おヒコーキの中のことも何一つ、うさは覚えておりましぇん。座ったとたんにぐーっと眠って、目がさめたのは飛行機が新千歳空港に着いた、ガッタンという衝撃で、でちた。到着は4時45分の予定がちっと遅れて5時を過ぎていたけれど、なかなか順調なフライトでし。
新千歳空港は新しくてキレイで、いつもお花が飾ってありまし。到着口には水槽があってね、お魚が泳いでいて楽しいの。お荷物を引き取るべくうさうさはトコトコ。千歳空港の唯一の欠点は、荷物が出てくるのが遅いということでし。ま・空港自体が広いから仕方がないのでちょう。慣れるまで凪しゃんは何度も『ロストバケージか?!』と青くなりました。うさが『ロストバージンって?』って聞いたらブたれまちた。うきゅ。
慣れてからはね、フロアに置いてある観光パンフレットを読みながら待つ、という技を覚えたから時間が多少かかっても平気でし!フリーペーパーにはクーポンもついていて、なかなかお徳なことがよくありまし。しゃ、今日も何か新しい情報を、と、思っていたら、ありっ!
「すみません、失礼します」
人波をかき分けて凪しゃんが荷物の回転台へ。とっても目立つ真っ赤なスーツケースをうんちょ、と引き取りまし。うわぁ、こんなに早く荷物を引き取れるなんてハジメテぇ。ん、凪しゃんが軽いスーツケースを振り回して疾走をはじめまちた。ちょっとどーちたの?
「5時16分発のJRに間に合うかもしれない……っ!」
ああ、しょうでしね。
「間に合えば、6時のホテルの送迎バスに乗れる!」
あ、なるほど。
うさたちは今回の旅も札幌郊外にある『しゃとれぇぜ・がとぉきんぐだむ・さっぽろ』にとってまし。温泉はあるし、お菓子は美味しいし、なによりもなきうさしゃまのお家にとっても近くって、うさのお気に入りでしの。石狩の佐藤水産経営・札幌ファクトリーにも車で10分、しょこから小樽へもびゅいーんと行ける、とっても便利なところでし。
ただし、札幌駅からは、遠いの。
遠いといっても、距離はともかく時間的には、ホテルの送迎バスに乗って石狩街道をがーっと30分。南のうさにはまだ何もかも珍しい景色を窓からガン見していればすぐ着きまし。ただちしょの送迎バスは札幌駅前から一時間に一本だけ。ま・乗り遅れたら、札幌駅でうろうろ、お寿司を買ったりお酒を買ったりチーズを買ったりしていればよいのでしが。
「Mらさんが、札幌駅近くで待ってくれているはずなの……ッ」
あ、しょうでちた。旭川在住、なのにサーモンファクトリーの鮭親子丼をこよなく愛するMらしゃまは今日、朝のうちから札幌へ来られて本屋しゃんをまわり美術館をまわりながら、うさとオマケの凪しゃんを待ってくりていまし。しょう、しょりに、早く着いたらなきうさしゃまに一時間はやく会えるデシ。らんらん♪
一生懸命走る凪しゃんの後ろを、しょの気になれば時速80キロのうさは軽々とついて行きまし。切符を買って、えいっとホームに降りて、びょおーん。間に合い、まちた!
「ぜぇ、はぁ」
運動不足の凪しゃんはぜぇはぁ言っておりまし。車内は土曜日、そりなりに混雑ちていましが、どうしぇ30分とちょっとだから立っていても大丈夫〜。壁にもたれながら、優先席付近でないことを確認ちて、凪しゃんは最近、仕事相手に持たされた携帯をピッピッ。えっと、通話は出来ないから、なきうさしゃまのご主人のSしゃまにメールをちて、6時の送迎バスで待っていて、って、Mらしゃまに伝えてもらうという迷惑をかけまちた。ごめんなしゃい。
エアポートライナーは札幌駅に到着。凪しゃんとうさうさは、再び走って、札幌大学側のロータリーでうさたちを迎えに来たホテルのバスに駆け込みまし。Mらしゃまはバスの乗り場で待っていてくりまちた。発車寸前の運転手しゃまに声をかけてもらえて、荷物をバスのおなかの中に放り込んで、ふきゅーん!
だぁい好きな札幌、だぁい好きなホテルへ向かうバスの中、だぁい好きなちMらしゃまにご挨拶〜。MらしゃまとはイニDで巡り合ってから、随分と長いお付き合いデシ。うさが極北に遊びに来るときはよく旭川から出てきてくりて、一緒に遊んでくりるの。うふふ。お元気、でちぃたか?
「最近なにか変わったことありました?」
「ええ、大事件が。取引している不動産屋が、民事再生法を申請ました」
「え、ええっ?!」
「敷金を四か月分と家賃を二か月分、使い込まれています。大体40万」
「え、えーっ!」
「賃貸管理事業部門が事業譲渡されれば8割帰ってくる、予定は未定ですが分かりません」
しょうなの。アメリカしゃんのさぶ・ぷらいむろーんの余波で日本の金融機関が貸し渋りを始めてね、不動産会社がバタバタ潰れているんでし。しょの影響が、南の隅っこに住むうさのお家にまで及んできたのでし。ふぅ。もぉ、ため息ちか出ない〜。
「まぁ、ホテル会員権とか不動産ファンドとかで騙された人は二百万単位の被害ですから、それに比べれば傷は浅いんですが」
二百万単位のお金をそもそも、持っていないからね!
「債権者集会に行ってきました。面白かったですよ。昔、そごうの倒産の時も凄かったけど」
しょういう大騒ぎを嫌いではない性格の悪い凪しゃんでし。阿鼻叫喚の集会に参加ちても、どーしぇ時間の無駄なのになんで行くのかなと思ったら、場数を踏んで度胸をつけておきたいからだって。ふぅ。ま・好きにしゃしぇまちたけど。
「民事訴訟をするみたいでした。私は参加しませんが。訴訟を愉しむほどセレブでもないので」
しょんなことをお話しちているうちに、バスは市街から出て石狩街道へ。茨戸川を眺めながら、うさうさは、らんらん。繰り返しましが日付は8/30。北海道はもう寒いと聞いていまちたが、しょうでもなかったデシ。
「昨日は寒かったんですよ。今日はあったかいです」
Mらしゃまとともにホテルに到着〜。今回はJALツアーでの手配だったからレギュラールームでしの。うさうさはフロントで住所氏名をカキカキ。用意さりていたのは最初、7階のお部屋でちた。が。
「少々、お待ちくださいませ」
裏へおじしゃまが引っ込んで、出てきたときには、お部屋のキーが交換さりていまちたの。レギュラールームには違いないけど、景色がとっても楽しめる最上階、11階のお部屋でし。ありがとぉ!きっとお電話番号で、うさ一行がガトー・きんぐだむの大ファンであることをわかってくりたのでしね!イマドキは顧客情報が管理さりているから。個人情報保護にさえ気をつけてくりれば、イチイチ、自らの身の上をセツメイちなくてもいいのはラクチンなことでし。
お荷物とともにお部屋へ。しょこからなきうさしゃまのご主人にお電話をかけましぃ〜。なきうさしゃまのご主人しゃまはお引越しをさりて一層、ガトキンの近くになりまちた。うふ。このホテルはANNA、アんたナにアそんでんのくらぶ、極北本社の集会場所でしの〜。
うさうさは、お茶をイレイレ。Mしゃまどうじょ、イベントで貰ってきたお菓子もありましよぉ〜。しょんなこんなちているうちに、自転車でなきうさしゃまのご主人しゃまが到着!前カゴに入って、なきうさぎしゃまも来られまちた!
なきうさしゃま、なきうさしゃまー!
今回、2月以来、半年振りの会合に、うさうさは感激。ぎゅーっと抱き合ってほっぺをしゅりしゅり。なきうさしゃま、こんばんは。お元気しょうで嬉しいデシ。うさはとっても元気でし。毎日、なきうさしゃまのことを考えていまちたよ!
「今日はクマさんはお仕事なんですね。残念です」
マンマに行きまちょうか、という話になりまちた。んでね。
「お願いがあります。私、あのステーキ屋さんに行きたいです」
我が家のワガママ凪しゃんが言ったのは、このホテルが建つ湖、というか三日月湖の向かいにある、焼肉とステーキ屋しゃん、でし。このホテルに泊まるたびに前を通り、けっこう美味しいんですよと聞かされ続けて既に六年か七年。佐藤水産のサーモンファクトリーの魅力に毎回負けて、足を踏み入れたことは一度もなかったの。
「いいですよ。あそこなら徒歩でも15分くらいかな?」
湖には遊歩道があるので、うさたちはしょこを、てくてく。あっ。なきうさしゃま、うさの後ろについて来てくだしゃい!クモしゃんの巣がありましからね!なきうさしゃまはクモしゃんが苦手でちょう?うさは南のうさぎだから平気だから、拾った木切れをぶんぶん振り回して、なきうさしゃまの為にお道を確保しまし!
てくてく、うさたちが遊歩道を歩いてステーキ屋しゃんのしゅぐ手前、ちょうど湖を挟んでホテルの反対側、に来た時、でちた。
「……、あ」
「……わぁー」
「おおーっ」
うわぁ!
「きれーい」
花火、でしッ!
時刻はちょうど七時。ホテルが中庭で、花火を打ち上げたみたいでちた。しょーいえば、中庭に屋台が出ると書いてありまちた。ヨーヨー掬いとか輪投げとかばっかりで、イカとビールがないことを確認した凪しゃんは一瞥しただけで終わりまちぃたが、しょのイベントの一環なのでちょう、きっと。
「いいカンジだねぇ」
湖を挟んだ湖畔から、うさたちはホテルの花火を観賞。きっと木の枝にかかっているけれど、さえぎるものがなくってよく見えまちた。しゅごくキレイでちた。何千発も打ちあがる花火大会とは違って、二十発くらいのモノでちたが、ホテル単独で催したにしては頑張っていまちたよ!けっこう大きいく、花火は夜空を彩っていまちたぁ〜。
「そうか、だからツアーじゃないと部屋がとれなかったか……」
凪しゃんが呟きまし。イエ、じゃらんやJTBでも空室はあったのでしが、セミダブルに二名一室、素泊まりで一人が一万二千円、とかいう凄いぼったくり価格でちた。夏休み最後の土曜であることを勘案しても酷かったデシ。JALツアーでかろうじて、なんとか、お部屋がとれたのでし。
福岡〜東京〜札幌、帰りは札幌〜福岡、そりにシャトレーゼでの一泊がついて51800円ほどのお値段でちた。普通にイベントで東京往復ちても、飛行機の最安値で32000円ほどの時期でしから、割安とユえるでちょう。
花火を見終わって、うさ一行はステーキ屋しゃんへ。道から見るより広い敷地の店で、駐車場も前庭も広いのデシ。てくてく、通路を進みまし。玄関の横には農産物直売コーナー、のようなところがありマチタ。
「……?」
凪しゃんが首を傾げまちた。うさうさも、あり?こりナンか間違ってない?まん丸、おっきーぃメロンしゃんが、五個も入ったダンボールに、『一箱3500円』って書いてあるよ。一個のマチガイでちょ?
「いえ、一箱だと思いますよ」
Mらしゃまとなきうさしゃまのご主人が教えてくりまちたが、凪しゃんとうさうさは納得できずに、小首を傾げたまま店内へ。カントリー調のよさげな店内は焼肉コーナーとステーキコーナーに分かれてまちた。えっと、うさたち今日はステーキ気分でし。らりらり〜。
お席に案内ちてもらいまちた。Mらしゃまはステーキ丼、なきうさ・ますたぁのSしゃまはチキンソテー、凪しゃんは。
「ラムヒレのサイコロステーキを」
極北らちぃモノを頼みまし。ラム肉にもヒレがあるんでしね。もちろんあるんでちょうけど、南国ではそもそも羊しゃんが食べれないし。馬ならスーパーで買えて、猪と鹿なら『あります』の看板が凪しゃんの家の近所に立っているのでしが。
「ごはんはいりません。代わりに、ヴァイセン」
おろ?
凪しゃんの視線は壁の一角を向いていまちた。しょこには地びぃるの生びぃるの瓶がずらりと並んだ、ポスターが張ってありまちた。こういうモノは決して見逃さないオンナ・凪しゃん、でし。
しょうこうしゅるうちに、Sしゃまの旦那しゃま・クマしゃんがお仕事を終られて、いらっしゃーい!お車で乗り付けられたクマしゃん、こんにちは!クマしゃんは優しくて人当たりがいいふかふかなおシトでし。でも言う事に容赦がなくて面白くって、うさうさはダイスキ!
みんなでマンマを注文、待つことしばし。やがて運ばれてきた、鉄板と丼。
「……うわぁー」
一番、迫力があったのは、Mらしゃまが頼まれたステーキ丼でちた。余計なものは一切なし、どん!と盛られた丼のごはんの上に、どかん!と、焼かれて切れ目を入れられたステーキが二枚!
「凄い……」
お値段は1000円くりゃいだったよーな。こんなお値段でこんな豪華なステーキ丼が食べられるなんて、やっぱり極北は豊かなの。うさうさ、今度はこりを頼もう!
「や、野菜が欲しいよぉ……」
もぐもぐと食べるMしゃま、美味しいけど苦しいと呻いておらりまちた。Sしゃまへ運ばれたチキンソテーも、皮がパリッと焼けていて、とっても美味しそうでちた。えーっと、780円だったか、880円だったか。凪しゃんのラムヒレのサイコロステーキは、ちょっとだけ頑張って1180円か、そりくらいだったデシ。が。
「……サイコロ?」
極北のサイコロはエスプレッソを飲むデミダスグラスよりも大きいのでちょうか。しょちて200ページを越える新刊を二冊重ねたよりも厚いのでちょうか。そりが四個も、コロンというよりゴロン、と、鉄板の上に並んで、じゅうじゅういっていまし。
「……おいし……っ!」
一個を三分の一に切っておクチに入れた凪しゃんが感激。どり、うさにも食べさしぇてみなちゃい。お口も胃も大きな凪しゃんの『一口大』の三倍の塊から、うさ用にきりきり。ぱっくん。
……ん、きゅーっ!
お、おいちぃ、でしっ!
牛肉のヒレとは違う、ラムのラムラムでし。ビーフのヒレより脂がちょっとあるかな?でもラムの脂はアジが濃くておぃちぃよね。うっすら塩コショウで下味、そりに和風のステーキソースをかけられた、ラムヒレのサイコロ(?)ステーキしゃん、おい、ちぃー!
鉄板のつけあわせはミックスベジタブルとポテト。りぃずなぶるなふぁみりーレストランなのにおいちぃよぉ。あむあむ。ああ、シアワシ。こりだから極北へ来るのは止められましぇん。むしゃ、むしゃ。ごく、
「すみません。ヴァイセンのお代わりをお願いします」
ビィルを追加ちた凪しゃんとうさうさは、ラムのヒレしゃんを夢中で食べまちた。どりほど夢中だったかは、クマしゃんがちっと遅れて頼まれたモノがナンだったのか、全く思い出せないくらい、自分の目の前のマンマに夢中でちた。ふきゅう、シアワシ……。
でもシアワシは、もちろん、まだまだ終わりましぇん。
「あの、か、帰りに」
「セイコーマートガウ?」
凪しゃんがお願いしゅるより先にお見通しのクマしゃんでちた。らんらん、うさうさ一行はセイコーマートしゃんへ。ここには函館の『やきとり(豚串)』弁当や、しょの他、極北のマンマがそろってまし。
サッポロクラシックを買って、お部屋で二次会の宴会なの。らんらん♪
大変とっても幸せに、お車でセイコーマートに連れてきてもらいまちた、うさと凪しゃんは、先に降りられたMらしゃまに続いてエボ君から降りようとちた、途端。
『ガンッ』
と、マンガみたいに、大きな音がして。
「……」
無駄に丈夫なうちの凪しゃんが、さしゅかに石頭を抱えてシートの上に、撃沈。
「あ……!」
続いて降りようと屈んだ凪しゃんの動きと、勢いよく閉めたMらしゃまが、閉めたドアとが、とってもジャストフィット!
「ご、ごめんなさい。あ、あの、あのあの、す、スクアーロ描きます!」
と、ユってくりたMらしゃまに。
「……ハダカに毛皮着せて……」
頭の痛みもさっと忘れ、お願いをちた、ある意味アッパレな阿呆、でちた。