うさのお馴染み極北旅行・しょの1

 

 

 8/30、土曜日の朝、710分のヒコーキにのるべく、うさは6時に仮眠からオッキいたちまちた。

 前日は色んなことがありマチタ。最大の事件は駄主人・凪しゃんが突然、「火花・4」を書き出したこと、でし。なんか前週の大阪で、火花しりぃずをどなたかにちっと褒めてもらったとかで、突然やる気になったのでし。新刊が出るのはいいことだけど、もちっと計画性を持ってほしいうさでし。

 おかげでうさうさは金曜日、ほぼ徹夜でガコガコ、原稿と製本、というハメになりまちた。午前三時くりゃいには寝ぼけた凪しゃんがコピー用紙の束にコーヒーを零しそうになって、うさがそりを、身を挺して阻止しゅる、という事故もありまちた。おかげでうさはグッコミの最中、茶色の筋がお顔についたままでちた。しくしく。

「……」

 宵っ張り・朝寝坊の凪しゃんを蹴り起こし、毛並みをブラッシングちてお家を出たのは620分くりゃい。ぶろろー、っと、バイクでほんの10分も走ればしょこは福岡空港という、大変にシアワシな場所に住むうさうさぎ、でし。

「……」

 意識がまだ目覚めていない朝の凪しゃんは身動きが鈍いでし。うさは構わず二階へ駆け上がり、『ちかえ』のメンタイコ屋しゃんに突撃!630分の開店とほぼ同時に飛び込んで、おはようごじゃいましゅ!ご家庭用のお徳パックをくだしゃいな!

 掌よりちっと小さいくらいのプラスチックパックに入って1000円の『切り子』は、お味に比べるととってもお買い得でし。ケチンボ・凪しゃんが時々、自分用にも買っているくらい美味しいデシ。いつもいつも、うさはこりをK頼しゃまのママに買って行くの。K頼しゃまご自身はメンタイコを召し上がらないんだけど、うさはしょんなこと構わないの。将を射んとすれば馬を射よ、娘と遊んでもらおうとすればママしゃまをオトセ。ママしゃまの大好物を持って帰ってもらえば、Kらいしゃまがうさと遊ぶとき、気持ちよく送り出してもらえると思うのデシ。らんらん♪

 福岡空港のカードラウンジは朝、8時の開店。うーんじゃんねん、今回は出発前の朝ビィルが出来ましぇん。ま・よいでしね。トキオのイベントを経由ちて札幌へ遊びに行くでしから、ビィルは着いてからサッポロクラシックを飲めば♪

 らんらんのうさぎとヨボヨボの凪しゃんは手荷物検査場を通過。いつものご贔屓・JAL便は、ウェブチェックインというモノをしゅると、手荷物検査の時に出て来る紙の裏側でマクドナルドの商品が当たりまし。ビッグマックセット、てりやきマックセット、そちてコーヒーのみの三種類が全員に当たるのデシ。しゃて、今日の運勢を試すべく、ICカードを、ピッ!

 手荷物検査の端末機にカードをかざすと、便名と座席番号が乗ったレシートみたいな紙が出てきまし。そりをとって、くるんと裏側を。

 おっ!

 ラッキィでし!ビッグマックセットが当たりまちた!らんらん、なんだか幸先がよい旅でし。このクーポンは大事にとっておいて、いつか貧乏なときに……、あっ!

「……」

 寝ぼけつつこんな時だけは目ざとい凪しゃんに、取り上げられてちまいまちぃた。くっしゅん。うさの非常食ぅ〜。

 ともあれ飛行機は定時に動きまちた。リムジンバスにのんのちてビッグサイトへ乗り付けて、参加をいたちまちた。お隣のKらいしゃま、Kらいしゃまと共通の統括マネージャーOしゃまとご挨拶ちて、会場で売って買って。

 が、ここで、うさは告白いたしまし。イベントのことはなぁーんにも覚えてましぇん。山アファンというおぜぅしゃまに、『火花』の変質者を褒めてもらえて嬉しかったくらいかな。あと、お菓子をたくさん頂きまちいたの。えへ。おいちかった……。

 イベント撤収のお片づけをKらいしゃまにオマカセしゅるという酷い真似をちて、凪しゃんとうさうさが再びリムジンバスで羽田へと向かったのは、1230分くりゃい。

「おっきぃスーツケースなのに軽そうだねぇ」

 Kらいしゃまが仰るとおり、でし。

 在庫は宅急便で送り返してもらう予定の、凪しゃんの海外旅行用の真っ赤なスーツケースの中には、着替えがほんの少しと、会場でいただいたお菓子くらいしか入っていましぇんでちた。空間占有率は20パーセントほど、あまりの軽さに滑車が空回りちてまちた。

「うん。中に極北の美味い食べ物と旨い酒、買い込むから」

 胸を張ってハキハキと答えた凪しゃんに。

「……ヒコーキオチチャエ」

 という呪いの言葉が発せられまちた。あうあうー!

 空回りしゅるスーツケースをカラカラ引っ張って、リムジンバスにのんのちて羽田へ。うーん、ちっとお腹すいたけど、どーちよーかなぁ。

 実は我が家の凪しゃんは変温動物で、夏場はあまりゴハンを食べないのでし。お酒は飲むからカロリィは摂取しゅるのでしが、夏と冬では体重が五キロくらいフツーに違いまし。制服のサイズも夏と冬では違って注文ちているので、衣替えの時期にはボタンが留まらずアウアウとなっていまし。会場でお菓子を食べ過ぎたうさうさも、マンマはなぁ。でもラーメンくらいなら……。

 と子とことこ、羽田空港の第一ターミナルを歩きまし。あっ、ラーメン屋しゃんがあったよ!

 と、思ったら、そりは札幌ラーメンのチェーン店、『味の時計台』でちた。うぅーん。

 全国展開しゅる『味の時計台』は、うさの棲家から1キロくらいの場所にもありマシ。うさ、味噌ラーメンが食べたくなると時々、お邪魔ちていまし。本場の有名店に比べればもちろん劣りましが、このテのお店にちてはしょりなりで、嫌いではありましぇん。むしろスキかもしりましぇん。ああでも、でもでも……!

 こりから札幌に旅立つというのに、『味の時計台』で貴重な食欲を使うのは……!

 凪しゃんはのしのし歩いて行きまし。北へ行けるので足取りがとっても軽いデシ。朝のヨタヨタが嘘のよう、背筋を伸ばして首筋を伸ばしてすたすたと、再びの手荷物検査へ。カナモノを身に着けない凪しゃん本体はいつでもスルーパスでし。バッグの中には、お酒を詰め替えたペットボトルが時々入っているのを忘れて、開けてくだしゃい、とユわりたこもが、ありまし。

 

 

 むかし、昔の、たちかありは福岡空港にて。

 ご当地アワモリを貰った凪しゃん、瓶が重くてイヤンだったので、中身をペットボトルに詰め替えてバッグの中へ入れてまちた。そりを忘れていて、出してって言われて、ほいって出して検査ちてもらったの。ペットボトルの中身を検知する機械をみなしゃま、見たことがありましか?ボトルを置いたら、中身がキケンブツでなければ、ピッと音がして緑色のランプが点灯、ご協力ありがとうございました、と言われて返してもらえるのでし。うさは慣れっこでし。

 ……ちかち、数年前の、しょの日。

 いつものよーに検査ちてもらったペットボトルは検査機にセットさりまちた。係のシトがボタンを押して、ちかちしょの時は、ビッと音をたてて。

『……!』

 赤、あかあかあか!

 にんじんの色だから、うさは赤い色がダイスキでし。んでも、しょの時のランプの赤色の禍々しさは、忘れらりましぇーん!

『詳しい検査にご協力願えますか?』

 うちの凪しゃんは地味で小さくて丸いオバチャンでし。頭の中身以外はまったく危険ではありましぇん。テロとか暴動とかとは無縁の、のほほーん、とちた顔つきをちていまし。

 ペットボトルの赤は滅多にないのでちょう。係員のシトは緊張感を漂わせまちた。が、いかにも切れ者という風情の女スパイにも、他人の考えた理屈のために命を棄てる純朴なテロリストにも、到底見えない凪しゃんに戸惑ってもおらりまちた。そりがひしひしと、お肩にのんのちた、うさにも伝わってきまちた。

 何かの合図があったのか警備員しゃんが呼ばれまちた。頑丈しょうなおじしゃまは凪しゃんの後ろに立ちまちた。が、凪しゃんの、とぼけた風体を見て、やっぱり不思議そうな顔。

 うちの凪しゃんは落ち着いたモノでちた。長年のアニノロイに慣れてちまったのかもしりましぇん。金運もなく男運もなく、都合が悪くなると寝たフリうさぎのフリ、という卑怯なアホでしが、いざという時の度胸だけは不足ちたことがないシトでし。

『何が入っているのですか?』

 落ち着き払って調査員の到着を待つ警備のシトが、お尋ねちてくりて。

『泡盛です』

 凪しゃんはお答え。やがてなにやら専門家()っぽいシトが到着。普通のスーツ姿で、特に機材は持つ手おらりましぇんでちた。ただ、白い手袋をちていて、匂いを嗅いでいいですか、と、凪しゃんに尋ねてペットボトルの蓋を開け、お鼻を近づけるのではなくオテテで仰いで液体の匂いを嗅ぎ嗅ぎ。

『はい、いいです』

 ワインを試飲しゅる山本マスヒロしゃんのよーな言葉とともに、一般の酒屋しゃんには流通ちていないというプレミア・泡盛を詰め替えたペットボトルは凪しゃんに返却されまちた。検査にご協力ありがとうございましたと警備のシトたちに言われ、お手間おとらせして申し訳ありませんと凪しゃんは答えまちた。そりから尋常にヒコーキに乗って、何くわぬ顔で平然と、何処やらに旅立ったのでし。

が。

 内心ではけっこう恥ずかしかったらしい、でし。証拠に我が家のロクデナシはあれ以来、ヒコーキにのんのしゅる時は機内持ち込みの荷物の中に瓶ごと、お酒を挿れるよーになりマチタ。ワイン2本はスタンダードに持ち歩くアホでし。こりをお読みのアナタがいつか、福岡や大阪や東京や札幌の空港で、『ガッチャンガッチャン』という足音を聞いて振り向いたら、しょこにはうさと凪しゃんが、立っているかもしりましぇん。うきゅきゅー!

 

 

 

 でも本日はスルーちて、たどり着いたところは羽田空港のカードラウンジ。

 第一ターミナルにはカードラウンジが三つありまし。イッコは到着階、郵便局がある近く。残りは手荷物検査場を通過した後の出発階の、南と北にイッコずつ、でし。

 聞いた話でしが、南北のラウンジはもと、ANAのプレミアム・ラウンジだったとか。確かに、広くて、ブースで区切られた席もあって、ヒコーキが旅立つところを間近で見られるカウンターもあって、航空会社のラウンジっぽい雰囲気、デシ。福岡も関空もお外が見えない場所にあるけど、ココは景色が見えて気持ちがいいなぁ。

「……」

 凪しゃんとうさうさはカウンターに並んでトマトジュースを一気飲み。二杯目はちっと味わって飲み、リンゴジュースはゆっくり飲みまちたの。うーん、何処のラウンジもじぅすはとってもとっても、おいちーぃ!クレジットカードのゴールド会員じゃなくても、羽田は1000円をお支払しゅりばココが使えるデシ。喫茶店で薄いジュースを500円だして飲むくりゃいなら、ココで飲み放題をうさうさ、オススメいたしまし。ビィルも売ってありましヨ。うさはサッポロクラシックを飲むから頼まないけどね!

 札幌行きのヒコーキの出発は1420分。手荷物検査を済ませた後だから、ギリギリまでゆっくり過ごせていいなぁ。15分前までおコーヒーを愉しんで、うさと凪しゃんは搭乗口へ。

 極北へ、れっつ・ふらいと。

 待っててなきうさしゃま、でぇし!