせ♪
「やあ、うさうさ、楽しそうだね。てるてるぼうずかい?」
あ、ふーみん、お支度終わったの?
うこの長雨が早く上がって、お庭で遊べるよーにうさ、てるてる坊主を作ってるの。毎日一個ずつ、だいぶたまりまちた。みてみて!
にぃにぃに、京ちゃんでしょ、なきうさしゃまに、うさうさも居るの。もちろんふーみんとハンサムしゃん、そりにハイネルしゃまとあめりかんも!
「上手に作れてるなぁ。ん?これは?」
うふふ。誰だか、わかる?
「うーん。なんだかこの眉と口元が。うーん。……もしかして、王監督かい?」
はぁーい、せいかぁーい!
こりは、王監督のご回復を祈るげんきぼうず、でし。
「うさうさぁ、メシ……、あれ、なんだぁフミヒロ、その格好」
ふーみんはビシッとちたおスーツ姿で、風呂敷を手にちていまし。
「今日は涼介と分担してスポンサーまわりなんだ。風呂敷持ってると、なんだか世間にウケがいいんだよ」
もったいない運動は国際的な盛り上がりを見せていましからねぇ。
ふーみん、じゃあね、行ってらっちゃい。ゴハン作っておくから早く帰ってきてねぇ!
「あぁ、じゃあな、うさ。お土産買ってくるよ」
ふーみんをお見送りちてから、うさうさは、てるてる坊主とげんきぼうずを、つるし、つるし。
ふぅ、王監督が、早くお元気になりましゅよーに。
「なんだうさ、お前、ホークスファンだったのか?」
ううん、そんなわけじゃないでし。でも王監督は、歴史的な悲劇の監督だから、元気になって欲しいの。
「そーいやこのヒト、卵、投げつけられたことあったな」
あぁ、うん。しょういうこともありまちた。お気の毒でちた。でも、うさかせユってる悲劇はしょんなコトではありましぇん。
負け続けたらファンに罵られるのは、プロしゃんならある程度、ちょーがないでしの。お相撲しゃんは座布団や扇子をよく投げられてるし、ハンサムしゃんも昔、靴を投げられたことがあったんでちょ?
「おぅ、長靴だった。今でもよく色々投げられるぜ。ガードが厳しくなったから届かないだけで。最近の流行はカプセル入りの女物のパンツみたいだけどな」
きゃー、お下品―!ひろってかぶったりちないでよ!
「するかよ、バーカ。で、ナニが悲劇だったんだ?」
うん。負けて罵られるのは、仕方ないけどね。
勝ってリーグ優勝ちたのに、本拠地が展示会だか学会だかに貸し出されてて、日本シリーズを間借りで戦わなけりゃならなくなった、ことがね。
「……あったな」
ありはあんまりでし。酷い話でし。王監督、可哀想でしの。元気になって欲しいナ。
「そうだな。……で、今日の昼メシは?」
うきゅ、お昼ゴハンでしか?
今日はねぇ、うちはうさだけがお留守番だから、簡単な粗食でしのヨ。
冷蔵庫から、んちょんちょ。
「なんだ、それ」
ん?こりはね、日本のうなぎ屋しゃんがくりた、うなうなのおシッポでし。
土用の丑の日は、うなぎを焼いて、焼いて、焼いて。
んで、うなぎは尾頭付きでは出さないから、頭とシッポは、お店に残りまし。
頭はタレの出汁に使うけど、尻尾は利用ちないから、とユって、おっきぃビニールにパンパンにくれたの。うさ、今日は一人だけだから、こりで簡単なゴハンを食べまし。
うなうなのおシッポに、甘辛いタレをつけて、フライパンで炙って♪だし巻き卵にそりをたくしゃん巻き込んで、くるりん。腹開きのうなぎの尻尾だから、ちっと堅いけど骨はないでしよ♪
ごはんの上において、うまき丼、でし!
「……なんか、えらい贅沢な昼飯に見えるの俺だけか?」
えー。もらい物の残りもので質素なまんまなのにぃ〜。
「いや、むちゃくちゃ美味そうなんだけど。なんだよそのうまき。三分の二がうなぎだぜ」
ま・おいちいことは否定いたちましぇん。あむあむ。
「ところでうさ。お前の目の前に、昼飯まだで腹を減らしたレーサーが居るんだけどよ」
ん?おなかすいてるの?残り物のごはんにふりかけでもかける?
「……うまき丼、美味そうだな」
うん。しゅんごくおいちぃよ!
「リーグ優勝してホーム球場使えなかった監督と、年収億で昼飯がふりかけメシの俺と」
文句があるなら、自分のチームで食べればいいのに。おごちしょうなんでちょー?
「どっちが可哀想だと思う?うさ」
もー、しょーがないでしねぇ。ファーストドライバーのくしぇに、ナンでマンマを毎日、セカンドチームに食べに来るんだか。
「仲間はずれされんのが寂しいから」
うまきは面倒くさいから、うなシッポ丼でしよ。タレつけて炙ってあげるからゴハン自分でついでね。
王監督が早く、うなうなをおなかいっぱい食べられますよーに、でし!
ある日のうさ日記・うさとハンサムしゃんの昼食