うさぎの極北・ヒットエンドラン!  しょのニ

 

 

 カラッポのおなかを抱え、お耳を揺らしながら、うさはお二人をご案内〜。新千歳空港はとっても広いから、迷子にならないでね!

 途中、到着口の近くに別のお店がありまし。お二人、ここのミニ丼セットのお値段を覚えておいてね!ミニ海鮮丼が三つとカニ汁で1980円と言う暴利を!

「暴利というか、これくらいするでしょう」

「仕方ないですよ、観光地の空港だの。それにしても広くてびっくり」

「本当に広大。山口宇部空港なんて比べ物になりません」

「岡山もですよー」

 仲良くしょんなことをお話しちながら、いこまんとAぢゃ子しゃまは着いて来てくりまちた。向かう先はもちろん、『郷土料理 ユック 千歳空港ターミナルビル店』でし。新千歳空港の三階グルメフロアにありましでし。

あのね、うさのおすすめはね、刺身・てんぷら・焼き魚に茶碗蒸し、小鉢にかに汁、ミニイクラ、というおかずたっぷりにお寿司が三貫にじゃがばたふもついた『味めぐり膳』1230円か、うに・カニ・サケとイクラの海鮮親子丼というミニ丼におさしみ・てんぷら・茶碗蒸しがついた『白樺定食』1340円か、でし。

色々種類を食べたいなら二人で『白樺定食』をひとつと、単品を追加という手段もごじゃいまし。酒のみにはそっちもオススメよ!

「このお造り定食 1,730円というのは?」

 極北を食べつくす気合満々のAぢゃ子しゃまがうさにお尋ね。うさはノーンと、首を横に振りまし。おいちくないことはないんでしけどね、ゆっぱりここは空港の中のお店で、お刺身はそりなりにしょこしょこ、なのでし。ホッキ貝とか甘い生のエビしゃんとかイカと、マグロも、定食についてくる分にはたいへん美味しいと評することができましが、舟盛で量が揃っちゃうとイマイチということに気づいてしまいまし。

特にAぢゃ子しゃまは美味なる山口のご出身。そちて福岡に来られた時は常にうさうさと神湊にイカを食べに行っていた海鮮好き。しょの舌をうならせるほどのお刺身ぢゃないから却下なの。お刺身はまた今度、札幌場外市場のグルメ亭か佐藤水産石狩工場のレシトランに連れてってもらえる日にちて、今日のここでは極北名物を食べるデシ。

海鮮気分じゃないから、ゴハンモノの単品もあるヨ。極北名物・十勝ブタしゃんのブタ丼なんていかか?

「わたしは味めぐり膳にします」

 あくまでもマイペース名凪しゃんがしょう言って。

「うーんどうしよう。白樺定食も食べたいけど、他のも気になる」

「こうやっていると思い出しますね。萩のシーマートに行った時のこと」

「あの時もいこまんさんと大盛りスペシャル丼を分けましたね」

「都会で食べたら幾らだろう、

「今回もそうしますか」

「そうしましょう」

 むむ、仲良しな二人にうさはちっと嫉妬ちてちまいしょうー!

「はぁい、この、厚岸産の生牡蠣を食べたいですっ!」

 瞳を輝かせるAぢゃ子しゃまのお姿に、南国のトラしゃんが重なって、うさはおメメをこす、こす。トラしゃんは今回ご用事があったので不参加。日曜日のイベント会場で合流予定でしの。うさは可哀想なトラしゃんの為にこの極北日記をくわしぃーく書いてあげるとココロに決めていまし。ランラン♪

「その牡蠣はオススメです。去年は昆布盛産でした」

 時々に応じて産地を変えて、しゃらにそりを表示ちているお店というのは大抵、美味しくて信頼がおけまし。函館の『きくや食堂』でも三色丼を頼んだらおねーしゃまがすらすら、ホタテとウニの産地を説明ちてくりまちた。偽装表示問題は、しょんなコトしゅる悪人はこの世から追放でしー!

 ぜぇぜえ、ちっと興奮ちてちまったうさ。いこまんも牡蠣、よろちぃでしか?

「かまいませんが、わたし、生牡蠣を食べるのは生まれて初めてです」

 まぁ、びっくり。幾つになっても初体験はありましね!

いこまんはアレルギー体質じゃないし、北海道の生牡蠣は海水温が低いから新鮮で、あたる心配はあまりちなくてもいいとうさは思いましが……。

 じゃ、生牡蠣と、あとこのジャがチーズもオススメなの。ほっこり品種の『きたあかり』使用、クリームソースに塗れてちぃずを掛けて焼いてあって、けっこう量もあるのに360円というおいちしゃでし!

「じゃあそれも。ところでこれからの予定は?」

 いこまんがうさにお尋ね。

あのね、ここでの食事が終わったら札幌駅に行って、そりからバスで車窓よりテヌキ観光デシ。市街地をぐるっと廻って、さ、さっぽろびぃる博物館に行って、さっぽろびぃる博物館に行って、大通り公園でテレビ塔を見て、ちっと歩いてからみるく村、というルートを考えて、おりまし。

「みるく村、嬉しい!じゃあデザートはなしにしておきます」

 ススキノのみるく村に行きたがっていたいこまんはとっても喜んでくりまちた。

「みるく村?」

 よく分からないご様子のAぢゃ子しゃまに、アイス屋しゃんですよと説明しゅるうちに、頼んだマンマが届きまし。ここは空港の中のお店だから客をあまり待たせないでしの。

 まずはぷっくり、むちむちに膨らんだ牡蠣しゃんの、ご登場ー!

「お……、っきぃ……!」

 うふ、しょうでちょう。北海道の牡蠣は大きいのでし。うさの住む福岡や山口・岡山でも牡蠣はとれるけど、ちっと種類が違うかもしりましぇんね。女のシトの掌より一回り小さな殻から弾けしょうな、カレー用のスプーンで掬っても身がスプーンから盛大にはみ出してしまう牡蠣しゃんのはなんと、三個で630円!

 お値段、覚えていてね、お二人しゃま。あとでいっそう美味しくなるからね!

 Aぢゃ子しゃま、一番大きいのをどーじょ。Aぢゃ子しゃまは初・北海道だからね!

 わぁい、とユって中央の牡蠣を手にとり、ネギと紅葉おしをちっとだけつけてあんぐり、お口に入れたAぢゃ子しゃまは。

 しばし目を閉じ、もぐもぐと無言ののち。

「お、い、ひ、ぃ……」

 悶絶ちておらりまちた。いこまんが小さいのでよいと仰ったので、うさが次のを、ぱくっ!

 んー。

 んっ、んっ、ん、んーっ!

 おいちぃデシ。お口の中からはみ出しそうなぷりぷりんの牡蠣を、んっと噛み切ればプツンと切れて、じんわり、お口の中に海のミルクが広がりまし。貝の苦味と旨みのバランスがタイヘンによろちいでし。ああ、うさ、今、とっても、シアワシ……。

「じゃあ私もいただきます。……、あら美味しい」

 いこまんもそりなりにお気に召してくだしゃったご様子、ヨカッタ。

「私の茶碗蒸しとカニ汁は差し上げます、どうぞ」

「じゃがいも、ほくほくー!ソースも美味しいです」

「あ、ウニだっ!」

「ウニ丼はAぢゃ子さんに差し上げますよ」

「えぇっ、本当ですか?」

 喜びつつ、柄のしっかりちたすぷーんを握り締め、ジャがチーズの、器に張り付いたオコゲをこすり取るAぢゃ子しゃま、しょの仕草、まったく同じコトをちたシトをうさ、別に知っていましぃの。

 Aぢゃ子しゃまには、トラしゃんが憑いているかもちりない。

 『ぐるなびくーぽん』でサービスについてきたアイスコーヒー(極北の室内は暑いからね!)で喉を潤わしつつ、しょんなことを考えた、うさでちた。

「凪さん、ビールを飲まないんですか?」

「今は飲みません」

 と、答えた凪しゃんの口元がしゅこちだけ微笑んでいたのを、うさは不思議に思ったけれど、イクラしゃんを掬うことの方が大事だったので無視ちまちた。

 

 

 一時間とちっとたった後で、三時前、おなかいっぱいになったうさたちは、エスカレーターで二階の中央広場へ降りまし。花畑牧場の生キャラメル売り場には、今日もたくさんの『前世で悪いことをちた人たち』(=トノガタたち)が並んでおられまちた。それを身ながら、郵便局へ向かうエスカレーターを降りまし。順路の通りに行くよりこっちが早いのデシ。観光地では珍しいことではごじゃいましぇんが、空港やモールではお土産屋しゃんの中を通らせようとちて、わざと近道を表示ちていないことがよくありマシ。

 エスカレーターを降りて、てくてく。JRの駅へ向かって歩いていたら、ありゃ?

「こんにちは!花畑牧場のカフェはいかがですか?」

 うさが知らないうちに新しいお店がデキテまちた。

「こちらで生キャラメルを購入できるんでしょうか?」

 こういうコトには目ざとい凪しゃんが冷蔵ケースを横目で見ながらお尋ね。カフェの入り口にメニューを持って立っていたおねいしゃんはにっこり笑って。

「はい。店内でピザセットかカフェセットを召し上がっていただいたお客様は、お一人様三個までご購入いただけます」

 説明ちてくりたおねいしゃんに、どうもと会釈ちてうさ一行はテクテク。

「購入権つき喫茶か。商売上手いですね」

「でもそんなに暴利でもないですよー。帰りにあえば、カフェによりましょう」

「そうしましょう」

 という計画が、事情により頓挫ちて、お味をご報告できないことをうさ、ココロよりお詫び申し上げまし。ごめんなしゃい……。

 JRの駅で切符を買いましの。札幌までは快速で1040円。ちっと高い気がするけど距離があるからね。時間は30分と少し。ホームに下りていくと出発寸前の列車がありまちた。でもうさたちは慌てず、反対側のまだスカスカの列車に乗りまし。端っこの三人がけがとれたよ。シートを向き合わせて、荷物をシートの背中に置いて、ふぅ。

 出発までは10分と少々。けっこう車内はすいておりまちた。ま・今日は金曜日、平日でしからね。こりが来週の三連休だったりしゅると、オスナオスナの大騒ぎにになってちまいのしの。みんなの憧れ北海道、人気観光地でしからねぇ〜。

「ああ、どきどき。初めての北の大地です」

 胸を弾ませるAぢゃ子しゃまのオテテの中にはカメラが握られてまし。このためにメモリーカードを買ってきたというAぢゃ子しゃま、気合が入ってまし。食事中も楽しそうに写真をとっておられまちた。嬉しそうで、なんだかうさまで嬉しいな!

「いこまんさんは、去年、函館にいったんですよね?」

「ええ、それが人生で初めての北海道です」

 五月のとってもいい季節、五稜郭祭りは超・楽しかったでしぃ〜。

「うさぎさんのお友達が車を出してくださって、現地のガイトつき、物凄く贅沢な旅行でした。温泉もよかったし、食事も、凄く美味しかった。凪さんがイカの刺身をごはんに乗せて、毎朝、イカ刺し丼を自作していました」

 うさもだったよ!しゅんごく美味しかった!呼ぶ子のイカの供給地・神湊の近くに住んでいるこのうさを唸らせる、すばらちぃイカしゃんでちぃたの!

「えー、いいなぁ」

「とても良かったですよ。渚亭が特に。夕食つきで、凪さんは全然期待していない感じだったのに、食堂に入るなり顔色が変わりました」

「入り口横のカウンターに、ヒラマサがごろんと転がされて、今まさに板さんが三枚に下して刺身に引くところ、そんな感じでした。

 ああ、うさもあの光景を思い出すと、お口の中におヨダが。じゅるり。

「ブリならスルーしましたよ。カンパチでも、騒ぎはしなかったと思います」

 ホークスが翼を鍛える玄界灘の海の幸をふだんから、あむあむちている、うさと凪しゃんでしから。

「でもヒラマサですよ。しかもオビレが長い、ヒレピンの天然。そりゃもう駆け寄りましたとも。他は何も見えなかったです」

 おいち、かった……。

 お刺身なんだけど果物みたいな歯ごたえ、シコムチッとちた、あのお味、きっとじゅーっと、忘れられないと思いまし。

「それ、いつもあるんですかっ?!」

 Aぢゃ子しゃまのオメメが爛々。

「分かりません。天然は入荷が限られるでしょう」

「函館も行ってみたいなぁ」

「行ったらまた渚亭に泊まりましょう。部屋はショボくっていいので夕食をつけましょう。バイキングが始まって30分後の早めの時間に、おりていきましょう」

 と、まだ札幌の旅行が始まったばかりなのに、もう次の計画を着々とたてる凪しゃん。

しょんなことをお話しちているうちに列車は出発、ごぅ!しょちて一面に広がる雪景色ぃ〜。うーん、今年はちっと雪が少なくていつもの迫力かありましぇんけれど、見てくだしゃい、あの家々の屋根の角度を。

「雪下ろしのためですか?必要がないように?」

「すごい斜面。あんな屋根を張る大工さんはタイヘンでしょうね」

「どうやって施工するのかなぁ。命綱?」

 さぁ。んでね、極北ではね、基礎を底上げちて、おうちがみんな、ゲタを履いているの。

「本当ですね。床が底上げしてある感じです。あれね防寒対策ですよね」

「造りが違います。やっぱり極北って凄い。窓も小さいし、南国のヤワな家とは違いますね」

 うん、しょーでし。南国の田夏の太陽も、年に何人が殺してちまいましが、極北の冬将軍も年に何人もお供に召して行きましの。ふきゅー。

 キャッキャッとお話をちているうちに、札幌駅に到着。ロッカーにお荷物を預けまちょう。おっきいロッカーに、なんとか三つを詰め込むでしぃのよ。ぎゅ、ぎゅーっ。は、はいらない、でしぃ〜。

「退け、うさ」

 と、こんなことだけは得意な凪しゃんが登場。うさが詰め込んだのを一旦取り出して、ガツンと詰めなおしまちた。何故か走りまちた。

「パズルみたいですね」

 いこまんが関心ちてくりたの。凪しゃんは流通業が長かったから、荷物をつめるということには慣れてマシ。しゃあ、そりでは、まじゅはサッポロ巡回バスのチケットを買いに行きましよー!

 と、振り向くとAぢゃ子しゃまが居ましぇん。なに撮っているの?

「きゃー、きゃー」

 嬉しそうに撮影ちておられたのは、除雪さりて札幌駅の片隅に積み上げられた雪の塊。ん、しょの気持ち、うさはしゅんごくよく分かりまし。思う存分、お撮りなしゃい。うさたちと同じ日本の中とは思えぬこの景色を!

「きゃー!」

 大喜びのAぢゃ子しゃまは、中央バスの窓口に行く途中でも大喜び。

 環88の巡回・定額バスに乗り放題のチケットと交換できる券を、実は凪しゃんの知り合いが二枚、くりていたのでし。残り一枚を三人で買うと750円で、一人分は250円。こりで乗り放題なのでしからお得なものでし。

 駅前のデパートを通り抜け、観光バスにのんの。サッポロ時計台はあまりにもショボしゅぎて、みんなで探したけどよく分かりましぇでちた。バスは市街地を進んで行きまし。

「えーっ、こ、ここ一通なんですか?えーっ!」

 Aぢゃ子しゃまがまたびっくり。パシャパシャ、写真を撮っておらりまし。うん、うさもね、この四車線道路の一通はびっくりちまちたよぉ〜。

 なんてことをお話しちているうちに、サッポロファクトリーの前。ここは帰りに降りて、さっと冷やかしまちょうネ。あの向かいのホテルにも泊まったことありましの。くらびぃサッポロはなかなかよいホテルでちたぁ!

 バスからの気楽な車窓観光。最終等着地は。

「……凪さん」

「……さすが」

 サッポロビィル博物館、でし。うさも凪しゃんも初めて来たのヨ。

「趣味に走りましたね?」

 あまり上戸ではない二人を連れているのに。

「札幌といえばサッポロビールでしょう」

 開き直った犯罪者は、堂々と言い放ちまちた。