うさうさのおぞう日記
とんとん、とんとーん!
京ちゃん、京ちゃーん、開けてぇ!
「誰だよ朝っぱらか……、うさぎ」
はい、うさうさでし。
明けましてオメデトウでし。
お年玉ちょうだい、でし。
「わざわざそんな為に来たのか……」
そりもありましが。
とてとてとて。
おコタの中にもぞもぞ。お顔だけ出してぽてん。
御雑煮、作ってくだしゃい。
「餌、貰ってねぇのか?」
ううん。毎日、五食くらい、食べてまし。
特に今いるハンサムしゃんは、食べ物のガードが甘くって、イイシトでし。
「聞くだけ野暮だったな。真ん丸くなりやがって」
うさ、丸くってカワイイでしか?
きしししし。
「はいはい、かわいい、カワイイ」
「……なぁにぃ?」
あ。
おお、オンナノシトでし。
京ちゃん、また引っ張り込んでたでしねッ。
うさがちょっと、オメメを離すとこりなんでしから。プンプン。
「あらぁ、カワイイうさぎぃ。飼ってるのぉ?」
「あぁ。毎晩、一緒に寝てる」
あ。オンナノヒト、嫌そうなオカオ。
「しつこいオンナよりゃうさぎの方が好きだな」
あ、怒って出て行きまちた。
京ちゃん、またぱくぱくしたでしね。
「上がり込まれたんだ」
もぅ。どうだか。
まぁいいでし、ねぇ、御雑煮ぃ。
「喰ってねぇのか、雑煮」
たべてない、でし。
お節は、ミツコシの五万円のを、食べまちたが、お雑煮はまだでし。
三が日のうちに食べないと、お雑煮らしく、ナイでし。
「……」
無言で台所に行くお背中が、凛々しいでしぃ。
うさ、寒いの我慢して、御手伝い、しまーし。
うさうさ、京ちゃんダァイスキ、でしから。
昆布をちょきちょき、スルメをちょきちょき。
お料理鋏で、細長く、切りまーし。
うさは見学。頑張ってぇー♪
「……、ぶ、……、め」
あり?
京ちゃん、ナンて言ってるでしか?
「ヨロコンブ、ヨロコンブ」
は?
「ワルイコトスルメー、ワルイコトスルメー」
ひ?
そりは、ナニ?
御雑煮をオイシクつくるジュモン?
「雑煮の昆布とスルメは、こう言いながら、切るんだ」
……エ?
「うちでは、そう決まってたんだよッ」
……オ?
「いいから、ゴボウでも洗ってろッ」
……深く考えないコトにしまし。
ごぼう、ごぼう。あった。
むむ。ごぼうの隣に、ブロッコリィ、はっけぇん!
芯が甘くてダイスキでし。ボリ、ボリ。
ピンポォーン。
あ、オキャクサマでし。
はぁーい。
またオンナノシトだったら、追い返さなきゃ。
うさのお雑煮が、減りましからねぇ。
「京一ぃ、明けましておめでとぉー!」
ム.この声は、清二しゃん。
「初堀野菜、持って来たぜぇ!」
むむむ。
仕方ない、明けてあげまし。かたん。
「オォッ、久しぶりにうさぎが居るじゃねぇかよ」
いまし。帰ってきてました。
「良かったなぁ、ニンジンも掘ってきたぜ。朝掘りだ。ほら」
うむ。苦しうない、でし。
ぼりぼり、ポリポリ。
清二しゃんちのお野菜は、オイシイでし。
「やっぱカワイイなぁ、うさぎぃ」
ナニヲイマサラ、アタノマエのコトを。
「玄関先で騒ぐな、清二」
「京一ぃ。うさぎ、かわいいなぁ」
「……そうか」
「このうさぎ、よく食うから俺、好きだぜぇ。朝掘りの野菜だと、食いつきが違うよな。喰いしんぼじゃない奴に食い物持ってくるほど、張り合いのない事はないぜ」
「そうか。じゃあな」
「待てよ京一ぃ。そう追い出すなって。話があんだよぉ」
「そこで話せ」
「エンペラーの初走りのことでさ、ゆっくり話してぇんだ。 あげろよ。オンナ、今帰ってっただろ。 ちょっとだけでいいからさぁ。なぁ、うさぎぃ」
ま、ヨカロウ、でし。
ニンジン、おいしいでしから。
おコンブと、一夜干しの、スルメのお出汁。
ささがきゴボウに、おニンジン。
鶏の腿肉で、京ちゃんの御雑煮、かんせぇい。
お餅は焼かずに、お出汁の中で煮て。
はふはふ、オイシイ、でしぃ。
「美味いぜ、京一ぃ!」
「……そうか」
京ちゃん、京ちゃんアノネノネ。
「うさぎ」
はぁい。
「雑煮、もって帰れな」
うん。
重いから、お玄関まで、送ってくだしゃいね。
「あぁ」
にぃにぃ、元気でしよ、とっても。
「そうか」
うん。
「美味い、美味いぜ京一ぃ」
とってもとっても、オイシイお雑煮でし。
にぃにぃも、きっとヨロコンブでし。
「そうだな」
うさうさ・御雑煮に、京ちゃんのセツナサをちょっとリカイ。